環境ビジョン

カシオは、2050年を見据えた長期的な環境経営方針である「カシオ環境ビジョン 2050」を、2012年4月に制定しました。また、中期的な行動指針である「カシオ環境宣言 2020」を同時に制定し、持続可能な社会の実現に向けてグローバルに活動を推進し、環境先進企業を目指します。

グローバル課題への認識を強め、
「環境先進企業」として社会的責任を果たします

温室効果ガス削減目標を見直し、 より高い目標を再設定

2017年2月、カシオは長期的な環境経営方針である「カシオ環境ビジョン2050」に基づき、長期の温室効果ガス削減目標を見直し、新たに「2013年度比で2050年度までに80%削減」を目標に掲げました。従来「2005年度比で2050年度までに80%削減」としていたのに対し、基準年を変更したことで、大幅に高い目標を再設定することとなりました。これに合わせて中間目標も変更し、「カシオ環境宣言2020」で定めた「2005年度比で2020年度までに30%削減」よりはるかに厳しい目標として、「2013年度比で2030年度までに26%削減」を策定しました。

これは、「世界の平均気温上昇を、産業革命から2度未満に抑える」という大きな目標が掲げられたパリ協定を受けて、日本政府が策定した「2030年度までに、2013年度比で温室効果ガス排出量を26%削減する」という目標に歩調を合わせるものです。

カシオは、「カシオ環境宣言2020」に掲げた目標を、2016年度までにおおむね達成できています。また、当社は過去にさまざまな事業再編を進めてきたことから、従来基準年としていた2005年と現在では事業構造そのものが大きく変化しており、2013年を基準年とすることで、より現状に即した形で環境影響度を捉え直す形となりました。

この新たな目標は、従来の取り組みの延長線上では到底達成できない高い目標であり、斬新な発想と先進の技術力を活かした製品・サービスの創造をはじめ、事業運営のあらゆる面から環境政策を実行していくことが不可欠になると思います。製造工程をはじめ、商品の流通も、事業所のあり方も、人々の働き方もすべて見直し、現在とは比較にならないほどの効率化・合目的化を進めていかなければなりません。

今回の改定は、あえてこの高い目標に挑んでいくという環境先進企業としての決意を示すものです。経営と結びついた戦略的な環境保全への取り組みによって、カシオの企業競争力も飛躍的に高められるものと確信しています。

執行役員 CSR推進部 部長 小林誠

国際合意に連動した環境活動を推進

環境対策は国境を超えたグローバルでの課題であり、カシオもまた積極的に海外展開を進める企業として、国際合意とのかかわりの中で取り組みを考えなければなりません。なかでも、2015年にそれぞれ国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」とCOP21の「パリ協定」という2つのエポックメイキングな出来事には、しっかりと向き合っていく必要があります。

SDGsでは17の目標が掲げられていますが、この17の目標とカシオ自身のマテリアリティをきちんと紐づけしていくことが非常に重要です。カシオの環境関連のマテリアリティ「低炭素社会の実現」「資源循環型社会の実現」「自然との共生」は、目標6(安全な水)、目標7(エネルギーをクリーンに)、目標12(つくる責任)、目標13(気候変動への対策)、目標14(海の豊かさ)、目標15(陸の豊かさ)などと密接にかかわってくるでしょう。カシオの活動がグローバルでどのような課題の解決に資するのか、常に意識を向けて事業を遂行していくことが大切になってくると考えています。

パリ協定については、冒頭に述べたようにカシオでも新たな目標を設定しなおし、国際社会と協調した取り組みを進めているところです。温室効果ガス排出量については、特にサプライチェーン全体での管理の重要性が高まっており、当社の各拠点での排出量はもちろん、製造や物流プロセスにおける間接的な排出量を含めて把握し、削減を目指していかなければなりません。

これまで温室効果ガス排出量については、一定の係数に基づき算出してきましたが、より数値的な妥当性を向上させるため、電力CO2排出係数について国際基準であるGHGプロトコルの係数を採用しました。今後の排出量の算定のみならず、過去分もこれを用いて再計算を進めています。決して簡単な作業ではありませんが、これを避けて先には進めない重要なことと考えます。
その上で、企業の削減目標の新しいグローバルスタンダードになりつつあるSBT(Science Based Targets)の認証取得も視野に入れ、長期目標達成へのシナリオを策定していきます。

