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人材育成

マネジメント

社会的背景

事業環境の急激な変化や多様な働き方など、企業がその変化に柔軟に対応し、成長し続けるためには従来の会社主導の能力開発だけでなく、会社と社員がwin-winの関係をつくり、共に成長し続ける環境をつくっていくことが大切と考えています。

方針

「社員の持続的成長(育成)こそが、企業の持続的価値向上につながる」という考え方から、社員それぞれが自律的に必要なスキルを得られるような体制を整備し、社員個人の成長を支援していきます。 特に、各年代のキャリアの節目でキャリア研修や面談の実施、スペシャリストとしてのキャリアを支援する研修の充実、上司の業務支援やキャリア支援向上のための研修を充実するなど、社員のキャリア形成支援の取り組みを行っています。
また、各社員に与えられた役割を果たすために必要となるベースの知識やスキルを身につけるための階層別研修については、今後も継続して実施していきます。
2024年度は価値創造に向けた人的資本投資の内、人材育成分野では、自律人材の育成、マネジメント強化を重点的に実施いたします。

体制

人事部では、人材育成にかかわる全社的な施策の検討および全社共通教育の企画、推進を行っています。なお、それぞれの部門で必要となる専門スキルについては、各本部と人事部で連携しながら、企画、推進を行っています。

活動実績

人材開発体制の概要

人材育成体系

カシオの人材開発は、求める社員像(自ら考え行動し、その成果として会社の成長発展に貢献する)を軸に、その要素を盛り込んだ各施策、制度を整備しています。
階層ごとの研修や、幹部候補育成のための選抜研修、年代別のキャリア研修等、各階層および各年代の社員に対して必要な育成施策を実施し、常に改善・拡充に努めています。

また、社員一人ひとりが自律し、やりがいをもってイキイキと働くための「キャリアサポート制度(後述)」や、年に一度、自身のキャリアを棚卸し、今後の計画を策定する機会を設ける等、自らキャリアを描いていけるサポートをしています。

年間平均研修時間 (カシオ計算機)

2023年度の年間平均研修時間は、男性7.8時間、女性7.7時間となっています(2022年度は男性6.4時間、女性6.6時間)。2023年度は、キャリア研修をはじめ、ダイバーシティ研修、幹部候補育成研修について、充実させる取り組みを行いました。2024年度は引き続き経営方針に沿った人材育成に向けて研修の充実を図り、研修時間を確保していきます。

※今期より算出方法を変更(対象にシニア社員を追加)

平均研修時間

人材の活用と育成に関する点検・検査

各研修終了後に、受講者へのアンケートを実施し、その要望・意見を次年度以降の改善につなげています。
また、キャリアプラン登録(後述)にて、社員がキャリアを棚卸し、今後のキャリア希望を登録できる仕組みを用意しており、その内容は人員配置への活用、次年度以降の研修企画・改善に活用しています。

2023年度の総括と今後の課題

2023年度は、人的資本投資を通じた価値創造を目指し、人材育成分野では自律人材の育成、マネジメント強化に重点を置きました。
マネジメント強化では、新たに「マネジメント研修(統轄部長・部長)」を実施しました。この研修では、経営視点の獲得、役割理解、そして部下の自律的思考や行動を促進するスキル向上を目指し、マネジメント力の強化を図りました。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材育成の取り組みとして、DX入門研修を実施しました。この研修は、社内向け生成AI「CASIO AI Chat」の全社導入に伴うトライアルとして行われ、主にDXの基本的な知識と生成AIの活用方法を学び、業務改善のヒントを得ることを目的として実施しました。
2024年度は、部長向けと一般社員向けのカシオAIチャット活用研修を実施し、更なる生産性向上を目指します。
自律人材の育成では、年代別キャリア研修やその他の支援施策を強化して継続的に実施し、社員のキャリア形成を支援しました。
2024年度も引き続き、自律人材の育成、マネジメント強化に重点を置いた施策を実施いたします。自律人材の育成については、キャリアサポート制度の充実を図ります。マネジメント強化については、役割や格付けに基づくターゲット層に応じた施策を推進し、全社のマネジメントレベル向上を目指します。

