トップコミットメント

「創造 貢献」を実践し、カシオらしさを発揮した事業の創出で、社会の期待に応えます。

本業を通し、持続可能な社会の実現に貢献

カシオが考えるCSRとは、「創造 貢献」という経営理念のもと、「0→1」を生むモノづくりによって社会をより豊かにしていくことです。今まで世になかった新しい市場や文化を「創造」することで、社会に「貢献」し、それを通して成長してきた企業であればこそ、CSRを極めて重要なことと考えます。

2015年度にはコーポレートガバナンス・コードの適用が始まり、企業の中長期的価値創造をめぐる社会の関心は高まっています。カシオでは、2016年5月、長期的視野から取り組むべきマテリアリティ(CSRの重要課題)を策定。また、CSR推進室を環境企画室と統合させる形でCSR推進部に昇格させ、経営と直結した取り組みに向けて、いっそうの体制強化を進めています。

カシオ代表取締役社長 樫尾 和宏の写真です。

さらに、2015年度は国連の持続可能な開発目標(SDGs)採択やパリ協定合意など、国際的にも動きの大きな年となりました。グローバルに事業を展開する企業として、そうした情勢への意識を高めていくことは欠かせません。

コーポレートガバナンス・コードやSDGs、パリ協定への対応は間違いなく重要ですが、「外部環境から強い要請を受けているからやる」という受け身の姿勢では全く不十分でしょう。表面的な対応ではなく、「創造 貢献」を掲げる企業として主体性をもって本気で取り組むことが重要です。グローバルな視点に立ち、真に持続可能な社会の実現のため、本業を通してどのような役割を果たしていくかを追求します。

カシオの強みを活かし、強い事業基盤をつくる

2015年度は、急激な為替変動などによる逆風を受けたものの、3年連続の増収増益を果たし、純利益は過去最高を更新することができました。事業別には時計部門が好調に推移した一方で、それ以外の部門をいかに伸ばしていくかという局面を迎えています。

近年、コンシューマ市場には変容が見られ、メーカー各社がさまざまな商品を出しながらも、価格競争に陥りがちな現状を抱えています。こうした中で問われるのが、環境変化に左右されない強い事業基盤をいかに築いていくか。差別化の難しいマス市場で競うのではなく、G-SHOCKのように特徴を発揮できる分野を伸ばしていくことが不可欠です。

カシオは年間では1億個以上の商品を世に送り出しており、言い換えればそれだけのカシオファンの方々から支持をいただいているということです。そこへの認識を深め、常に期待を超えたものを提案し続ける義務が私たちにはあります。

私は2015年6月に社長に就任しましたが、これは27年ぶりの社長交代、かつ創業世代からの次の世代への移行となり、カシオは新たな時代への転換期を迎えています。長い歳月の中で築いてきたカシオらしさをしっかりと守りながら、新しいカシオをつくっていかなければなりません。

カシオらしさは「オハイオ」という言葉で表現できます。これは、「面白い」「初めて」「意味がある」「驚きがある」の頭文字をとったものです。どれが欠けても「カシオらしい」といえない重要なものですが、特に今重視すべきなのが「意味がある」ことだと私は考えます。「どういうターゲットに対し、いかに役立っていくか」を考える視点こそが事業を意味あるものにします。

スマートウオッチによる新たな市場を創出

2016年3月に発売したスマートウオッチの「Smart Outdoor Watch WSD-F10」は、まさしくカシオらしさを発揮し、私たちの強みを活かして、ユーザーにかつてない価値を提供した商品となりました。

スマートウオッチは市場から注目を集めながらも、他社メーカーを見回しても今まで目立った成功が見られない分野でした。「成功」とは「よく売れている」とイコールではなく、いくら販売点数が伸びても、実際に活用され、ユーザーの役に立たなければ成功しているとはいえません。その意味では、高機能なだけにバッテリーが長持ちしないスマートウオッチは、普段使いには適さず、意義のある用途が見出されていませんでした。

Smart Outdoor Watch WSD-F10では、スマートウオッチが役に立つシーンとは何かという発想からアウトドアに特化。スマートフォンを持ち歩いていても取り出して使えない、登山や釣り、サイクリングなどにおいて大きな利用価値を提供し、本当に役立ててもらえる製品としました。

Smart Outdoor Watch WSD-F10による提案は市場の大きな注目を集め、販売開始以来、すでに多くのユーザーに利用いただいています。現在検証を進める中ではありますが、アウトドアのみならず、ハンディターミナルを腕型に進化させたビジネス用途も考えられるでしょう。両手が空き、音声入力ができれば、倉庫での在庫管理チェックなど、作業時の利便性・効率性は大きく高まります。