さらに、当社では太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーを利用できる製品・サービスの拡大や、こうしたエネルギーの事業活動への活用を推進しています。将来的には、再生可能エネルギー100%での事業運営を目標とする「RE100(Renewable Energy 100%)」などの国際イニシアチブへの加盟も検討していきます。

環境マネジメントシステム新体制のもと、全社一体となった取り組みを強化

2016年度は、3つの環境マテリアリティを全社的な大きな枠組みの中で強力に推進していくため、環境マネジメントシステム(EMS)の大幅な改革を進めました。

当社では、環境経営のツールとして環境マネジメントシステム(ISO14001)を導入していますが、従来のEMSでは事業所別でISO14001認証を取得していたことから、環境企画室(旧)が推進する全社的活動との連動が取りにくく、二重管理となっていました。また、部門単位での取り組みだったためミクロ的な視点に陥りがちだったこと、環境影響の大きい部門以外では、事業活動と関連したテーマを設定しづらかったことなどが課題としてありました。

折しも2015年9月には、ISO14001の2004年版を改訂した2015年版が発行され、その移行対応が当社でも不可欠となっていました。2004年版ではEMSの「仕組みの改善」が要求されていたのに対し、2015年版では「環境パフォーマンスの改善」が要求事項となります。実績がこれまで以上に重視される規格に向けて、従来とは異なる高い次元での環境マネジメントが求められます。

以上のような背景から、カシオではEMSの全社一本化を進め、本社と羽村技術センター、八王子技術センターの3つの主要事業所合同で、ISO14001:2015を認証取得できる体制へと改めました。

また、マテリアリティを基軸に環境活動を進められるよう、「低炭素社会の実現」「資源循環型社会の実現」「自然との共生」をそれぞれテーマとする3委員会を設置しました。この委員会活動に対してISO14001を直接紐づけることで、これまで課題となっていた全社的取り組みと部門別取り組みの隔たりをなくしました。

これらの改革により、カシオ全社として実効性をもって環境活動をマネジメントしていく体制を整えることができました。EMS新体制はすでに、認証機関の事前審査を受け、2017年度より新たなスタートを切っています。目的・目標を全社で共有し、想定した以上のパフォーマンスを出せるようグループ一丸となって推進していきます。

3つの環境マテリアリティの着実な遂行へ

2016年度、マテリアリティを特定するプロセスでは、社内外でステークホルダー目線からさまざまな議論を重ねてきました。環境分野においても社外有識者の方々と包括的な対話の場をもち、多くの気づきをいただくことができたのは、大変貴重な経験となりました。 現在、3つの環境マテリアリティ「低炭素社会の実現」「資源循環型社会の実現」「自然との共生」は、それぞれ長期的なあるべき姿を描き、時間軸を明確にした目標とKPIの策定を経て、着実に動き出しています。

「低炭素社会の実現」に向けては、これまでにもカシオは省エネルギー性能の高い製品群を強みとしてきましたが、さらにその性能に磨きをかけ、他社との差別化を図っていきます。また、製品を通したエネルギー削減だけではなく、製造工程や物流工程における温室効果ガス排出量をいかに削減していくかも、今後への重要な鍵であると考えています。すでに国内事業所から順次省エネ診断をスタートしており、今後はこれを海外拠点にも展開していきます。その結果をもとに低炭素化に向けたロードマップを策定し、関連するすべての部門と共有して、あらゆる施策を推進していきます。

「資源循環型社会の実現」においては、カシオは事業特性上、製造工程における資源投入量はもともと少ないため、当社単独ではなく、サプライヤーを巻き込んだ製品のライフサイクル全体の省資源化や資源循環を目指していくことが欠かせません。
また、サプライチェーン全体での資源活用管理の重要性は年々高まっており、当社がサプライヤーの調査を進める一方で、流通側から当社の取り組み状況を問われる機会も増えています。良い意味での外圧が強まる中、当然のこととして強化していかなければなりません。

さらに、廃棄物の再資源化への施策も重要です。従来もISO14001の枠組みの中で取り組んできたことではありますが、認証対応を超えてカシオとしてできることをより能動的に考えていきます。

