サプライチェーン・マネジメント
サプライチェーンでのCSR調達
遂行指針の共有
カシオは、生産活動の大半を海外の自社工場と生産委託先(EMS)で行い、毎年、中国華南地区において資材調達方針説明会を開催しています。
当初は、カシオが資材調達方針を説明し、お取引先に取り組みを要請する場として運営していましたが、2009年度からは、お取引先参加型の双方向コミュニケーションの場へと発展させました。特に優れた取り組みを実践しているお取引先にCSR推進事例の発表をいただくことで、事例やノウハウの共有を図り、お取引先と協働してCSR遂行水準の向上を目指しています。
また、国内の新規お取引先などと締結する「取引基本契約書」については、2009年6月に法令遵守、人権尊重、環境保護などに関する条項を追加し、その遵守を定めています。
さらに、2019年からは日本でも「事業方針説明会」を開催し、資材調達戦略や方針について説明しています。
これらの取り組みを通じて、カシオは主要なお取引先に資材調達方針を共有する機会を設けるとともに、積極的な情報共有や情報交換を行い、相互の信頼関係の構築を進めています。
日本での事業方針説明会
2026年は、お取引先約110社から190名をご招待し、事業方針説明会を開催しました。
今後も定期的に開催し、事業方針の共有を図るとともにお取引先とのコミュニケーション強化を進めていきます。
お取引先の声
林精器製造株式会社
代表取締役社長
石井 廣文
弊社は、1921年の創業以来、腕時計ケース(腕時計側)の製造を基軸事業とし、精密金属部品加工、めっき・表面処理、FA装置の設計~製作・組立、医療機器の製造と幅広く事業を展開しております。
カシオ計算機様とは、1986年4月から金属時計ケース製造受託により取引を開始し、以来40年の長きに渡りお取引をいただいております。現在は、世界中で人気を博している「カシオヴィンテージ」モデル等のめっき処理もお取組させて頂き、弊社事業の大きな柱のひとつになっておりますとともに、近年は更に拡大が続いております。
当社は、社員一人ひとりが心身ともに健康に安心して働ける環境づくりの取組みを通して、生産性の向上と社会的企業価値の向上を目的に健康経営を進めており、健康経営優良法人には2021年から6年連続で認定を受けております。
また、健康経営を含めたESGを推進しており、環境負荷低減(電気、水、廃棄物の削減)、労働環境改善、人権尊重、差別・ハラスメント防止、地域社会との協調・貢献、法令遵守、ガバナンス強化を積極的に取組んでおります。 今年2月には令和7年度において電力を合理的に利用するための努力を重ね、省エネルギーの推進と生産性向上に大きな成果を上げた功績に対し、東北七県電力活用推進員会より表彰を受けました。これを機に更に環境負荷低減活動を推進して参ります。
当社は今後もESG活動を推進するとともに、カシオ計算機様のCSR調達のお取組みに対しまして、資材調達戦略ならびに方針に基づき強力なパートナーシップの基、連携を強化し共に持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。
中国での資材調達方針説明会
カシオは、生産活動の大半を海外の自社工場および生産委託先(EMS)で行い、毎年中国華南地区において資材調達方針説明会を開催しています。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症の拡大により開催を見送っていますが、お取引先とのコミュニケーションは継続しています。2026年は表彰制度を実施し、連携の強化に取り組みました。
遂行管理の徹底
カシオは、CSR調達の遂行状況を確認するため、2007年度から日本国内の主要なお取引先を対象に、企業の社会的責任(CSR)遂行に関するアンケート調査※1を実施しています。
2009年度からは対象を中国およびタイの取引先に拡大し、継続的な調査を行っています。
2012年度には、前年度の調査結果や社会環境の変化を踏まえてアンケート内容を見直し、重複項目の整理を行うとともに、新たに「紛争鉱物不使用方針」に関する設問を追加しました。
また、2024年度には「温室効果ガス削減」に関する取り組みを調査項目に追加しました。
2025年度のアンケート調査では、日本国内の134社を対象に実施し、133社から回答を得ました(回答回収率99.3%)。
また、海外では中国159社、タイ35社の計194社を対象に実施し、194社すべてから回答を得ました(回答回収率100.0%)。
これらの結果から、取引先におけるCSR遂行に対する関心の高さがうかがえます。
カシオでは、アンケート結果を集計・分析し、その結果とともに、カシオが目指すCSR調達の考え方をお取引先へフィードバックすることで、各社の改善活動を支援しています。
また、中国およびタイの主要なお取引先に対しては、2010年度から現地スタッフと連携した立入調査を実施しています。2011年度以降は、現地スタッフが主体となって調査を計画・実施し、対象先の拡大も進めてきました。
新型コロナウイルス感染症拡大により、活動を中断した時期もありましたが、これまでに主要なお取引先への立入調査をおおむね実施しています。今後も、サプライチェーン全体へのCSR調達の浸透に向けて立入調査を継続していきます。さらに、当社製造拠点3工場において、大手流通顧客からの要請に基づき、CSRに関する監査を受け入れました。
※1 アンケートの項目は一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)版「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」に準拠しています。
(1)人権・労働 (2)安全衛生 (3)環境 (4) 公正取引・倫理 (5)品質・安全性 (6)情報セキュリティ (7)社会貢献
