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人権の尊重

考え方・方針

課題認識

近年、企業活動のグローバル化やデジタル化の進展に伴い、人権尊重がますます重要なテーマとなっています。自社のみならず、サプライチェーンにおける紛争鉱物問題、児童労働・強制労働、劣悪な労働環境による事故等の人権問題が顕在化しており、企業はこれらの課題に対して責任を持った対応が求められています。また、気候変動やデジタル技術の急速な進化により、新たな人権課題が浮上しています。
国際的な基準においては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」やOECDの「多国籍企業行動指針」が企業に対し、人権への配慮を強く求めています。さらに、EUをはじめとして各国の規制強化により、企業の透明性と説明責任が一層重要視されています。
このような背景から、カシオは自社の事業活動だけでなく、サプライチェーン全体における人権尊重の取り組みを強化し、社会的責任を果たすことを認識しています。

カシオグループとの関わり

カシオは、グローバルに事業を展開しており、その活動は、多様なステークホルダーとのつながりによって支えられています。カシオは、従業員、お客様、お取引先の労働者など、多岐にわたるステークホルダーの人権に対し、負の影響を与える可能性があることを深く認識しています。人権問題への対応が不十分である場合、企業のブランド価値が低下し、製品の不買運動やお取引先からの取引停止といった重大な経営リスクに発展する恐れがあります。さらに、社会的責任を果たさない企業は、法的リスクや規制遵守の観点からも厳しい目が向けられることになります。
カシオは、今後さらにグローバルな事業展開を進める中で、「人権の尊重」を重要なサステナビリティ課題として位置づけています。カシオは、国際的な人権行動規範やベストプラクティスに基づき、ステークホルダーと協力しながら、持続可能な社会の実現に貢献するための取り組みを強化していきます。具体的には、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権デュー・ディリジェンスの実施や、透明性の向上を通じて、信頼される企業であり続けることを目指します。

方針

カシオは、2010年12月から国連の提唱する「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則からなる「国連グローバル・コンパクト」へ署名・参加しています。また、「カシオビジネスコンダクトガイドライン」(旧「カシオグループ倫理行動規範))「では、2013年6月の改定時に、「世界人権宣言」などの人権に関する国際規範の支持・尊重、労働基本権の尊重を新たに盛り込み、全体の内容を見直しました。
さらに、グローバルレベルで人権尊重のガバナンス強化が重要であると認識し、海外グループ社員や有識者と対話を通じて、2014年7月1日に「カシオグループ人権尊重に関する基本方針」を制定しました。この方針では、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約(社会権規約・自由権規約))、国際労働機関(ILO)「労働の基本原則および権利に関する宣言」などの国際行動規範を支持、尊重すること、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重の取り組みを推進していくことを定めています。また、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、継続的に実施していくことなどを明記しています。また、本方針の中で、当面の人権に関する重点課題を定めています。 さらに、2016年11月には、英国現代奴隷法の制定等を受け、本方針および人権に関する重点課題にを改定いたしました。
これらの方針・重点課題の制定、改定および廃止は、取締役会の決議により行います。
カシオは、これらの規範および方針を徹底的に周知するとともに、社会動向や事業環境に応じた人権課題を踏まえ定期的に見直しの要否を検討し、必要に応じて改定を行います。

カシオグループ 人権尊重に関する基本方針

カシオグループ(以下「カシオ」)は、グローバルに事業を展開していますが、これらの事業活動は、様々なステークホルダーとのつながりの中で成り立っています。
カシオはこうした活動の中で、ステークホルダーの人権に対して負の影響※1を与える可能性があることを理解しています。
人権は、全ての人に与えられた基本的権利です。
したがって、カシオは、社会の一員として、人権尊重の重要性を認識し、従業員を含むあらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重することを宣言します。
カシオは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重の取り組みを推進していきます。本原則は、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」について明確に定めています。
カシオは、本方針の実践により、カシオの役員および従業員一人ひとりが人権意識を高め、人権尊重の経営・事業活動を継続的に行っていくことで、持続可能な社会の創造に貢献していくことを期待します。
※1「人権に対して負の影響を与える」とは、例えば、職場でハラスメント等個人の尊厳を傷つける行為を行う。従業員の採用や昇進時に社会的出身や国籍による差別を行う。サプライヤーが児童労働・強制労働によって生産活動を展開する。生産工場から汚染物質を排出し、地域住民の健康に被害を及ぼす等、人権にマイナスの影響を及ぼすことをいいます。

1. 基本原則と本方針の位置づけ
カシオは、人権に関する国際行動規範※2を支持、尊重します。
また、本方針は、カシオの人権尊重への取り組みを規定する既存の文書(「カシオグループ倫理行動規範」、「資材調達方針」、「お取引さまへのお願い(サプライヤーガイドライン)」等)の上位文書として位置づけます。
※2「人権に関する国際行動規範」とは、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約(社会権規約・自由権規約))、国際労働機関(ILO)「労働の基本原則および権利に関する宣言」、国連グローバル・コンパクト等をいいます。

2. 人権尊重の責任
カシオは、他者の人権を侵害しないこと、また、自らの事業活動上生じる人権への負の影響に対処することにより人権尊重の責任を果たせるよう取り組んでいきます。
また、カシオが直接人権への負の影響を助長していない場合でも、カシオの事業、製品またはサービスを通じて、カシオのビジネスパートナーおよびそのほかの関係者が人権への負の影響とつながっている場合、カシオは、当該関係者に対し、人権を侵害しないよう働きかけていきます。

3. 適用範囲
本方針は、カシオ計算機株式会社、その子会社、およびカシオ計算機株式会社が実質的に経営権を有する関連会社の役員および従業員に適用されます。
さらに、カシオは、本方針をカシオが影響を及ぼすことができるビジネスパートナーおよびその他の関係者に対しても働きかけていきます。

