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PRESENTATION 発表

PRESENTATION 発表


−目には見えない自分らしさ−
多様な家族のかたち

[取材先 ]株式会社ニューキャンバス代表 杉山 文野さん

[チーム] ムジゲ イ ハリム/ハン イェウン/星島 遼太郎

ムジゲとは韓国語で「虹」という意味です。テーマである LGBTQ、セクシュアルマイノリティーの象徴の色が虹ということで、「ムジゲ」というチーム名にしました。

テーマについて

ハン はじめにテーマの紹介です。目には見えない自分らしさ、性的指向および性自認(SOGI)の問題です。SOGI の問題はしばしば社会的に明確に現れず、見落とされていたり、表面的な議論にとどまる場合が多いです。特にセクシュアルマイノリティーと関連した問題は、既存の固定観念と偏見のためにさらに隠され、ゆがんだ見方をされやすいです。これらの問題に関心を持ちながら考察した結果、杉山さんとのインタビューを通じて、ニューキャンバスが単にLGBTQの支援だけではなく、子どもたちへの教育にも力を入れていることと、そして杉山さんの家族の話について、セクシュアルマイノリティーの家族の話に興味を持つことになりました。さまざまな問題がありますが、特にセクシュアルマイノリティーの家族に関連した問題は社会的に関心を持たれていないことと、その問題解決というかそういう関心が足りないということを知り、多様な家族の形をテーマにして共有したいと思うようになりました。

覗きたい人は窓やドアが開いているよ

杉山さんについて

 これから、杉山文野さんについて紹介していきたいと思います。杉山さんは1981年東京都新宿区で生まれ、早稲田大学の教育学部に進学し、ジェンダー・セクシュアリティーを研究しました。その後、大学院に進学した同じ年に日本のフェンシング代表としても活動し始めました。面白い特徴としては、世界50カ国を旅した経験があります。左の写真が杉山さんの女子高校生時代の写真ですが、杉山文野さんは幼い頃から自分の性別に違和感を持っていましたけど、この高校時代に、自分が大人になることは想像がつかなくて、はじめて友達にカミングアウトした時期で、自分の人生を変えた時期でもあると言いました。次に、杉山さんが運営している株式会社ニューキャンバスについても紹介していきたいと思います。違いを楽しむ場づくりを行っている、人が集まる場所づくりはもちろん、家族、学校、社会の中での居場所づくりをやっています。LGBTQ にフレンドリーなレストランや、ハートをつなごう学校という LGBTQ の先輩たちの体験談や、自分一人で悩む必要がないという応援メッセージを伝えるホームページもあります。東京レインボープライドは、日本で一番大きなLGBTQのイベントですが、このイベントの運営側の共同代表としても活動していらっしゃいました(2024年9月末に共同代表を退任、現在は理事)。また、グリーンバードというボランティア活動では、杉山さんが 20 代の頃からリーダーをやっていらっしゃいます。世界的にも活動しているすごく大きいコミュニティーでもあります。そのほかにも様々なメディア、学校、企業でLGBTQ についての講演会を行っております。

LGBTQ とは?

星島 続いて、先ほど話の中にも出てきたLGBTQ について説明していきます。LGBTQ とは、L _レズビアン_女性同性愛者、G _ゲイ_男性同性愛者、B がバイセクシュアル_両性愛者、そしてTが、今回インタビューさせていただいた、杉山さんのようなトランスジェンダー。生まれ持った性と自分の認識している性が異なった人のことを指しています。Qは 「Queer」(クィア、規範的な性のあり方以外のセクシュアリティ)や「Questioning」(クエスチョニング、自らの性のあり方について決めたくない、わからない)を意味します。また、LGBTQIA+という言葉は、「Intersex」(インターセックス、典型的な男性や女性の特徴ではない身体的特徴を持つ人)や「Asexual」(アセクシュアル、他者に対して性的欲求を抱かないセクシュアリティ)を含みます。そして、LGBTQ の理解者や支援者を指し「Ally」という言葉があります。このように女性、男性の二つに分けられるものではなく、生物学上の性が男性、女性、どちらにもあてはまらない中性的な人もいますし、性自認が男性や女性にかかわらず、もしくは性自認というこの考え方について否定的な人もいます。そして、性的指向は女性と男性どちらかということではなく、両方などと、さまざまな選択肢があるため、性というのは無限の形が存在するということができるのです。

丁寧な暮らしやものづくり
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また、セクシュアルマイノリティーの人は 5%から 8%ほどいると言われています。それは 13人から 20人に1人がセクシュアルマイノリティーといわれていて、5%から 8%ではピンとこないかもしれないのですが、日本の名字のランキングの1位から5位である、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、渡辺さん、これらの日本における人口の比率が大体 7%ほどなので、目に見えてないだけで多くの人、多くのセクシュアルマイノリティーの人がまわりにいるということが知れると思います。

ハン このように、LGBTQの方々は目に見えないだけで、私たちの友人や家族の中にも存在しています。彼らの築く家族は特別でも新しい形でもなく、多様な家族の形のあり方の一つなんです。このように、実際にも事実婚や同性カップル、シングルマザー、シングルファザーなど、家族の形は無限であります。

