G-SHOCK 開発ストーリー
常識への挑戦と進化
カシオが時計事業に参入した1970年代当時、腕時計は落としてはいけないデリケートな精密機械でした。その常識を覆したのが、1983年に発売した耐衝撃腕時計G-SHOCKです。
開発のきっかけは、エンジニアの一人が「落としても壊れない丈夫な時計をつくりたい」と考えたこと。研究開発センターの3Fの窓から落下させる実験を繰り返しては、壊れ方を分析して構造設計を見直しました。試行錯誤を重ねた結果、衝撃を和らげる柔らかい素材と硬い材質のフレームを組み合わせて、あらゆる方向からの衝撃を和らげる構造を完成させました。
それでも腕時計の心臓部であるモジュールに衝撃が伝わって壊れてしまう問題が残りました。エンジニアは昼夜を惜しんで考えましたが解決できず、ベッドの枕元にバラバラに壊れた時計の部品を置いて夢の中で解決しようとしたこともありました。
開発期限が目前に迫った休日。あきらめ切れず実験を続けていた開発者に、ひらめきは訪れました。重い気分を抱えたままランチで外出した後、研究開発センターの隣にある公園で、ゴムまりで無邪気に遊ぶ子供たちを眺めていた開発者の頭に突然、まりの中の空間にモジュールが浮いている状態をつくるという発想が浮かびました。その発想を実現させるために、モジュールをいくつかの小さな点で支えて周囲にわずかな空間を設ける「中空構造」を編み出しました。
以来、G-SHOCKは、常に「タフネス」というコンセプトに基づいて進化してきました。防水や防塵・防泥など、あらゆる「タフな環境」を想定して、それを克服する耐久性能を備えてきました。また、光で駆動して正しい時刻を表示する電波ソーラー機能やセンサー技術による高度・方位計測など、「タフな環境」で必要とされる機能性やデザイン性を追求しています。世界中へ出荷した数は、現在までの累計で1億5千万個を超えています。
壊れず長く愛用できる耐久性は、お客さまにとって普遍的な価値だと私たちは考えて、カシオのコアテクノロジーの一つとして位置付けています。これからも当社は、独自の発想で新しいものを生み出す企画力と、製品として形にする技術力によって、普遍的な価値を創造していきます。