主な制度の紹介

■キャリアサポート制度
会社や社員の取り巻く環境が変化する中、社員一人ひとりが納得したキャリア形成を実現していくことで、働きがい、やりがいを持ってイキイキと働け、かつ、会社も共に成長・発展していけると考えています。そのために社員が年に一度、自身のキャリアを棚卸し、今後のキャリアプランを考えることを軸に、社員一人ひとりが自分自身でキャリアを描いていけるサポートをしていきます。

【キャリア研修】
社員が各年代のキャリアの節目(30歳、40歳、49歳、55歳)で自身を見つめ直し、働き方を考える支援として、キャリア研修とキャリア面談を実施しています。なお、2023年度は364名(新入社員キャリア研修含む)がキャリア研修を受講しました。累計では、正社員に占めるキャリア研修カバー率は43.7%となります。今後も継続的に実施し、キャリア形成の支援を促進していきます。

【キャリアプラン登録】
社員一人ひとりの自律的なキャリア形成のため、年に1回、自身のキャリアを棚卸し、今後の計画を策定するものです。社員は、過去の経験/保有スキルや将来チャレンジしたい業務を申告し、その内容を上司が確認の上、育成ローテーション、教育機会等の参考として活用しています。

【スキルアップ支援施策】
社員が業務遂行に必要と感じるスキルを自律的に選択し、習得する事を目的として制定したものです。選択型研修と通信教育に加え、2023年度からは多様な学習スタイルに対応するためにビジネス動画学習を新たに導入しました。選択型研修は、社外公開講座のさまざまな研修コースから選択することができます。対象とするスキルは「専門スキル」「思考スキル」「対人スキル」の3系統に分類されています。ビジネス動画学習は、基礎から最新知識・ビジネス周辺知識まで3400コース以上の学習動画を時間や場所に制限されず視聴することができます。なお、2020年度より、若手社員を計画的に育成するため、若年層に必要なスキルを体系化し、新卒入社1年目~5年目の社員に、スキル選択型研修の年1回の受講を義務付けています。

【スペシャリスト育成支援】
スペシャリストとしてのキャリアを支援するために、専門性を高めるための研修を実施しています。
特にエンジニアに対しては、新人研修時に技術基礎スキルの習得を目的とした集合研修やデザイン思考ワークショップを実施し、基礎力構築を図っています。
また、自身の技術領域の必要スキル獲得のため、スキルアップ支援施策(専門スキル)を実施しております。必要な科目を約600コースから選択受講できる体制を整備し、専門性向上の支援を行っています。このほか、選抜型の異業種交流研修を実施し、他社のエンジニアとともに課題に取り組むことで、視野の拡大や成長スピードを加速するための支援を行っています。

【マネジャー研修】
社員が自律的にキャリアを形成していくためには、上司の適切なマネジメントが不可欠です。そのため、部下が主体的に行動する組織の運営方法や、部下のやる気を引き出すマネジメント手法の習得(コーチング等)や、実践的な内容に加え、評価制度における目標(KPI)設定、評価、フィードバック面談についても理解を深めています。

【副業・兼業】
自身のスキル向上や自律性・自主性の伸長、活躍の場を広げることを目的に副業・兼業制度を導入しています。
「副業」は全社員を制度対象としており、勤務時間外に業務委託契約や個人事業主として働くことができ、「兼業」は50歳以上の社員を制度対象としており、他社にて直接雇用で勤務することを週2日まで認めています。

