マネジメント
社会的背景
近年、過重労働による健康障害やメンタルヘルス不調が社会的に問題視されている状況の中で、従業員の心身の健康の保持増進は重要な取り組みと認識しています。
新型コロナウイルス感染症への対策として在宅勤務制度を導入し、産業医や医療スタッフと従業員間でのオンラインによる面談も開始しました。

カシオグループにおけるリスクと機会
従業員一人ひとりが健康で安全に働くことができなければ、能力を最大限に発揮することはできません。労働安全衛生法をはじめとする各種法律や就業規則に基づき、「従業員の健康保持・増進」と「労働災害の防止・再発防止」の実現を図るため、全ての従業員が安心して働ける職場づくりをグループ全体で推進しています。海外グループ会社においても、当該国の法規制を遵守し、同様に対策を行っています。
方針
カシオグループ倫理行動規範の第4項では、健康を保持・増進する取り組みに積極的に参画することを掲げています。グループ全体で社員の健康を推進しています。
「カシオグループ 健康保持・増進に関する基本方針」
私たちは、健康を保持・増進するための取り組みに積極的に参画します。
また、自分自身の健康だけでなく、周囲の健康にも配慮します。
体制
安全衛生・健康管理体制
会社の担当役員が健保の理事長を兼任することで健保と会社の連携がスムーズなものとなり、健保と会社が一体となって、従業員の安全衛生および健康管理を推進しています。
各事業場に設置された「安全衛生委員会」は、会社側と組合側から選出された半々の人数の委員によって構成され、社員の安全衛生に関わる以下の事項を毎月1回審議しています。
- 従業員の危険、健康障害の防止等 に関する基本となるべき対策に関する事
- 従業員の健康の保持増進を図るために、基本となるべき対策に関する事
- 労働災害の原因及び再発防止対策に関する事
- 全3号に掲げるもののほか、従業員の健康障害の防止及び健康保持増進に関する重要事象(労働安全衛生法第22条)に関する事

マテリアリティのKPIと実績
評価 ◎:すべての目標達成、○:目標をおおむね達成、△:成果より課題が残る、×:進捗なし
2019年度の目標とKPI | 2019年度実績 | 評価 | 2020年度の目標とKPI |
---|---|---|---|
定期健診の事後措置実施率80%以上 |
|
○ | 定期健診の事後措置実施率80%以上を維持 |
|
|
△ |
|
|
|
○ |
|
活動実績
定期健康診断
定期健康診断は法定項目にとどまらず、社員の健康保持、習慣病予防のための項目を多数追加して実施し、受診率も毎年ほぼ100%となっています。定期健診では、高精度レントゲンが可能なデジタル健診車を使用、35歳以上の従業員は病院での受診とし、胃部検診は高精度レントゲンと内視鏡の選択制にしています。さらに40歳以上の従業員の希望者は人間ドックを受診できるようにしています。事後措置についてもルールを統一化し、有所見者の事後措置実施率の向上を図っています。また、従業員一人ひとりの健康意識を啓発・促進することを目的に、予め定めた目標の達成者に対してポイントを付与する健康増進報奨制度を導入しています。ポイントは健康関連商品と交換することができます。また、海外赴任者に対しても年1回の定期健康診断を義務付け、結果に基づいて産業医による指導が行われています。
生活習慣病対策への取り組み