またカシオでは、企画・デザイン・設計の各側面から環境に配慮した商品開発を推進し、基準を満たした製品を「カシオグリーン製品」「カシオスーパーグリーンスター製品」として認定してきました。今後もこうしたモノづくりを継続していくとともに、「この認定を受けることで、製品はユーザーにどのような価値を提供できるか」というストーリーを併せて展開し、お客様との接点を強めていくことが重要と考えます。

「自然との共生」に関しては、当社の生物多様性ガイドラインに基づき、バリューチェーン全体で直接影響だけでなく間接影響まで配慮した施策を進めていきます。現在、国内を皮切りに事業所ごとの環境影響評価を進めており、これまで取り組みの遅れていた課題への対応に拍車をかけているところです。

自然との共生は、製品を通じて環境団体とのコラボレーションを取りやすい分野でもあります。特に2016年には、アウトドアに特化したスマートウォッチを発売しており、自然の中での活動シーンに豊かさをもたらす企業として存在感を発揮してきました。ブランドを通し、関連する団体ともコミュニケーションを取り、積極的に協働の可能性を探っていきます。

従業員一人ひとりが意識を高め、 持続可能な社会の実現を目指す

2017年度以降、再構築したEMSのもとで全社一体となってマテリアリティに取り組み、結果を出していかなければなりません。 そのためには、「なぜそれが重要なのか」を全従業員一人ひとりが理解した上で、目指す方向性を共有していくことが不可欠です。それぞれのテーマに、合目的的で納得性の高い目標やKPIを設定することも重要でしょう。人事評価との連携も今後は視野に入れていくべきと考えます。

17の目標により、グローバルで進むべき道が示されたSDGsは、当社社内の意識改革にも活用できると考えています。世界的なエネルギーや環境の問題に言及したSDGsを、自分とは無関係な遠い国の話ではなく、カシオの日々の仕事の先につながっているものとして捉えなければなりません。無意識のうちの行動が予想だにしない広い影響を及ぼし得るのが今日のグローバル社会であり、カシオの事業と社会問題の関連性について全社での認識を高めていきます。マテリアリティへの取り組みがSDGsへの貢献にもつながることを、誰もが実感をもって受け止められるようになることを目指します。

新たな枠組みのもとでのカシオの挑戦は始まったばかりです。新体制をいかに適正に機能させ、パフォーマンスを発揮していけるかが、私たちの今後の活動にかかっています。全社的な視点を重視した戦略的な展開で、持続可能な社会の実現に向けてしっかりと歩んでいきます。

カシオ環境ビジョン 2050 と カシオ環境宣言 2020

「カシオ環境ビジョン 2050」と「カシオ環境宣言 2020」は、カシオを取り巻く社会状況の変化に対応し、環境経営をさらに進化させていくために、それぞれ「カシオ環境ビジョン」と「カシオ環境宣言」を2012年4月に改訂したものです。

カシオ環境ビジョン 2050

2050年に向けて、カシオグループは、地球の財産である「エネルギー」「資源」「生物」の持続可能な利用と共生について、独自の取り組みを考え、実行します。

新しい価値観やライフスタイルを、今までにない市場や文化として創造し、人々の心の豊かさと健全な地球環境の持続に貢献できる 環境先進企業 を目指します。

環境先進企業・・・「0→1」を生み出すカシオ、その斬新な発想と先進の技術力に基づいた製品やサービスの創造および環境活動を通じて

  • 低炭素社会の実現
  • 資源循環型社会の実現
  • 自然との共生

に貢献していきます。

カシオ環境宣言 2020

2020年に向けた行動指針

  1.  低炭素社会の実現

    カシオグループは、CO2の削減や吸収に、より一層貢献する製品やサービスを提供していきます。
    また、太陽光・風力・水力などの人と地球にやさしいエネルギーを利用する製品やサービスを拡大していくとともに、これらの再生可能エネルギーを事業活動に取り入れていきます。

  2.  資源循環型社会の実現

    カシオグループは、地球の貴重な財産である物質・材料、水の効率的な利用、代替および再利用を図り、資源生産性をさらに高めていきます。

  3.  自然との共生

    カシオグループは、生物多様性の保全活動を通じて、地球を大切にする心を育み、自然循環と事業活動の調和に取り組んでいきます。