【ジョブチャレンジ制度】
新たな職務や未経験職務にチャレンジしたい人を支援することを目的に、ジョブチャレンジ制度を導入しています。部門の人材ニーズに基づいて募集を行い、活発なローテーションを図ることで、組織の活性化と適正な配置を実現していきます。
また、従来の配置制度では対象外としていたシニア社員も対象とし、定年後も今までの豊富な経験を活かしてイキイキと活躍できる環境を整備していきます。
2023年度は19名が利用し、合計利用者数が143名となりました。

【セカンドキャリア支援制度】
主に50代の社員が、人生設計を考え、自律的な生き方・働き方を描くために、転進支援サービスを導入し、キャリア実現の支援を行っています。

■新入社員研修/1年目年間研修/2年目研修
若年層社員向けの各階層別研修であり、カシオ社員としての基礎を学び、自己のキャリア方向性を考え、自律的な行動ができる人材を育成することを目的に実施しています。
特に新入社員には年間を通して研修を実施しています。その効果を高めるためOJT担当者、新人配属先課長向けの研修も実施しています。

■マネジメント研修(統轄部長・部長)
統轄部長および部長向けの階層別研修であり、経営方針の実現のために自らの役割を理解し、組織運営力を強化することを目的に実施しています。具体的には、経営の視野と視座の獲得、執行責任者としての役割理解を深めるとともに、部下の自律的な思考や行動を促進するための関係構築とコーチングコミュニケーションスキルの向上を促進します。

■幹部候補育成研修
選抜された部長・課長・女性リーダー層向けに幹部候補の育成を目的として、異業種交流マネジメント研修を実施しています。部長・課長向けの研修では、経営者に必要な視座、マインド、マネジメントスキル獲得に向けたプログラムを実施しています。女性リーダー層向けの研修では、リーダーとしてのマインドの醸成とリーダースキル向上を図るプログラムを実施しています。いずれも異業種交流を通して視座・視野の拡大を促し、社外の人脈を形成することを目指しています。
2023年度は、上記幹部候補育成施策を通じ、次期役員候補5名、次期女性管理職候補10名の育成を行いました。次期女性管理職候補に対しては、個別育成計画を策定・運用を開始し、計画的な育成を行っています。

■TERAKOYA
“伝えたい人”、“知りたい人”を具体的なテーマのあるワークショップやセミナーという共通目的で結びつけ、人的ネットワークと個々人のスキル向上を図っています。
さまざまな職種、背景を持つ人が、タテ・ヨコ・ナナメを意識せずフラットな関係で同じテーマ・同じ場で机を囲み、業務に活かすことができる人的ネットワークをつくり、全体としてのコミュニケーションを活性化する一つのトリガーになることを期待しています。

■テクノパワー
技術開発者の活性化および技術の共有化と蓄積を目的として、展示会を中心に毎年開催しているイベントです。社内で生まれた新技術やノウハウを公募し、技術水準の高い案件や優れたコンセプトの案件を表彰しています。成果発表/表彰の場を設けることで新技術への挑戦を促進しています。

■社内セミナー
社外の先端技術の第一人者や革新的な製品開発・事業創造を成し遂げたイノベーターによる講演会です。主に技術開発者に対して、技術動向やトレンドの理解/開発マインドの高揚・挑戦意欲の醸成を図ることを目的としています。テーマは、独創性・技術水準が高い先端技術動向や新商品を生み出すための発想法、近年は技術トレンドに留まらず多面的な視点から選定し、開催しています。

■マーケティング力強化ワークショップ
社員のマーケッター化を進め、人・社会に役立つサービス・製品提供を目指すにあたり、顧客視点での開発手法・成長事業創出のために必要な戦略を学ぶプログラムです。有識者から体系的な知識・手法を学び、思いある実テーマを用いて顧客候補者へのインタビュー・価値検証などを行い、実践的に体感しながら顧客価値の開発手法を身に付けます。

