環境側面のマテリアリティ

脱炭素社会の実現イメージ写真です。

脱炭素社会の実現

課題認識

近年、温室効果ガス(GHG)の濃度上昇に起因するとされる気象現象の激甚化が起こっています。豪雨による河川の氾濫や土砂災害により、世界各地で人々の生活基盤と生命が奪われ、経済的損失が拡大しており、国連など国際政治の立場だけでなく、世界の経済界でも金融分野を中心として危機的な認識が強まっています。

こうしたなか、2015年には「持続可能な開発目標(SDGs)」とCOP21の「パリ協定」がそれぞれ国連で採択されました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前から1.5~2℃未満に抑制することを目標とし、その達成のために今世紀後半には世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが掲げられています。
また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2018年10月に、科学的知見にもとづいた特別報告書「1.5℃の地球温暖化」を公表し、地球温暖化を2°Cではなく、1.5°Cに抑えることが強調されています。

このように、国際的な認識は「地球温暖化」から「気候変動」へとシフトし、さらには、「気候危機」へとシフトしています。これらの認識の変化を踏まえ、カシオとしては未来に実現すべき社会の在り方を、「低炭素社会」から「脱炭素社会」へと変更しました。

また、科学的知見と整合した脱炭素化の削減目標を推進するため、長期目標の見直しと算定基準の見直しを行いました。

関連するSDGsの画像です。

カシオグループとの関わり

カシオではごく一部の工程を除き、最終製品の組み立てが生産工場での主要な作業であり、グループ内に材料系やデバイス系の事業を有さないため、工程内での温室効果ガスの直接排出は比較的小さく、また、電力消費も他の業態と比較して大きな方ではありません。しかしながら、これらのグループ内でのエネルギー使用をグリーン電力に切り替えるなど、脱炭素化を図る余地は大いに残されています。また、バリューチェーンにおける間接影響としての温室効果ガスの排出量削減にも、大きな改善の余地があります。

カシオの製品はユーザーのライフスタイルにおいて、常にその傍らにあって、生活や趣味、あるいは、教育や業務を便利にしたり豊かにする存在です。これらの製品を市場に供給するカシオの事業が成り立つのは、社会の安心や安全が維持されていればこそであり、その意味で気候危機は大きなリスクであり回避しなければなりません。

一方で、カシオは創業以来、市場に供給する製品において「小型・軽量・薄型・省電力」を追求してきました。また、幅広い使用条件でも機能を発揮することにもこだわってきました。これらのこだわりはこれからも継続し、ユーザーの使用場面での環境負荷を最小化するとともに、ウオッチなど防水性を備えた製品は気候危機の環境下でも変わらず機能を発揮する、そんな存在であり続けることで、市場で支持される機会が拡大する可能性があります。

目標と行動計画

カシオは、脱炭素社会の実現に向け、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量について目標を設定し取り組んでいますが、このたび国際的な要求に対応し、中長期目標の見直しを行いました。

従来は日本政府の目標に合わせ2013年度基準で2030年度までに26%削減、2050年度までに80%削減する目標を設定していたところですが、今後は2018年度基準で2030年度までに38%削減、2050年度までにゼロにする目標に上方修正しました。
この変更は、地球の平均気温の上昇を1.5℃以内に収めるためのたいへん厳しい目標であり、長期に渡る目標管理において数値的な妥当性を確保するため、電力CO2排出係数についてマーケット基準を基本とする算定基準の見直しを行いました。なお、この算定基準は2018年度実績より適用します。
従来の削減目標に基づく経年データは、参考扱いとなります。
算定基準の詳細は、「環境パフォーマンスデータ」の「算定基準」を御参照ください。

また、バリューチェーンでのCO2排出量(スコープ3)について、購入した製品・サービス(カテゴリー1)と販売した製品の使用(カテゴリー11)によるGHG排出量を2018年度基準で2030年度までに30%削減する目標を新規に設定しました。

従来の中長期目標に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の削減計画

従来の中長期目標に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の削減計画グラフです。

新たな中長期目標に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の削減計画

新たな中長期目標に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の削減計画グラフです。

中長期目標と実績

評価 ◎:すべての目標達成、○:目標をおおむね達成、△:成果より課題が残る、×:進捗なし

中長期目標 2019年度目標 2019年度実績 評価 2020年度目標
[長期目標]カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2050年度までにゼロを目指す SBT認定取得およびRE100加盟 SBT認定取得推進
長期CO2削減目標および削減シナリオを再策定
SBT認定取得およびRE100加盟
[中期目標]カシオグループ全体のマーケット基準の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2018年度基準で2030年度までに38%削減する カシオグループ全体のロケーション基準の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を、2013年度基準で9.6%以上削減する 算定基準を見直したロケーション基準に基づき、カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を、2013年度基準で24.54%削減 期中に算定基準を変更したため、実績は評価せず 新たな算定基準(マーケット基準)に基づき、カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2018年度基準で6.3%以上削減する
購入した製品・サービス(カテゴリー1)と、販売した製品の使用(カテゴリー11)による温室効果ガス排出量を、2018年度基準で2030年度までに30%削減する サプライヤー調査の策定 サプライヤー調査を関連部門と検討済み サプライヤーのCO2削減目標を調査する

活動実績

事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1、2)

今回見直した中長期目標に基づき、新たな算定基準を適用して2019年度の実績を評価すると、2013年度比24.54%の削減となり、従来の中期目標を達成することができました。
今後は、省エネ活動や高効率設備の導入のほか再生可能エネルギーの活用をさらに推進すると共に、新規設定した温室効果ガス削減目標に基づき、SBT認定取得やRE100への加盟を目指します。

算定基準を見直したロケーション基準を適用した温室効果ガス排出量(スコープ1・スコープ2)の推移

算定基準を見直したロケーション基準を適用した温室効果ガス排出量(スコープ1・スコープ2)の推移グラフです。

新たな算定基準(マーケット基準)を適用した温室効果ガス排出量(スコープ1・スコープ2)の推移

新たな算定基準(マーケット基準)を適用した温室効果ガス排出量(スコープ1・スコープ2)の推移グラフです。

算定基準を見直したロケーション基準に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の推移

(t-CO2

  2013
(基準年)
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2030
実績 CO2
排出量
39,298 38,065 37,267 37,142 33,869 32,090 29,653 - -
削減率 - 3.14% 5.17% 5.49% 13.82% 18.34% 24.54% - -
中期削減目標 CO2
排出量
39,298 38,697 38,096 37,495 36,894 36,293 35,692 35,091 29,080
削減率 - 1.53% 3.06% 4.59% 6.12% 7.65% 9.18% 10.71% 26.00%

新たな算定基準(マーケット基準)に基づく温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の推移

(t-CO2

2018
(基準年)
2019 2020 2030
実績 CO2
排出量
32,089 28,893 - -
削減率 - 9.96% - -
中期削減目標 CO2
排出量
32,089 31,073 30,057 19,895
削減率 - 3.17% 6.33% 38.00%

スコープ3

カシオは温室効果ガス排出量について、自社の事業活動による排出(スコープ1、スコープ2)と、上流及び下流に位置するバリューチェーン全体における排出量(スコープ3)を原単位により算定しています。スコープ3のCO2排出量のうち、「購入した物品・サービス」(カテゴリ1)の排出量が60%以上を占めているため、今後は主要サプライヤーへの温室効果ガス削減の目標設定への働きかけを中心に、バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減活動を推進していきます。

バリューチェーン全体でのCO2排出量