コーポレート・ガバナンス体制
当社は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、迅速な意思決定や適切な業務執行とともに、経営監視機能の強化を重要課題と位置付けています。この課題に適切に対応すべく、取締役会の監督機能を強化し、業務執行については取締役会による適切な監督のもと執行の迅速化と効率化を図るため、2019年6月27日の定時株主総会の決議により監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。
取締役会・取締役
取締役会は代表取締役社長が議長を務め、3名の社外取締役を含む8名で構成しています。
- 取締役(監査等委員である取締役を除く)5名(うち社外取締役1名)
- 監査等委員である取締役3名(うち社外取締役2名)
取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期は、経営責任を明確にし経営環境の変化に迅速に対応できるよう1年としています。
取締役会は、経営の意思決定と業務執行の監督機能を担っており、法令、定款および取締役会規則で定められた経営の重要案件を審議・決定しています。業務執行の効率性・機動性を高めるため、法令、定款および取締役会規則に規定する付議基準に満たない事項については執行役員に権限委譲しています。
監査等委員会・監査等委員
監査等委員会は、監査等委員である取締役3名で構成しています。社内取締役が委員長を務め、社外取締役2名が委員です。
監査等委員は、事業運営の健全性と透明性を確保するため、取締役会および各種の重要な会議・委員会に出席し、必要に応じて意思決定の適正性を確保するための発言を行います。また、社長との定期的な会合を実施するほか、取締役(監査等委員である取締役を除く)などからの聴取や報告、重要事項の決議書類の閲覧などを通して、厳正な監査を実施します。
指名委員会
指名委員会では、取締役会の諮問に応じて取締役の選任および解任に関する株主総会議案、取締役候補者の選任基準等の内容について、取締役会に対して答申します。
報酬委員会
報酬委員会では、取締役会の諮問に応じて、取締役の報酬等に関する株主総会議案、取締役の報酬等の内容に係る決定に関する方針等の内容について、取締役会に答申します。
社外取締役
社外取締役は、経営に外部視点を取り入れ経営の透明性を高めるとともに、業務執行に対する一層の監督機能の強化を図ることを目的として選任しており、取締役会などにおいて多角的かつ社会貢献視点での意見・提言をいただける有識者を招聘します。
社外取締役3名は、取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための発言・提言を適宜行っています。
各種委員会就任の状況と社外取締役選任の理由
尾﨑 元規 | 独立役員 | 指名委員会委員長 | 社外取締役選任の理由 長年にわたり大手企業の経営者を務め、その豊富な経験と高い見識を当社の経営に反映していただくため選任しています。 |
千葉 通子 | 独立役員 | 監査等委員 指名委員 報酬委員 |
社外取締役選任の理由 公認会計士としての財務および会計に関する専門知識と豊富な監査経験があり、公正中立な第三者的立場から客観的に社外取締役としての役割を果たしていただけると判断し選任しています。 |
阿部 博友 | 独立役員 | 監査等委員 報酬委員会委員長 |
社外取締役選任の理由 総合商社において海外勤務経験が豊富であり、大学院の教授として法務に関する専門的知識と経験を有しており、公正中立な第三者的立場から客観的に社外取締役としての役割を果たしていただけると判断し選任しています。 |
執行役員制度・執行役員
執行役員は、取締役会が決定した方針に従い、その監督の下で権限委譲を受けて業務執行を分担します。業務執行上の重要事項については、関係する執行役員と取締役が出席する会議体で審議します。
執行役員候補者については、能力・実績をもとに連結経営をさらに発展させることのできる優秀な人材を見極め選定し、任期は1年です。
コーポレート・ガバナンス体制図

役員報酬額の算定方法
役員報酬は、企業の持続的な成長に向け、市場競争力のある報酬水準と健全な企業家精神の発揮に資するインセンティブとすることを基本方針としており、固定報酬(月俸)60%と業績連動報酬(賞与および株式関係報酬)40%を原則としています。
業績連動報酬のうち、賞与の設定は、売上高と営業利益の目標達成度および実績額等を基礎に、事業実態等の定性的要素も加味し決定します。株式関係報酬については、2019年6月27日の定時株主総会の決議により譲渡制限付株式報酬を導入しました。社外取締役の報酬は固定の月額報酬のみで構成しています。