多様な家族のかたち

現在の杉山さんの家族について簡単に説明を行っていきたいと思います。3 人親と子どもたちです。子どもたちの生物学的父であり、精子提供者であるゲイのゴンちゃん。そして、トランスジェンダーの男性であり、法的養母の杉山さん。法的養母というのは、日本の法律的に戸籍上の性別は変えられないということで、他人で本当に法的に家族になるためには養母というあり方でいるべきということです。そして、子どもたちの生物学的母の杉山さんのパートナーである彼女です。杉山さんがトランスジェンダーの男性であるため、自然妊娠が困難な問題があります。そして、長い親友のゲイのゴンちゃんに精子の提供いただいて、杉山さんのパートナーである彼女が体外受精で子どもたちを産む形で家族を構成しています。子どもが生まれた以降は、杉山さんとパートナーが暮らしている家にゴンちゃんが定期的に足を運ぶ生活をしています。養育費も 3人で分担して、3人で子育てを行っています。何でも話し合って決める、話し合いながら逃げない、がルールで、何かあったとすると絶対3人の LINEグループでコミュニケーションを取りながら問題解決をしているとおっしゃいました。2022年には杉山さんとパートナー、子どもたちは、パートナーの実家のある長野に引っ越しし、ゴンちゃんも2拠点生活を始め、月に数回は長野の家に行って一緒に子育てをしているとおっしゃいました。このような杉山さんの家族の形を見て、杉山さんにとって家族とは何だろうという疑問が浮かびました。そこで、杉山さんにインタビューを行いました。

丁寧な暮らしやものづくり
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杉山さんのインタビュー映像

新しい家族の形とか多様な家族ってすばらしいみたいに言われることもあるんですけど、個人的にはまったくそうは思ってなくて、家族ってみんな多様な形があるんですよね。
これまでも別にすごく新しいというわけでもないと思いますし、その新しい家族を目指して作ったわけでもない。けれども、結果的に、自分が家族も欲しいんだというふうに思ったって、現実的にどうしていくんだろうっていうのを考えて今の形にたどり着いたという形だと思ってるので、すごく、多様な家族で先進的でって言われると、何かちょっと違うんだけどなっていうふうに感じてます。

ただ、自分にとって家族って何かっていうと、やっぱり家族とはこうあるべきっていうものがあるわけではなくて、こうありたいっていう、お互いを尊重しながら、その家族っていうものは作っていくものなんじゃないかなっていうのが一番の自分の感覚ですかね。その自分の家族を自分たちで作っていく。
だから、血がつながってる、法律上つながってる、つながってないというよりも、やっぱり自分の家族だと思う人たちと家族に自分たちでなっていくっていうのが家族なんじゃないかなと思いますし、逆に言うと私は家族というのは一番大切な他人だというふうに思っているんですね。
というのは、自分以外は結局全員他人なんですね。血がつながっていようと法律でつながっていようとそうじゃなかろうと。でも、だからこそ家族ってすごく一番大切な存在、自分が大切に思うのであれば、そういう他人にこそ一番丁寧なコミュニケーションしなきゃいけない。
そうすると、親だからやってくれて当たり前とか、お母さんがごはん作ってくれて当たり前みたいなことじゃなくて、お母さんだって、ごはん作ってくれたら「ありがとうね」とか、悪いことしちゃったなと思ったら「ごめんね」と言うとか、家族だから言わなくても分かるでしょうじゃなくて、言ったって分からないことたくさんあるんだから、最低でも言わないと分からないよねと。
それは自分の今、子育てしている子どもたちに対してもそうですし、パートナーに対してもそうですし、もともとの自分の親とかきょうだいに対してもなるべくちゃんと言葉で感謝を伝えたりとか、丁寧なコミュニケーションをすることを僕自身は心がけています。

覗きたい人は窓やドアが開いているよ

ハン 家族って何だろうって杉山さんに聞いたときに、「自分と違う他人」とおっしゃいました。
親には親の人生、僕には僕の人生がある、お互いにはあくまでお互いの人生の登場人物にすぎない。だからこそ、個人として尊重しながら、何かあったら当たり前だと思わずにコミュニケーションを取って、ちゃんと伝えるべきとおっしゃいました。このように、杉山さんのような家族の形は、社会が定めた伝統的な枠組みを破り、各自の選択と価値観によって作られる場合が多く、単なる血縁関係の形を越えて、それぞれのアイデンティティを尊重し、一緒に生きていく方法を指していると思いました。彼らの姿は、自分らしく生きていこうとする個人の努力と決断で成り立っていると感じました。これがまさに自分らしく生きていく人生の一つの表現だと思うようになりました。このようなインタビューを通じて、家族とは何だろうってずっと考察したのですが、個人的には、本当に、「ひとつのテーブルの上に」という言葉のように、同じ場所でごはんを食べたり生活を共有したり、同じ夢に向かって一緒に歩んでいく存在が真の家族ではないかと思うようになりました。

星島 はい、私もこの取材などを通して多くのことを学ぶことができて、まずLGBTQなどの性的マイノリティーに対する理解が深められましたし、また杉山さんの言葉のように、人との対話とか、コミュニケーションを取ることの大切さについて気付くことができました。それはこれからの共生とかを考えるうえでとても重要な二つだと思うので、この学びを生かしてこれからの共生につなげていけたらなと思います。

 今回、杉山文野さんの取材で自分が得たのは、普段、学校の中でも教授や友達がLGBTQ である場合が結構多かったんですけど、この取材を通じてLGBTQとは何か、そしてLGBTQの人と対するときにどのようなことが大事なのかを知ることができました。以上です。

ハン 最後に、こちらの質問を皆さんにして、発表を終わらせていただきたいと思います。

みなさんにとって家族とは何ですか。以上です。ご清聴ありがとうございました。

( 拍手 )


PRESENTATION 発表

食事をしましょう

[取材先]ウクライナ避難民運営食堂 Nadiya
[チーム]食口(シック):オウ シンイ/齋藤 陽樹/松本 万梨

子どもたちと共に生きる

[取材先]児童養護施設れんげ学園
[チーム]グレーグレイス:イ ダビン/川﨑 風香/宮本 悠帆/村松 知明

DISCUSSION 議論

ひとつのテーブルの上で

参加者との議論

QUESTIONNAIRE 参加者の声

参加者の声

アンケートより

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