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携帯機器向け改質型燃料電池に最適化したEOポンプを開発

  2006年11月29日
EOポンプ [奥から]発電セルスタック、
マイクロ改質モジュールVer.33、EOポンプ
カシオ計算機株式会社は、ナノフュージョン株式会社の開発した素材を用いて、0.5ccの小型サイズで高圧を維持しながらメタノールを高精度で送液できる、携帯機器向け改質型燃料電池に最適化した「EO(Electro-Osmotic、電気浸透)ポンプ」を開発しました。

当社は携帯機器向けの改質型燃料電池の開発に取り組んでおり、メタノールから水素を取り出すマイクロ改質モジュールや、発電セルスタックなどのキーデバイスを開発してきました。米国・ホノルルで11月13日(現地時間)より開催された燃料電池専門学会「FC Seminar」では、これらの部品を組み込んだ「システムVer.35」の稼働デモンストレーションを公開。2007年度を目処に、性能評価用サンプルの出荷を開始する予定です。

今回開発したEOポンプは、燃料電池の小型化に不可欠な送液用マイクロポンプです。電気浸透材料(シリカなどの誘電体。液体に触れると電位を発生する)で構成された管状の形をしており、外側から電圧をかけることで内部の液体を動かします。小型でありながら高圧での送液ができ、回転体がないため動作が無音で、脈動などの乱れも少ないなどの特徴を備えています。当社は、ナノフュージョン社が開発した電気浸透材料(直径7mm×厚さ1mm)を用いて、独自の技術開発(後述)により、携帯機器向け改質型燃料電池に最適な送液用ポンプを開発。EOポンプ特有の、電気浸透材料が衝撃に弱い・液体が電気分解されてガスが発生しやすいなどの課題を解決し、体積0.5ccの小型サイズでありながら、100kPaでも90μl/minuteの送液量を維持できる高性能を実現しました。

同ポンプは11月29日より開催される「FC EXPO セミナー In 大阪」にてナノフュージョン社のブースに出展されます。今後は流量特性の向上や高圧化などの研究を進め、一層の性能向上に努めることで、実用化を目指してまいります。
《 主な技術開発ポイント 》
ポンプ内部に毛細管現象を応用した樹脂材料を配置することで、燃料カートリッジ装着時にメタノールを引き寄せ、ポンプ起動を助ける仕組みを装備。
メタノール水溶液中の水分が電気分解されることでポンプ内部にガスが蓄積されて送液を妨げるのを防ぐため、疎水性膜と親水性膜の組み合わせを用いて水分を分離し、ガスの影響を低減。
電気浸透材料の耐衝撃性を高めるために、弾性材による耐衝撃構造を採用。
《 EOポンプの駆動原理 》
多孔質に形成された電気浸透材の電極に電圧を付加すると、液体中の過剰となった正イオンが陰極に移動。液体自体の粘性により、正イオンの移動に引きずられて液体全体が流れ、ポンプとして機能する仕組みです。
《 今回開発したEOポンプの仕様 》
送液原理 Electro-Osmotic flow
体積(サイズ) 0.5cc (幅11×奥行き11×高さ4mm)
動作流体 MeOH 60wt% 水溶液
動作電圧 30V
流量-圧力特性 120μl/minute 背圧 0kPa時
100μl/minute 背圧40kPa時
90μl/minute 背圧100kPa時
消費電力 100mW