2019年3月期の報酬
役員区分 | 報酬等の総額 | 報酬等の種類別の総額 | 対象となる役員の員数 |
---|---|---|---|
取締役(社外取締役を除く) | 197百万円 | 固定報酬151百万円 業績連動報酬45百万円 |
9名 |
監査役(社外監査役を除く) | 13百万円 | 固定報酬13百万円 | 1名 |
社外役員 | 33百万円 | 固定報酬33百万円 | 5名 |
取締役のトレーニング
取締役は、その責務や役割を十分に果たすためにはスキルや知識を常に高め続ける必要があると考えており、自己研鑚に努めています。会社は、研鑚のための情報提供・機会提供、費用等の必要な支援を継続的に実施しています。特に、社外取締役については、就任時だけでなく就任後においても、社内の重要会議への出席、国内外の工場・事業所の視察、社内の研究発表会への参加など、当社事業に関する知識を取得するための情報提供を継続的に企画、実施しています。また、監査等委員である取締役は、日本監査役協会等を通じた情報収集・セミナー参加等、役割・責務に必要なレベルアップを図っています。
内部監査
内部監査部門は4名で構成し、グループ共通の基準に基づいて組織の運営状況の監査を行い、内部統制の強化を図っています。監査等委員である取締役(社外取締役を含む)には専任スタッフを配置し、業務をサポートすると共に、日頃より意見・情報交換を行い、四半期毎に定期会合を実施します。また、内部監査の計画および内部監査実施後には監査項目に基づいた概要報告を行い、監査機能の実効性や効率性を高めるため相互の連携を図ります。内部監査結果については、取締役(監査等委員である取締役を除く)に対する報告を実施します。
買収防衛策
買収防衛策は、導入していません。
取締役会全体の実効性に関する分析・評価
当社は、取締役会に求められる役割の変化を認識する中、その実効性についての評価を行い、組織や運営等についてガバナンス強化に向けた見直しを実施しています。
2019年3月期は、取締役会の役割・機能・運営等に関する改善点などについて、取締役および監査役に対しインタビューを実施し、その結果、付議基準の見直しや資料内容の充実の必要性などの意見があり、今後この評価結果を踏まえ、さらなる実効性の向上と継続的な改善に取り組んでいきます。
株主との対話
当社は、企業価値を継続的に高めていくためには、積極的なコミュニケーションを通じて、株主・投資家の皆様との長期的な信頼関係を構築することが重要と認識し、代表取締役の指揮のもとIR担当執行役員がIR活動を担当しています。
株主との対話の重要性に関する共通認識をもとに関係部門間のネットワークにおいて必要な情報の収集、蓄積等を行い、連携して対応しています。対話にあたっては、テーマ・内容に従って、必要に応じ、担当の取締役・執行役員が対応し、対話において把握された株主からの意見等については、必要に応じて取締役会で報告するほか、執行役員会等を通じて情報共有し、企業価値向上施策に反映しています。
対話におけるインサイダー情報の管理としては、未公表の重要事実の取り扱いに関する規則を定めており、厳格に運用しています。実質的な対応として、面談は複数名で対応しています。
個別面談以外の対話の手段としては、機関投資家や証券アナリストの方々に向けた決算説明会を四半期ごとに開催し、代表取締役またはIR担当の執行役員が決算の概要や今後の見通しについて説明するほか、事業説明会を行っています。また、当社をご理解いただけるよう、ウェブサイトにおける各種IR情報の掲載や株主の皆様からのお問合せ窓口を設けるなど、コミュニケーションの充実に努めています。
内部統制システムの整備
当社およびグループ会社は、『創造貢献』の経営理念に基づき、「カシオ創造憲章」、「カシオ行動指針」、「カシオ倫理行動規範」を定め、以下のとおり、業務の適正を確保するための体制を整備しています。
- 当社およびグループ会社における取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
- 取締役会は、法令、定款および取締役会規則に基づき、法定事項並びに当社およびグループ会社の経営に関する重要事項を決定するとともに取締役の職務執行を監督することにより、法令、定款に反する行為を未然に防止する。
- 職務の遂行に係る各種法令を遵守するべく、必要に応じて方針・規程・規則等の文書類を整備し、CSR委員会を始めとする各種委員会での審議・検討を経て、ルールの周知・徹底を図る。
- 法令違反行為等に関する問題を相談又は通報する窓口として「公益通報ホットライン」を社内外に設置し、整備・運用を図る。通報者に対しては不利益のないことを確保する。
