事業を支える技術と品質
堅牢性
耐衝撃や防水などの技術は、製品の堅牢性を高め、利用できる場所や新しい用途を広げることができます。また、不用意な取り扱いによる破損を減らして、より長く使えるというメリットもあります。
耐衝撃ウオッチG-SHOCKは、壊れやすい精密機器であった従来の腕時計の概念を覆し、激しいスポーツやアウトドアシーンで時計を気軽に使えるようにしました。
また、電子辞書EX-word(エクスワード)は、学生が持ち歩くかばんの中で圧力が加わることなどを想定した耐久性の高い設計を施し、長く使える価値を追求しています。
小型化
小型化や高密度実装などの技術は、製品を小さく、薄くできることから使いやすさやデザイン性の向上につながります。また、製品内部の空いたスペースを活用して機能性を高めることも可能です。
スタイリッシュな電子ピアノPrivia(プリヴィア)は、ハンマーの自重によるグランドピアノの鍵盤タッチを追求しながら、その構造を小型化することで製品をスリムに仕上げました。設置や移動も楽になるので演奏する場所の自由度が高まり、より手軽にピアノの演奏を楽しむことができます。
省電力
製品の消費電力を小さくする、小さな電力を賢く使う、あるいは発電効率を高めるといった技術は、バッテリーの持ちを良くし、製品を長時間使えるようにします。また、余った電力を使って新たな機能を追加したり、バッテリーを小さくしてデザイン性を高めたりすることも可能です。
ソーラー駆動のアナログウオッチには、高効率で発電する遮光分散型のソーラーパネルを採用。ソーラーパネルのセル形状を最適化することによって、針の影による発電量の低下を最小限に抑え、腕時計の機能性や文字板のデザイン性を高めています。
音源・音響
音源・音響技術は、アコースティック楽器の音色や新しい演奏表現をデジタル技術によって追求しています。
電子ピアノの音源は、マルチ・ディメンショナル・モーフィング技術により、演奏表現による打鍵の強度や押打の時間軸に合わせて響きや余韻をなめらかに変化させることで、より自然でリアルなグランドピアノの音色を目指しました。また、楽器で歌声を作り出す音源技術Vocal Synthesis(ボーカルシンセシス)は、膨大な歌声のデータを基に歌い方をシミュレーションして生成した歌詞のフレーズと、声色のデータと掛け合わせることで、滑らかな人間の歌声を鍵盤の演奏で表現することが可能です。
光源・光学設計
光源・光学設計技術は、製品の小型化と明るい投映を両立することで活用領域が広がっているプロジェクターや、精細な記録が求められる医療用のデジタルカメラに使われています。
プロジェクターのレーザー&LEDハイブリッド光源は、高圧水銀ランプを使わずに高輝度を実現しているほか、光源寿命も約20,000時間を達成。ロングライフ化によりランプ交換の手間やコストを減らします。また、電源ONから数秒で投映できるので待ち時間なしですぐに使えるほか、電源OFFもクールダウン不要です。
また、皮膚科医向けのダーモカメラは、患部全体の撮影から病変部位の接写撮影までレンズ交換が不要で、専用レンズによる歪みを抑えた画像を鮮明に記録できます。
画像処理
画像処理技術は、医療分野などの領域で活用が見込まれています。
皮膚科医向けのダーモカメラで撮影した患部の画像は、PC用のアプリケーションソフトで病変内の構造を明瞭にしたり、血管を強調したりできる画像変換機能を使って、病変を観察しやすくすることが可能です。また、産婦人科医向けのコルポカメラでは、撮影時に光の当たらない子宮頚部の色や形を分かりやすくする画像処理を施しています。
将来的には、これらの画像処理技術と専門医の知見を組み合わせて、AI解析を通じた医療の高度化を目指しています。
センシング・アルゴリズム
センシング・アルゴリズム技術は、方位、気圧/高度、温度などの環境データ、心拍や歩数といった生体データや運動データを計測するセンシング技術と、その情報を可視化し、使う人にとって役に立つ機能として提供するアルゴリズム技術の組み合わせによって、スポーツやヘルスケアなどの分野で活用されています。
GPS機能と9軸センサーを搭載したモーションセンサーは、ランニング中の体の動きを高精度に解析し、ランニング向けスマートフォンアプリRunmetrix(ランメトリックス)と連携することで、ランニングフォームを可視化します。これにより、ランニングフォームの確認や改善点の把握に役立てることが可能です。
品質への取り組み
どんな環境でも確実に動くこと。いつでも安心・安全に使えること。それが、カシオのモノづくりの基本姿勢です。カシオは、設計段階から最終製品の完成に至るまで、つねに妥協のないモノづくりを実践しています。
設計段階での徹底した品質試験
製品のあらゆる使用状況を想定した品質規格を策定し、プロトタイピングによる厳しいテストを繰り返し実施しています。例えば、電子辞書の加圧テストでは、本体に荷重を加え、上方向からの堅牢性を検証します。また、高温や低温、乾燥あるいは高湿の環境、さらに振動・落下・塵埃・塩水・紫外線・静電気の影響など、製品ごとに求められる規格を全てクリアしたものだけが、工場での生産プロセスに進むことができます。
高水準の製造技術で品質を高める生産体制
山形カシオの「プレミアムプロダクションライン」では、高価格帯のブランド時計を生産しています。独自の製造装置で精度を極限まで高める技術と、上位の技能認定者のみが持つ人間の高度な技術を組み合わせ、高品質・高精度のモノづくりを追求しています。こうした日本の製造ノウハウを海外の生産拠点にも継承し、グローバルな生産体制の下で世界水準の高い製品クオリティを実現しています。