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事業所の生物多様性保全

事業所の生物多様性保全

カシオでは、2017年にグループの国内主要拠点の生物多様性調査を外部専門家(緑生研究所)に依頼して実施しました。その結果、多くの植物や昆虫が敷地内に生息していることが確認されました。

東京都羽村市にある羽村技術センターでは、環境省レッドリスト掲載のキンラン、ならびに、東京都レッドリスト掲載のギンラン、コヒロハハナヤスリ等の希少種が確認され、従業員有志にて結成した「羽村TC見守り隊」のメンバーが通年で敷地内の生物の観察や保全活動を行っています。この観察の成果として、2023年春には外部専門家による調査時には出現していなかったキンランやギンランの新たな個体を確認しました。また、保全活動としては希少植物の消失を回避するための施策として、害虫からの保護や人工授粉や播種による敷地内増殖の試行に取り組んでいます。
さらに、2022年・2023年・2024年と3年連続で猛禽類のツミが敷地内で営巣活動を行い、これを事業所ぐるみで静かに見守ることで、無事に雛の巣立ちに繋げています。

羽村技術センター

キンラン

ギンラン

コヒロハハナヤスリ

国内主要拠点の生物多様性調査結果

拠点 種数 特筆すべき昆虫・植物
昆虫 植物
カシオ計算機株式会社 本社 55 82  
羽村技術センター 105 187 植物:キンラン、ギンラン、コヒロハハナヤスリ
山形カシオ株式会社 82 173  
CBS 甲府事業所 82 160 植物:コイヌガラシ

羽村技術センターでの保全活動

羽村技術センターでは、2017年の調査で初めてキンラン・ギンランが確認されて以降、従業員有志グループである「羽村TC見守り隊」が毎年保全活動を続けています。これまでに観察されている地上部の生育状況を表にまとめます。なお、2021年より毎年、人工授粉とネット掛けを行っています。

(表の説明)
各個体の発見順序により、キンランはK1~K5、ギンランはG1~G5の名称で示します。また、それぞれの生育の結果について、次の記号で示します。
◎:結実、 ●:開花後に結実したが不良または食害等により種子消失、
▲:途中成長停止~枯死または食害等により地上部消失 、✖:発芽せず、―:未発見

【キンラン】

年度 K1 K2A K2B K3 K4 K5
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017

【ギンラン】

年度 G1 G2 G3 G4大 G4小 G5
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017

また、数年に渡る観察の結果、キンラン等は他の植物に先駆けて2月頃に発芽するため、ダンゴムシなどの食害にあいやすいことが経験的にわかってきました。ひとたび生長点を食害されると、そのシーズンは地上部が成長することはないようです。また、2年連続して食害にあった個体でその後地上部が消失した個体もあります(因果関係は不明)。このため、発芽シーズンが近づくと地面の落葉など除去するとともに、ダンゴムシの食害を防ぐため、園芸用の粘着シートを設置しています。

このような敷地内の保全活動は、社員有志「羽村TC見守り隊」により、季節の推移や成育状況を踏まえて、概ね以下のような流れで毎年展開しています。

 

キンラン・ギンラン等

ツミ

1月

種子保存
前年度種子の播種

 

2月

発芽前:観察開始/落葉等の除去

 

3月

ダンゴムシ等食害の警戒対応
発芽後:成長記録開始 社内情報共有

 

4月

成長記録(開花等)社内情報共有
人工授粉・ネット掛け アブラムシ除去

 

5月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

ツミ営巣観察開始・社内情報共有
事業所内での見守り依頼

6月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

観察継続・社内情報共有

7月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

観察継続・社内情報共有

8月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

巣立ち・社内情報共有

9月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

 

10月

子房肥大状況観察/鳥獣害警戒

 

11月

採種・種子保存・社内情報公開

 

12月

種子保存

 

2023/4/21に発見したキンラン2個体

羽村技術センターでは建物の老朽化への対応として、大規模な再建設プロジェクトを進めています。このプロジェクトでは、敷地内希少生物の保全もテーマの一つに取り上げており、キンランやギンランなどが自生するエリアを保全区画として設定し、可能な限り保全するとともに、さらに自生エリアを広げるべく、個体増殖のチャレンジを進めています。
具体的な取り組みとしては、現状の個体が消滅しないように、発芽時のダンゴムシやナメクジによる食害を回避するための対応や、花期におけるランミモグリバエの寄生を回避するための人工授粉とネット掛けを実施しています。これらは、社員有志からなる「羽村TC見守り隊」にて毎年新たな工夫・改良を重ねています。2024年からは、学術文献を参考にして「種子スティック法」による播種の試みも開始しています。

羽村TC見守り隊による人工授粉

ネット掛け後のキンラン(2個体)

キンランの子房と種子

キンラン種子の拡大写真

種子スティック製作

播種(種子スティックの埋設)

羽村技術センターでは、2022年に敷地内のケヤキに絶滅危惧種の猛禽類であるツミの営巣が確認されました。それ以前は同事業所の西側にある武蔵野公園内でツミの営巣が観察されていましたが、2022年は当社敷地内に営巣場所を変更したようです。
翌年2023年にも当社敷地内の同じケヤキでツミが営巣を行い、2年連続で雛が巣立ちました。さらに、その翌年となる2024年には、敷地内の別のケヤキにて営巣と雛の巣立ちが確認されました。なお、「羽村TC見守り隊」の観察によれば、2024年は雛が巣立ったのち、その同じ巣で同じ親鳥が2回目の営巣を行ったとみられる様子が確認されています。
2025年には、羽村技術センターの再建設工事開始の影響か、敷地内でツミの姿は見られるものの、営巣は確認できず、隣の武蔵野公園内に幼鳥の姿が確認されたことから、営巣場所を移したものと推測されます。なお、因果関係は不明ですが、敷地内に別の小型の猛禽類であるチョウゲンボウが姿を見せるようになりました。

2024年 ツミの営巣位置

2024年 ツミの雛と親鳥

2025年 チョウゲンボウ

2025年 チョウゲンボウ

2025年 チョウゲンボウ

2025年 チョウゲンボウ

※2025年11月25日更新

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