- 市民社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力と一切関わりを持たず、不当要求に対しては組織全体として毅然とした対応をとる。
- 上記ル-ルの妥当性と運用の適切性について内部監査等、継続的な見直しによる改善を行い、不祥事の未然防止を図る。
- 当社およびグループ会社における取締役および使用人の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制
取締役および使用人の職務執行に係る情報は「文書管理規程」、その他の規則に基づき、各担当部門が保存および管理する。
- 当社およびグループ会社における損失の危険の管理に関する規程その他の体制
- 経営に重大な影響を及ぼすリスクについては、「リスク管理規程」に基づき、CSR委員会の下で関連部門と事務局が一体となって推進する体制を確立する。
- 製品安全リスクについては、製品の安全に対するお客様の信頼に応えることが経営上の重要な課題であるとの認識のもと「製品安全に関する基本方針」を定め、推進体制を構築する。
- 当社およびグループ会社における取締役および使用人の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
- 当社およびグループ会社の経営上の重要案件は、取締役会で審議・決定する仕組みをとり、原則として毎月1回以上開催することにより経営の意思決定を合理的かつ迅速に行う。
- 業務執行上の重要事項については、当社の執行役員および取締役(監査等委員含む)が出席する執行役員会で審議・決定し、グループ横断的な調整や対策がスムーズに実施できる仕組みをとる。
- 執行手続の詳細については、「業務執行決裁権限規程」、「グループ会社決裁権限規程」に定める。
- グループ会社は、連結ベースの経営計画、グループ会社決裁権限規程、各種グループ基本方針等に基づき、職務執行体制を構築する。
- 当社およびグループ会社における業務の適正を確保するための体制
- 業務の適正を確保するために「カシオ創造憲章」、「カシオ行動指針」、「カシオ倫理行動規範」を基礎として、諸規程を定める。
- 当社は、グループ会社担当役員制度によりグループ会社ごとに当社の取締役あるいは執行役員を担当に割り当て、「グループ会社決裁権限規程」に従い、当社への決裁・報告制度によるグループ会社経営の管理を行い必要に応じてモニタリングを行う。
- 財務報告の適正性および信頼性を確保すべく推進体制を構築し、業務フローおよび財務報告に係る内部統制を点検の上、文書化し、評価、改善を行う。
- 当社監査等委員会の職務を補助すべき使用人に関する体制と当該使用人の取締役(監査等委員である取締役を除く)からの独立性に関する事項
- 監査等委員会の職務を補助すべき使用人を任命する。
- 監査等委員会を補助すべき使用人の任命、異動、評価、懲戒に関する事項は、監査等委員会の事前同意を必要とする。
- 当社の取締役および使用人並びにグループ会社の取締役、監査役および使用人が当社の監査等委員会に報告をするための体制その他監査等委員会への報告に関する体制と監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
- 当社の取締役および使用人は、当社又はグループ会社に著しい影響を及ぼすおそれのある事実を発見したときや法令又は定款に違反する事実その他不正な業務の執行が行われた事実があるときは、遅滞なく当社監査等委員会に報告する。
- グループ会社の取締役、監査役および使用人は、当社又はグループ会社に著しい影響を及ぼすおそれのある事実を発見したときや法令又は定款に違反する事実その他不正な業務の執行が行われた事実があるときは、当社のグループ会社担当役員に遅滞なく報告し、当該担当役員は遅滞なく当社監査等委員会に報告する。
- グループ会社の取締役、監査役および使用人は、当社からの経営管理・経営指導内容が法令に違反し、その他、コンプライアンス上問題があると認めた場合には、当社監査等委員会に報告する。
- 当社の取締役および使用人並びにグループ会社の取締役、監査役および使用人は、当社監査等委員会の要請に応じて必要な報告および情報の提供を行う。
- 当社内部監査部門は当社およびグループ会社の監査結果を定期的に当社監査等委員会に報告する。
- 公益通報ホットライン事務局は通報状況・処理状況を当社監査等委員会に報告する。
- 当社監査等委員会へ報告をした者に対しては不利益のないことを確保する。
- 当社監査等委員会が当社に対して職務の執行について生ずる費用の前払い又は償還等を請求したときは速やかに処理する。
- 当社監査等委員である取締役は、当社内の重要な会議に出席できる。
- 当社およびグループ会社の重要な稟議書は決裁終了後、当社監査等委員会に報告する。