生活習慣病予防について、カシオ健保とともに「運動」「食生活」に焦点をあてた取り組みを進めています。特定保健指導対象者に対して、自身の生活習慣を振り返ってもらい、運動の目標・食事の目標を設定することで生活習慣の改善を支援しています。社員食堂では、カロリー・栄養バランスを考慮した「ヘルシーメニュー」を随時提供しています。
禁煙への取り組み
カシオでは、禁煙に対する取り組みを全世界で進めています。国内グループ会社にて、全社敷地内を禁煙としており、就業時間中は社内外を問わず禁煙としています。禁煙に対する具体的な取り組み方法については、カシオ健保からWebにて情報提供しています。
感染症対策への取り組み
従業員の健康への取り組みとして、感染症の予防に対応することの重要性も認識しています。社内掲示にて感染症に関する情報提供や予防の普及啓発や注意喚起をするほか、2018年度からは希望者に対してインフルエンザの予防接種巡回を実施しました。また、海外出張者に関わるような海外に関する感染症の流行情報については、外務省等の発信する情報の収集を行い、対象国の赴任者に対して周知・注意喚起しています。海外勤務が決まった従業員には事前に行われる赴任ガイダンスにて、予防ワクチン接種、現地での感染症(デング熱やマラリア、肝炎等)に関する情報提供を行い、予防対策に努めています。
新型コロナウイルス対策
在宅勤務を可能とするテレワーク環境を前倒しで導入した一方、出社しなければならない従業員については時差通勤、マイカー通勤、オンライン会議活用など接触機会低減をはかっています。
過重労働対策への取り組み
従業員の健康管理のため、適正な労働時間管理を徹底しています。また、長時間労働による健康障害を防止するために、月80時間以上の時間外労働を行った管理職を含む全ての従業員に対して産業医との面談の実施を義務付けており、健康状態の確認・助言・指導を行っています。労働に起因する健康障害を未然に防ぎ、労働時間の適正化を会社として取り組んでいます。
メンタルヘルス対策への取り組み
社員のメンタル面の健康をサポートするために、2015年12月に施行されたストレスチェック制度以外に、従来より継続的にメンタルヘルスに関する研修やサポート体系の整備を行っています。
カシオ計算機の全社員を対象として「e-ラーニング研修」を実施し、「心の健康」への意識向上を図っています。特に若年層のメンタル不全率の低減を目的に、入社2年目社員にはストレスマネジメント研修を導入し、メンタルヘルスに加え、上司や同僚との関わり方やコミュニケーション能力向上に関する講義や演習を行っています。管理職層向けには、「e-ラーニング研修」「メンタルヘルス・マネジメント研修」の実施や、管理職向けのマニュアルを整備し、組織におけるストレスマネジメントの重要性について共有を図っています。また、常時相談ができるように、社内ではメンタル専門医、社外での相談窓口として「心と暮らしのホットライン」を導入しています。社外の相談窓口は、社員の家族も相談できる体制を整えています。また、休業者への支援強化のため、ご本人、ご家族にもお読みいただける「メンタルヘルスのしおり」を配布し、休業の流れ、手続き等把握しやすくしています。今後も国内のグループ会社にも同様のサポート体制を整備し、社員がいきいきと働けるよう、支援しています。
労働災害の防止

カシオは、「労働災害ゼロ」の実現に向けて、各職場で無事故・無災害を目指した安全活動を展開しています。各事業所・グループ会社においても、消防訓練・防災訓練を実施し、緊急の事態に備えています。
過去5年間の労働災害(カシオ計算機)
年 | 労働災害度数率※1 | 労働災害強度率※2 | 死亡者数 | ||
---|---|---|---|---|---|
カシオ | 製造業 | カシオ | 製造業 | カシオ | |
2015年 | 0 | 1.06 | 0 | 0.06 | 0 |
2016年 | 0.39 | 1.15 | 0 | 0.07 | 0 |
2017年 | 0 | 1.02 | 0 | 0.08 | 0 |
2018年 | 0 | 1.20 | 0 | 0.10 | 0 |
2019年 | 0.60 | 1.20 | 0.002 | 0.10 | 0 |
- ※1100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。
- ※21,000延実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す。
- ※ここでいう労働災害とは、労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた負傷または疾病(休業1日以上)および死亡をいう。
男女別・部門別労災発生件数(カシオ計算機)
男女別件数 | 発生部門別件数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 合計 | うち休業者数 | 本社 | 開発部門 | 営業所 | |
2015年 | 5 | 5 | 10 | 0 | 0 | 0 | 10 |
2016年 | 6 | 8 | 14 | 2 | 0 | 2 | 12 |
2017年 | 3 | 10 | 13 | 0 | 2 | 1 | 10 |
2018年 | 5 | 3 | 8 | 0 | 3 | 1 | 4 |
2019年 | 3 | 6 | 9 | 1 | 1 | 0 | 8 |