4. 人権デュー・ディリジェンス
カシオは、人権尊重の責任を果たすため、人権デュー・ディリジェンス※3の仕組みを構築し、これを継続的に実施していきます。
※3 「人権デュー・ディリジェンス」とは、自社が社会に与えうる人権への負の影響を予防的に把握し、回避、緩和するために実施される継続的なプロセスをいいます。

5. 是正
カシオが人権に対する負の影響を引き起こした、または負の影響を助長したことが明らかになった場合、適切な手段を通じて、その是正に取り組みます。

6. 適用法令の遵守等
カシオは、事業活動を行う各国・地域で適用される法令を遵守します。但し、各国・地域の法令と、国際的な人権の原則とが相反する場合には、国際的な人権の原則を尊重する方法を追求していきます。

7. 情報開示および教育・訓練
カシオは、本方針に基づく人権尊重の取り組みの推進状況について、カシオのCSRウェブサイトやサステナビリティレポート等にて報告していきます。
また、カシオは、本方針の実効性を確保するため、適切な教育・訓練を行っていきます。

8. ステークホルダーとの対話・協議
カシオは、実際のまたは潜在的な人権への負の影響に関する対応について、関連するステークホルダーと対話の機会を確保しつつ、誠意をもってステークホルダーとの協議を行っていきます。

9. 人権に関する重点課題
カシオは、人権に関する当面の重点課題を別表「カシオグループ 人権に関する重点課題」のとおり設定し、これらについて、本方針に基づき人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築した上で、適切に実施していきます。
なお、当該重点課題については、社会の変化や事業の動向などを踏まえ、適宜見直しを図っていきます。

制定年月日 2014年7月1日
改定 2016年11月1日

カシオグループ 人権に関する重点課題

1. 差別の排除
カシオは、あらゆる差別やハラスメント等個人の尊厳を傷つける行為は行いません。

2. 児童労働、強制労働の禁止
カシオは、児童労働、強制労働・奴隷労働、および人身売買による労働を一切認めません。

3. 労働基本権の尊重
カシオは、結社の自由、ならびに労働者の団結権および団体交渉をする権利をはじめとする労働基本権を尊重します。

4. 適切な賃金支払いおよび労働時間の管理
カシオは、賃金支払いや労働時間の管理を適切に行います。

5. 多様性の尊重
カシオは、従業員の多様性を尊重し、活力ある職場環境の整備に努めます。

6. ワークライフバランス実現の支援
カシオは、従業員のワークライフバランスの重要性を理解し、その実現の支援に努めます。

7. 安全な職場環境の確保と健康増進の支援
カシオは、安全かつ衛生的で快適な職場環境を確保し、従業員の健康づくりの支援に努めます。

制定年月日 2014年7月1日
改定 2016年11月1日

※カシオグループ各社は、各国・地域の法令や社会慣習、事業特性に配慮し、その本旨と矛盾しない範囲で、修正することができます。

また、カシオは、自組織以外においても、お取引先を含めたサプライチェーンとともに人権尊重の考えを普及させることが大切であると考え、すべてのお取引先に、“人権の尊重・差別の禁止”を明記した「お取引先さまへのお願い」を提示し、遵守をお願いするとともに、アンケート調査等を通じて遂行管理の徹底を図っています。
※「人権デューディリジェンス」とは、自社が社会に与えうる人権への負の影響を予防的に把握し、回避、緩和するために実施される継続的なプロセスをいいます。

カシオビジネスコンダクトガイドライン

CSR調達の推進

体制

カシオグループは、バリューチェーンにおける多様な人権リスクに対応するため、「人権の尊重」をマテリアリティの1つとして掲げています。この取り組みは、主にサステナビリティ推進部門、人事部門、資材調達部門を中心に進められています。人権対応を含むグループ全体のサステナビリティの取り組み状況について、グループの最高責任者であるCEOや事業部門長が参加するサステナビリティ委員会において定期的に審議を行い、重要事項は経営会議で検討・決定され、取締役会へ報告されます。

人権に関する課題

カシオグループでは、国際人権章典(世界人権宣言や国際人権規約[社会権規約・自由権規約])、国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」など、人権に関する国際的な行動規範を参考に、事業を展開している国や地域でのバリューチェーン上で発生し得る顕在的および潜在的な人権リスクを抽出しました。そして、深刻度、発生可能性という観点から、外部有識者の助言を踏まえ、カシオが取り組むべき人権課題を以下の通り特定しました。これらについては、社会動向や事業環境に応じた人権課題を踏まえ、定期的に見直しを行います。

  人権リスク 対象
従業員 サプライヤー お客様
優先的に取り組むべき人権の重点課題 差別、ハラスメント  
適切な賃金、労働時間  
結社の自由、団体交渉権  
児童労働、強制労働、奴隷労働  
安全な職場環境、健康増進  
ワークライフバランスの実現    
多様性の尊重    
責任ある鉱物調達    
その他の人権課題 個人情報保護・プライバシー侵害
製品安全    

目標と行動計画

評価 ◎:すべての目標達成、○:目標をおおむね達成、△:成果より課題が残る、×:進捗なし

2024年度の目標とKPI 2024年度実績 評価 2025年度の目標とKPI
人権課題チェックとフィードバックの実施︓全営業系グループ会社 全営業系グループ会社2021年度に対し、人権課題チェックを実施。 人権課題チェックとフィードバックの実施︓全生産系グループ会社
従業員に対する人権教育 年1回以上実施

有識者による「ビジネスと人権」をテーマとした講演を実施

グループ社員向けサステナビリティ学習(eラーニング)の実施

従業員に対する人権教育 年1回以上実施

※2025年11月10日更新

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