カシオのサステナビリティ経営のあるべき姿
カシオのサステナビリティ経営のあるべき姿とは、カシオグループが事業運営を通じて、社会から期待される環境社会面の課題の解決を図りつつ、持続的に成長することにより、社会から必要とされ、従業員からも尊敬される会社であり続けることです。

カシオのマテリアリティ
考え方
グローバルに事業展開するカシオにとって、国際社会からの要請に基づいて取り組みを推進することは極めて重要です。近年では、持続可能な社会の実現に向けた潮流も変化し、企業に事業活動(本業)を通じてより戦略的に取り組みを行うことが期待されるようになりました。カシオもその例外ではなく、これまで取り組んできた「0→1」を生む事業活動を通じた貢献を、より戦略的に実施することが求められています。
こうした流れを受けて2013年5月に発行されたGRIガイドライン第4版(G4)に対応し、カシオが重点的に取り組むべきマテリアリティを特定しました。今後は特定した課題についての取り組みを進め、サステナビリティマネジメントのPDCAサイクルにて取り組みの進捗を図っていきます。
KPI・実績
評価 ◎:すべての目標達成、○:目標をおおむね達成、△:成果より課題が残る、×:進捗なし
カシオのマテリアリティ | 2019年度の目標とKPI | 2019年度実績 | 評価 | 2020年度の目標とKPI |
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脱炭素社会の実現 | SBT認定取得およびRE100加盟 | SBT認定取得推進 長期CO2削減目標および削減シナリオを再策定 |
△ | SBT認定取得およびRE100加盟 |
カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を、2013年度基準で9.6%以上削減する | 新たな算定基準(ロケーション基準)に基づき、カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を、2013年度基準で24.54%削減 | ◎ | 新たな算定基準(マーケット基準)に基づき、カシオグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を、2018年度基準で6.3%以上削減する | |
サプライヤー調査の策定 | サプライヤー調査を関連部門と検討済み | ○ | サプライヤーのCO2削減目標を調査する | |
資源循環型社会の実現 | カシオグリーンスター製品売上比率74%を目指す | 売上比率74% | ◎ | カシオグリーンスター製品売上比率76%を目指す |
事業拠点廃棄物の再資源化率90%以上とする | 再資源化率94% | ◎ | カシオグループ全体の再資源化率95%以上を目指す カシオグループ全体の廃棄物等発生量を前年度比1%以上削減する |
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水使用量を2018年度⽐で1%削減する | 2018年度比9%削減 | ◎ | カシオグループ全体の水使用量を前年度比1%以上削減する | |
自然との共生 | 国内向け製品カタログの森林認証紙比率を80%以上とする | 集計中 | - | 国内向け製品カタログの森林認証紙比率を80%以上とする |
CSR調達の推進 | (1) 各拠点・取引先のCSR教育 ベンダーMTGでの啓蒙活動 中国にて1回実施 |
各拠点・取引先のCSR教育 ベンダーMTGでの啓蒙活動 中国にて1回実施 |
○ | (1) 各拠点・取引先のCSR教育 ベンダーMTGでの啓蒙活動の継続 中国にて1回実施 |
(2) 年次監査のフォロー 製造拠点及び取引先の立入監査フォロー |
製造拠点3工場において顧客要請のCSR関連の監査を受けフォロー お取引先様に対し、中国において4社、タイにおいては8社の立入調査を実施 |
○ | (2) 年次監査のフォロー 製造拠点、顧客要請の監査の継続 製造拠点、書面調査の実施 取引先立入監査継続 |
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働きやすい職場環境の提供とダイバーシティの推進 | ・育児休業取得率 90%以上維持継続 ・育児休業復職率 90%以上維持継続 (正社員) |
・育児休業取得率100% ・育児休業復職率100% (正社員) |
◎ | ・育児休業取得率 90%以上維持継続 ・育児休業復職率 90%以上維持継続 (契約社員含む) |
女性採用比率 25%以上 | 2020年4月入社42名中、女性13名(30.9%) | ◎ | 女性採用比率 25%以上 | |
障がい者法定雇用率 連結2.2%以上 ・カシオ計算機9名の採用 ※人数はポイント制 |
障がい者雇用率 連結2.14%(2020/4/1現在) ・カシオ計算機13名の採用 |
△ | 障がい者法定雇用率 連結2.3%以上 | |
定期健診の事後措置実施率80%以上 | ・事後措置実施率 80.6% ・より自助努力をして健康になった人がポイント取得できるように制度を見直し、健康な従業員、健診結果改善者にポイント付与し、ポイント分に相応する健康関連商品を提供する健康増進報奨制度の実施 |
〇 | 定期健診の事後措置実施率80%以上を維持 | |
・メンタル不全率の実態把握 ・新入社員・役職者向けEラーニングの実施 ・若年向け仕事別レベルアップ研修の実施(8月) |
・連結でのメンタル不全率の把握(年度末)連結で不全率0.5% ・新入社員向けEラーニング(未実施) ・新任役職者向け研修実施(8月、12月) ・若年向け仕事別レベルアップ研修の実施(8月) |
△ | ・メンタル不全率の実態把握 ・新入社員Eラーニングの実施 ・新任役職者向け研修実施 ・若年向け仕事別レベルアップ研修の実施 |
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・高ストレス率の把握(2月) ・希望者への産業医面談の実施(2月~4月) ・健康リスク率部門別の把握(4月) ・職場分析とフィードバックの実施(5月) |