カシオは携帯情報機器と時計それぞれで経験を積んできたメーカーであり、スマートウオッチは当社のようなメーカーこそが挑み続けていくべき分野です。アクティビティで活躍する機能時計として、これまでにないニーズを創造できるジャンルだと考えています。

人々の「学び」を支えるという教育分野での使命

教育分野もまた、カシオの強みを活かし、注力を続ける分野です。主力製品のひとつである関数電卓では、世界的な数学力の向上に貢献してくることができました。事業を展開する各国において、カシオの関数電卓は数学の授業や試験で欠かせないものとなっています。国や州によって教育現場への関数電卓の導入をめぐるルールは異なりますが、そのルールづくりにまで踏み込んで市場を拓いてきたことが、当社の優位性につながっているといえるでしょう。今は先進国が中心ですが、新興国や途上国を含めて世界で学生の数学の力を高めていくことは、電卓の開発からスタートを切ったカシオの使命であると考えています。

同じく、学習の効率性を大幅に向上させてきたのが電子辞書です。カシオの電子辞書は、日本全国で約5,000校ある高校のうち、約3,000校で先生方から推奨されており、受験生のほとんどがカシオ製品で勉強するという確かな市場を築いてきました。現在は9割が国内での販売であるものの、今後は海外においても学習と一体化させた仕組みをつくり、各エリアへと広げていきます。

また、価値を提供する対象は学生にとどまりません。電子辞書から派生した語学学習専用機の領域でも、私たちは新たな挑戦を始めています。語学を学ぶ社会人を主なターゲットとし、スムーズな学習のためにほんとうに必要なものを提供できるデジタルツールを極めていきます。さらに今後は、シニアの方々に向けた認知機能を鍛える専用機などの展開も考えられるでしょう。

カシオが強みを活かせる市場として、教育分野の強化を進めます。さらなるグローバル展開においても、現地の教育省や教育現場の先生方とのネットワークを築き、その信頼関係のもとエンドユーザーと直接つながり合える事業づくりが肝となります。

また、縦割りだった従来組織への反省を踏まえ、2016年4月には事業部と営業部が一体になったGAKUHAN(学販)チームを、事業を展開する地域ごとに設置しました。既存の製品軸に捉われず、それぞれのエリアに合わせた戦略を打ち立て推進していきます。

一方、音楽教育というジャンルでの新たな展開として、2015年度には電子ピアノのCELVIANO Grand Hybridシリーズを発表しました。今までカシオが手がける楽器はエンターテインメントの要素が強いものでしたが、同シリーズではプロを目指す人を初のターゲットとして、グランドピアノの体感をデジタルで完全に再現しました。伝統と革新を融合させた品質の高い楽器の提供で、音楽を本気で学ぶ人をサポートしていきます。

「創造 貢献」を掲げ、挑戦し続ける企業として

事業の上で常に抜け落ちてはならないことは、「ユーザーの役に立つ」という視点です。コンシューマ商品は直接の販売相手が代理店や販売店となることが多いですが、そちらだけを向いてしまうと、カメラの画素数や電子辞書のコンテンツ数を競うような本質からずれた議論に走りがちです。製品や機能ありきではなく、どのようなターゲットにいかに貢献するかがいつも先に立たなければなりません。

人々や社会に対し、自分たちがどう役に立てるかを追求し、価値を提供していくプロセスこそが事業であり、「創造 貢献」の実践と呼ぶにふさわしいものです。従業員一人ひとりには、それを再認識した上で日々の業務にあたってほしいと思います。

そして、創造を促すためには、従業員が「やってみたい」という気持ちを大切に、チャレンジできる自由闊達な風土づくりが欠かせません。評価制度の見直しも求められるでしょう。売り上げという成果だけを偏重することは、従業員を萎縮させ、失敗を認めない社風をつくります。しかし本来、将来に活かせる失敗は避けるべきものではないのです。挑戦心を持って皆がのびのびと力を発揮できる環境整備は極めて大切と考えます。

今後もカシオは、かつてない新たな市場を生み出すことで世の中に驚きをもたらし、暮らしを変えるような事業の創出を目指し続けます。「なぜ今まで、これがなかったのか?」と思われるような隠れたニーズを掘り起こし、人々に喜びを届け、新たな文化をつくることで、多くのカシオファンと社会の皆様の期待を超えていきます。

カシオ代表取締役社長 樫尾 和宏の署名です。