環境コンプライアンス
ここでは、カシオの環境コンプライアンスの取り組みを紹介します。
基準管理と監査 ~定期的な内部監査と認証機関による審査
カシオのISO14001認証取得拠点数は14拠点です。
このうち、カシオ計算機の3拠点(本社、羽村技術センター、八王子技術センター)は、2017年度より、統合して活動を開始しました。
これらの各事業所では国や県‧市が定める規制基準および自主基準に基づき、排出ガス濃度(ばいじん‧SOx‧NOx)や排出水質(有害物質を含む水)の測定による状態管理や改善活動を定常的に実施しています。また、有害化学物質の使用状況、VOC(揮発性有機化合物)の取扱量や大気排出量の測定‧報告なども行っています。
また、空調機器や冷蔵機器などに使用され地球温暖化係数がCO2の数千倍の影響があるフロンガスの漏洩への対応は、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律に基づき簡易点検や定期点検などを実施し、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構が運営する冷媒管理システムRaMSを利用したデータベース管理に全拠点が参加することで、充填及び回収量の把握に努めています。
さらに、各事業所では内部環境監査員の育成を行い、内部監査を実施する他、定期的に認証機関による審査を受け、不適合があった場合は社内で定められたフローに従い是正処置を実施し、継続的な改善活動を行っています。
今後、カシオの環境リスク管理の強化や環境パフォーマンス向上に向けて、内部環境監査員には、環境リスク感知能力の向上、各種環境関連法規制や化学物質管理に関する専門知識の向上、さらに課題発見や改善提案を行うなど、「現地‧現場」から環境コンプライアンスを先導する役割が望まれています。
製品環境法規制への取り組み
1.特定化学物質に対する含有量の規制
当社では、世界各国の環境法規制に対し、特定化学物質の含有量を基準値以下に制限することで、人体への健康被害ゼロと生態系への影響最小化に取り組んでいます。
■推進体制
「全社品質高揚委員会」の下に「環境規制WG」を設置し、開発・設計・品質保証・購買・生産・営業・サービスまでの全関連部門が連携。情報共有と対応方針策定により、継続的なPDCAサイクルを確立しています。
■運用システム
・カシオグリーン調達基準書:部品・材料の採用ルールを制定・更新
・カシオグリーンデータベース:部品・材料の採用・調達の判断を効率化する管理システム
2005年末にEU RoHS指令対応により鉛など6物質を全廃、2018年末に特定フタル酸エステル類4物質(DEHPなど)を全廃。現在まで更新を進め、最新の基準では、2026年に中鎖塩素化パラフィン(MCCPs)、長鎖ペルフルオロカルボン酸その塩及び関連化合物を加えた41の含有禁止物質と11の含有削減物質を制定しています。
近年急速に拡大する世界の環境法規制に対し、組織的な管理体制とシステムにより確実な遵守を実現しています。
カシオ製品にかかわる主な環境法規制
2.消費電力に対する電源効率の規制
AC電源に接続される製品には電源効率に関する各国の環境法規制があります。当社では環境法規制の対象製品に対し、開発段階から要求事項の適合性を評価した上で、当局へ申請・届出を実施しています。
使用済み製品の回収・リサイクル・適切な処分に関するコンプライアンス
使用済みの電気電子製品、包装材、電池を回収・リサイクルするための法規制は世界の各地域にあります。省資源・リサイクル配慮設計、ユーザーによる分別回収を促進するための表示や情報提供、適切な処理のための情報提供などについて、それぞれの規制の要求事項に対応しなければなりません。
カシオでは、製品環境アセスメントにおいて、製品の省資源化、易解体性、リサイクル可能性、再生材の利用状況を評価しており、またラベル表示や記載情報について、世界各地域の法的要求事項を満足しているかどうかを確認しています。
2013年4月の「小型家電リサイクル法」施行に合わせて、再資源化しやすい製品を開発するために、各製品ジャンルの関係者(設計者等)によるプロジェクトを立ち上げ、使用済み小型家電のリサイクルを手がける中間処理事業者及び金属精錬事業者等を訪ね、解体方法などについての聞き取り調査を実施してきました。それらを参考に再資源化しやすい製品の開発を行えるよう、製品環境アセスメントに反映しました。
省エネルギーおよび気候変動対策にかかわるコンプライアンス
グループ事業所のうち比較的規模の大きい日本国内の事業所では、
国内の省エネルギーおよび気候変動対策にかかる法規制への対応を行っています。
1.エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)
カシオでは、省エネ法の要求事項に従い、事業者単位でのエネルギー使用の合理化等について対応しています。2024年度現在、カシオ計算機(株)と山形カシオ(株)がそれぞれ特定事業者に指定されており、2009年度より定期報告書・中長期計画書を提出しているほか、「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」に従い、エネルギー管理統括者等を設置し、エネルギー使用の合理化等の活動を進めています。
2.温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)
カシオでは、エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガスについて、法令の定める基準を超える排出はなく、このため、省エネ法定期報告書を提出することにより、温室効果ガス排出量の報告に関する要求事項に対応しています。
3.東京都環境確保条例(「地球温暖化対策報告書」制度)
東京都環境確保条例の地球温暖化対策報告書制度では、事業者が都内に設置する複数の中小規模事業所の原油換算エネルギー使用量の合計値が3,000kL/年以上となった場合、事業所ごとの省エネルギー対策の取り組み状況などを記載した報告書の提出を義務付けています。
カシオは2019年度以降、報告書の提出義務要件に該当しておらず、任意提出を行っていません。ご参考として、過去に提出した報告書を掲載いたします。
環境情報開示におけるコンプライアンス
企業の情報開示基準を巡る国際的な動きも活発化しています。
特に、国際財務報告基準(IFRS)の国内基準化を求める中で、非財務情報の開示を加えて企業の将来を見通す情報を「マネジメント・コメンタリー(MC)」として提供させようという動きが進んでいます。つまり企業の置かれている状況、事業戦略、リスク、財務業績などとの関連性がデータで示される非財務情報の開示が望まれてきているのです。
このために、カシオは、すべてのステークホルダーに正しい環境情報がわかりやすく開示できるよう、
- 環境影響に関する、より正確な指標の採用と比較可能性の提供
- 企業戦略との相互関連性が伝わる、環境を含む非財務情報の提供
- 環境情報が企業業績向上に与えている影響力の説明の提供
などを目指し、環境情報開示に取り組んでいくとともに、世界的な非財務情報の開示基準や規格化に対応する作業を進めていきます。
環境に関する規制遵守の状況
カシオでは、当該年度、環境に関する法令違反・罰金・科料・訴訟などはありません。
※2025年11月25日更新