・高ストレス率の把握(2月) ・希望者への産業医面談の実施(2月~4月) ・健康リスク率部門別の把握(4月) ・職場分析とフィードバックの実施(5月) |
○ | ・高ストレス率の把握(2月) ・希望者への産業医面談の実施(2月~4月) ・健康リスク率部門別の把握(4月) ・職場分析とフィードバックの実施(5月) |
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人権の尊重 | (1)人権課題チェックとフィードバックの実施:全営業系グループ会社(100%) | 社内の大規模な組織改編および新型コロナウィルスの影響により2020年6月に延期の上実施。 | × | (1)人権課題チェックとフィードバックの実施:全営業系グループ会社(100%) |
(2)CSRリーダーへの人権専門教育の実施:CSRリーダー入れ替えに伴い、カシオ国内グループ全体(100%) | 2019年6月に認定NPO法人ACEの白木事務局長をお迎えし、「ビジネスと人権」をテーマに講演・ワークショップを実施 | ○ | (2)サステナビリティリーダーへの人権専門教育の実施: | |
(3)苦情処理の仕組み整備:仕組み確立と全面稼動稼働 | 2019年5月にウェブによる社外受付窓口を一新し、欧州GDPRに対応するとともに、半匿名(社外受付窓口に対して実名、会社に対して匿名)の通報者とホットライン事務局が直接やり取りできる仕組みを新設 | ○ | (3)窓口・ルートの周知徹底 |
マテリアリティ特定のプロセス
STEP1 自社にとっての重要性の特定
2014年度にカシオの事業分野、事業領域などに即して詳細に課題を整理し、自社における優先順位を整理しました。
STEP2 ステークホルダーにとっての重要性の特定
2015年度にステークホルダーへのアンケート・ヒアリングを実施し、ステークホルダーの視点から重要と考えられる課題を整理しました。
STEP3 まとめと最終化
2015年度にはSTEP1・STEP2での協議結果をもとに最終的にはCSR担当役員の承認を得てカシオのマテリアリティを決定しました。
STEP4 KPIの策定と推進
2016年度には特定されたマテリアリティに即して、各責任部門において、その取り組みを定量的に評価するためのKPI※を策定し、PDCAサイクルで活動を管理しながら推進を図ります。
- KPI: Key Performance Indicator(重要業績評価指標)
STEP1 自社にとっての重要性の特定
GRIガイドライン第4版が提示している46の側面について、事業セグメントや、各セグメントにおけるバリューチェーン、展開する地域などを評価項目として、側面ごとに自社におけるリスクや自社が与える影響度の大きさを分析し、重要な側面を整理しました。さらに、整理した側面について、CSR主管部門において精査し、自社軸として最終化しました。
STEP2 ステークホルダーにとっての重要性の特定
GRIガイドライン第4版に基づき、46の側面を「経済」「環境」「労働慣行」「人権」「社会」「製品責任」の6つに分類し、それぞれについて関係性の深いステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、重要性を特定しました。
お客様や従業員に対しては、アンケートを実施することで、ステークホルダー視点で重要性の高い側面を導き出し、さらにそれぞれのテーマを専門とする有識者へのアンケートおよびヒアリングを通じて、社会からの要請を整理し、ステークホルダー軸として最終化しました。
STEP3 まとめと最終化
STEP1・STEP2で導き出した側面をマッピングし、優先度が高く位置づけられた側面を中心に8のマテリアリティを特定しました。最終的にはCSR担当役員の承認を得てカシオグループにおける中期的なマテリアリティとして定めました。
カシオのマテリアリティ

カシオのマテリアリティ | マテリアルな側面 | バウンダリー | |
---|---|---|---|
社内 | 社外 | ||
資源循環型社会の実現 | 製品及びサービス | ● | ● |
低炭素社会の実現 | エネルギー | ● | ● |
大気への排出 | ● | ● | |
自然との共生 | 生物多様性 | ● | ● |
CSR調達の推進 | サプライヤーの環境評価 | ● | ● |
サプライヤーの労働慣行評価 | ● | ● | |
サプライヤーの人権評価 | ● | ● | |
サプライヤーの社会への影響評価 | ● | ● | |
働きやすい職場環境の提供とダイバーシティの推進 | 雇用 | ● | |
多様性と機会均等 | ● | ||
人権の尊重 | 投資 | ● | ● |
非差別 | ● | ● | |
結社の自由と団体交渉 | ● | ● | |
児童労働 | ● | ● | |
強制労働 | ● | ● | |
人権評価 | ● | ● | |
人権に関する苦情処理制度 | ● | ● | |
腐敗防止の取り組み | 腐敗防止 | ● | ● |
経済的パフォーマンスの最大化 | 経済的パフォーマンス | ● | ● |
マテリアリティの見直し
カシオは、2016年度から推進してきたマテリアリティについて、2018年度までの3年間の取り組みを振り返り、その結果、「腐敗防止の取り組み」を除きこれらをもう1年延長して推進することとしました。
2020年度についても、新型コロナウィルスによる事業への影響を鑑み、さらに1年従来のマテリアリティを延長して取り組むこととしました。
また、2019年度は、各事業において取り組むべきサステナビリティ目標を策定し、事業ごとに目指すべきゴールを明確にしましたが、2020年度においては、アフターコロナの世界も見据え、中期経営計画の見直しと歩調を合わせて修正していく予定です。
マテリアリティについても、サステナビリティ目標の修正に合わせて見直しを行い、サステナビリティ目標を補完する形で、私たちが果たすべき社会的責任を再整理する予定です。