■Idea Booster Program(IBP)
IBPはボトムアップでのアイデア創出を支援し、参加者はマーケティング視点とリーンスタートアップ手法を活用して実現を目指します。外部アクセラレーターや社内メンターが推進を支援し、各ステップの基準に基づいた評価で審査します。2023年度には、DIMENSION TRIPPERが市場PoCとしてクラウドファンディングを実施し、目標金額を達成しました。IBPはモチベーション向上と人材育成に貢献し、新たな挑戦の風土を醸成します。

■EGGs
様々な世代や職種の方々とのワークショップを通じて、新たなモノコト創出へつながるアイデアを湧出するための機会・場を提供し、社内にその文化を形成することを目指す取り組みです。ワークショップの規模を問わず、タイムリーに実施するために、ワークショップの設計~運営ができるファシリテーターを社内育成しています。
中高生や大学生、異業種他社社員等、社外とのコラボレーションも実施しています。

■適材適所の実現
2019年度よりジョブチャレンジ制度を導入し、本人意思を重視した適材適所の実現、自律的キャリア形成を支援しています。また、希望者にはキャリア面談を実施し、自己のキャリア方向性を検討するにあたっての支援を適宜行っています。さらに、各部長には、配下の人材開発情報が網羅的に確認できるイントラネット・データベースを公開しており、部門内育成に積極的に活用しています。また、本人のチャレンジを通常の業務にも反映しやすくするために、チャレンジしたい業務を申告し、上司と共有を図り、業務分担、ローテーション等に役立てています。

■グローバル人事戦略
カシオグループでは、既存事業/新規事業の全事業分野において、世界展開の強化を図っています。海外グループ会社の人事機能強化、世界基準で活躍できる人材を育成する仕組みの構築など、グローバル人事戦略の構築を開始しています。

目指すべきグローバル人材像
カシオのグローバル社員は、リーダーシップを発揮するために、常にHeadquartersの視点で考える必要があります。日本を世界の中の1つのエリアと考え、世界を俯瞰して捉えて業務を推進する意識改革の重要性を、さまざまな場面やツールを用いて人事部からメッセージを発信し、社員と共有しています。

海外赴任者役割基準の構築
海外赴任適性がある人材を増やすことも重要ですが、海外赴任者にしかできない役割に対してのみ海外赴任をアサインすることで、現地社員との役割分担を明確化し、現地社員の育成・登用の機会を増やすことにも心掛けています。全世界のカシオ社員が適材適所で活躍できるように基準表を策定し、チェック体制を整備していきます。

海外赴任決定者に対する現地情報提供や異文化マネジメント力の醸成
赴任決定者に対し、赴任先ミッションに応じた階層別の育成を体系的に実施しています。
経営幹部に対する「拠点経営スキル研修」、全赴任者に対する「異文化対応マネジメント研修」「赴任地事情の提供」を行うほか、拠点での生活サポート強化を目的とし、安全対策や帯同子女のための教育情報を提供しています。

赴任前研修体系

※1 異文化コミュニケーションスキルの習得および多様性の高いメンバーをマネジメントしていくための実践的なポイントの習得
※2 赴任者向けの語学スキル向上のための機会

グローバルキャリアパス
持続的にグローバル人材を育成するためには、人事から社員に対する直接的なアプローチだけでなく、現場で仕事を通じて成長できるように、グローバル人材を育成できる人材をマネジャーとして育成・登用する必要があります。そこで、従来のキャリアパスをグローバルキャリアパスに発展させました。海外営業以外を担当している社員が、少しでも視野を広く持てるように、係長、課長、部長になるまでに幅広い経験を得られるように配置強化しており、今後の育成・配置計画に活かしていきます。

グローバルキャリアパス(営業系)

グローバル人事ガバナンス体制
海外グループ会社では、カシオグループ共通の経営理念を反映しつつ、各国の地域性、価値観、法律等を考慮して運営しています。 現地人事部門のメンバーとの直接対話を通して現地の問題や事情、カシオグループとしての思想等、積極的に意見交換や制度設計のアドバイスを行っています。

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