アンケート結果
アンケート依頼 お取引先数 総数328社
全問回答 お取引先数 327社(回答率99.7%)
CSR項目カテゴリー別回答状況
<中国・タイ>
日本では2017年度より、従来の抽象的な5段階評価(例:5=十分にできている、3=十分ではないができている、1=できていない)に代わり、すべての質問項目について評点ごとの達成レベルを具体的に示しています。これにより、お取引先が自社の取り組み状況をより客観的に把握し、改善に向けた課題を明確にできるようになりました。
その結果、評価点数は2019年度以前と比べて低下していますが、緊急の対応を要する重大な問題は発見されませんでした。また、お取引先ごとに改善すべき事項を明確化し、継続的な改善活動をお願いしています。
中国・タイにおける CSR項目カテゴリー別回答
| 中国 | タイ | |
|---|---|---|
| 0 社会的責任(CSR)推進全般 (全社経営方針、行動規範、体制、情報公開) | 3.9 | 3.4 |
| Ⅰ 人権・労働 | 4.5 | 4.3 |
| Ⅱ 安全・衛生 | 4.5 | 4.1 |
| Ⅲ 環 境 | 4.5 | 4.2 |
| Ⅳ 公正取引・倫理 | 4.4 | 4.2 |
| Ⅴ 品質・安全性 | 4.7 | 4.5 |
| Ⅵ 情報セキュリティ | 4.5 | 4.1 |
| Ⅶ 社会貢献 | 3.6 | 3.5 |
| Ⅷ 温室効果ガス | 2.5 | 3.0 |
| (合計) | 4.4 | 4.2 |
<日本国内>
お取引先ごとに改善すべきポイントを明確にし、対話を通じて改善活動への取り組みをお願いしました。
日本国内における CSR項目カテゴリー別回答
| CSR項目カテゴリー別回答 | |
|---|---|
| 0 社会的責任(CSR)推進全般 (全社経営方針、行動規範、体制、情報公開) | 3.9 |
| Ⅰ 人権・労働 | 4.4 |
| Ⅱ 安全・衛生 | 4.3 |
| Ⅲ 環 境 | 4.4 |
| Ⅳ 公正取引・倫理 | 4.1 |
| Ⅴ 品質・安全性 | 4.5 |
| Ⅵ 情報セキュリティ | 4.2 |
| Ⅶ 社会貢献 | 3.5 |
| Ⅷ 温室効果ガス | 3.5 |
| (合計) | 4.3 |
新規お取引先の選定
カシオでは、資材調達方針に基づき、新規お取引先との取引開始にあたり、法令・社会規範の遵守、環境保全への配慮、適切な情報保護、知的財産の尊重など社会的責任への取り組み状況を確認しています。また、経営基盤の健全性、技術開発力、品質、価格、安定供給体制、電子商取引への対応状況などを総合的に評価したうえで、取引先を選定しています。
お取引先とのグリーン調達の推進
カシオは、お取引先の協力のもと、カシオ計算機品質統轄部品質企画部を中心として地球環境に配慮したグリーン調達を推進しています。
詳細については、こちら
紛争鉱物問題への取り組み
アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)やその周辺諸国で採掘される一部の鉱物(スズ、タンタル、タングステン、金)は、武装勢力や反政府勢力の資金源となり、紛争や人権侵害、環境破壊などにつながる可能性があることから、「紛争鉱物」と呼ばれています。
カシオグループは、こうした人権侵害や環境破壊に加担しないという方針のもと、お取引先と連携しながら紛争鉱物の不使用に取り組んでいます。
この方針に基づき、2013年1月に「資材調達方針」および「お取引先へのお願い」を改訂し、紛争鉱物の不使用に関する内容を追加しました。また、CSR調達の遂行状況を確認するためのアンケートにおいても、日本国内のお取引先を対象に紛争鉱物不使用方針に関する調査を実施しています。
2013年度からは、RMI/GeSI紛争鉱物報告テンプレートを活用し、国内外のお取引先を対象とした調査を実施しています。2025年度は、301社から回答を得ており、回収率は99.6%でした。
紛争鉱物調査では、サプライチェーンを精錬事業者まで遡って確認する必要があり、調査の実施には多くの課題があります。そのため、米国での業界動向、お客様の反応、各国およびEUの規制動向などについて継続的に情報収集を行っています。
なお、コンゴ民主共和国(DRC)およびその周辺諸国で採掘された鉱物であっても、紛争や人権侵害に関与しない合法的に採掘・取引された鉱物については使用する方針です。
また、カシオは、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)「責任ある鉱物調達検討会」に加盟し、業界との連携を通じてサプライチェーンにおける紛争鉱物調査活動の向上に取り組んでいます。
お取引先における温室効果ガス削減
カシオは、温室効果ガス排出量について、自社の事業活動による排出量(スコープ1、スコープ2)に加え、バリューチェーン全体における排出量(スコープ3)を算定しています。
このうち、購入した製品・サービスに由来する排出量(スコープ3カテゴリー1)が全体の約70%を占めています。このため、主要サプライヤーへに対する温室効果ガス削減目標の設定促進を中心に、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減活動を推進しています。
2020年度からは、CSRアンケートを通じて各社の取り組み状況を確認するとともに、お取引先の温室効果ガス排出量や具体的な削減施策の実施状況の把握を進めています。
アンケート結果を踏まえて次年度以降の活動方針を策定し、PDCAサイクルを毎年運用しながら、全社目標としてスコープ3カテゴリー1の排出量を2018年度基準で2030年度までに30%削減することを目指しています。
