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「CASIOの森」における2018年度の活動 | CASIO

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「CASIOの森」における2018年度の活動

2018年8月29日、当社は「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)」協定書について東京都水道局と調印を行いました。

「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)」協定書に調印

この協定に基づき、東京都水道局が管理する水道水源林のうち2.46ヘクタール(所在地は山梨県甲州市)を正式に「CASIOの森」と命名し、水道水源林の保全活動を開始しました。本年度は現地に看板を設置したうえで、第1回の活動として社員等有志による「地ごしらえ」とエリア内のマップ作成のための調査を行い、続いて第2回の活動として、FSC®認証材のスギ板を用いて野鳥の巣箱を製作しエリア内に設置しました。

│1. 看板の設置

本格的な森林保全活動に先立ち、2018年10月23日に「CASIOの森」に看板を設置しました。

現地は秩父多摩甲斐国立公園の第三種特別地域に該当するため、看板を設置するためには山梨県知事の許可を取得する必要があります。この許可取得には、自然の景観を損ねないように看板には天然素材を用いること等が条件とされています。自然と調和しつつ長年の風雪にも耐えられるような強度を有する構造とすべく、林業と木材に精通した東京都森林組合に協力をお願いしました。柱の太さや看板面の大きさや厚さ・表面処理等を検討したうえ、材料には林業振興を考慮して東京多摩地区で生産されている「多摩産材」のヒノキ材を用いて製作を依頼しました。これを4名(東京都森林組合3名、当社人員1名)で現場に搬入し、ボルトを用いて組み立てたうえで深さ約70cmの穴を掘って設置しました。

地面に穴を掘る作業

4つからなるパーツをボルトで組み立て

看板総重量:約57kg(板面:約20kg/脚:約15kg(1本)/根枷:約7kg)

│2. 「地ごしらえ」作業とエリア内の調査

看板設置後の第1回の活動として、カシオグループ社員とその家族、それにアドバイザーとしての社外有識者を含め、11人の有志で看板周辺の「地ごしらえ」を2018年10月27日に行いました。「地ごしらえ」とは森作りの最初の仕事として樹木の苗を植える前に、地面を覆っている大小の枝等を手で寄せ集めて地面を露出させる作業です。この日は午前中の1時間という限られた時間内でどれだけできるかにチャレンジしました。休日返上で参加した当社社員らと東京都水道局の職員の方々で協力し思いのほか作業は捗ったように思われました。しかし、2.46ヘクタールの広さがある「CASIOの森」において、「地ごしらえ」ができたのは広さにおいて1/100にも届かない看板周辺のごく一部の範囲でした。東京都の水道水源林は全体で約23,000ヘクタールと言われており、水道水源林の広大さと管理の大変さを実感し水道水源の大切さを理解することとなりました。

東京都水道局資料「水道水源林の広がり」

作業開始時

作業中

作業終了後

当社社員等有志と東京都水道局の職員の方々とで記念撮影

同日の午後には、3つの班に分かれてエリア内の調査を行いました。これから先の活動を進めていくうえで「CASIOの森」がどういう特徴を有する場所なのかを把握し、エリアマップを作るのが目的です。当社のアウトドア用リストウォッチで標高や方位を計測しつつ探索したところ、エリア内は標高1200m前後で南北に長く起伏に富んでいることがわかりました。

また、エリアの東側には澄んだ水が流れる沢が隣接しており魚を見ることができました。協定締結が8月の終わりであったことから、これまでの活動で晩夏~秋の様子が把握できたところですが、様々な樹木や昆虫や野生動物の痕跡が見られ、現地の生物多様性の豊かさを確認することができました。一方で生物多様性をめぐる微妙な問題として、シカが増えすぎていることによりエリア内の下層植生がほとんど食べつくされている状況も目にすることとなりました。

10~11月にかけて「CASIOの森」および隣接エリアで見かけた生物等

│3. 巣箱の製作と設置

社員等有志による2回目の活動として、野鳥の巣箱製作と設置を2018/11/17に7名で行いました。

巣箱を設置することで、直接的に現地の生物多様性に寄与することができますが、今回はさらに間接的にも貢献することを考慮して巣箱材料にFSC®認証材を用いることとしました。しかし、FSC®認証材を用いた木工製品の商品情報はいろいろ得られる一方で、板材を取り寄せて巣箱を自作するという前例は探しても情報が発見できませんでした。そこで、東京都森林組合や東京都水道局と相談しながら試行錯誤で進めることとなりました。また、実際の巣箱製作においては、CO2削減を意識してエネルギーを消費する電動工具等を用いず、可能な限り手工具を用いて製作を試みました。その結果、午前中の1.5Hの作業で3つの巣箱を完成させることができ「CASIOの森」に持ち込んで設置しました。

図面に基づいて墨付け

FSC®認証材のスギ板を用いて3個製作

一般的に企業による森林保全活動では、社内にノウハウの蓄積がない部分についてはアウトソーシングしたり、一定以上の参加人数を確保するために研修の扱いで活動を実施することが多いようです。それでも目的とする成果は十分に得られるものと思われますが、森林保全活動において後発である当社がそれを倣ったのでは面白くありません。当社においては伝統的に「0→1」で新しいもの生み出すプロセスを重視しており、森林保全活動においてもこれを重視して可能な限り自分たちで試行錯誤して活動を作り上げることとしました。これにより、副産物的な効果も逃さず取り込み、遅れを取り戻す以上に多くの成果を得ることを意図しました。

麻縄を用いて立木に巣箱を設置

│4. これからの「CASIOの森」

「CASIOの森」はこれから冬に入るため現地活動は春まで休止となります。来年5月には植栽作業を行い、同年の夏には下刈り作業を行う予定です。それらの作業はいずれも、森を育てるうえで必要な作業ですが、現時点では当社事業とはほとんど接点がありません。しかしながら、森林が果たす役割である水源涵養、生物多様性保全、CO2吸収などは、きわめて重要な社会課題であり、これらの社会課題に対し自社の得意ジャンルを生かして本業で貢献できるかどうかが企業の将来的な存在価値を左右します。

社会課題に本業で貢献するということは、すなわち、自社が保有する人材や技術力や組織力を生かして社会課題の解決に貢献できる新たな事業活動を生み出し、それによって事業利益と社会課題解決を同時に達成することを意味します。これを実現するためには、社会課題の内容を知識として理解するだけでなく、従業員一人一人が様々な社会課題の現場活動に参加して実感することで自分事化して考えることが必要です。

「CASIOの森」は自社グループの社員や家族にとっての気付きや学びの場とすることはもとより、当社の様々なステークホルダーにとっても意義ある場となることを目指し、社内外の有志を中心とした試行錯誤によって「CASIOの森」の活動を進めていきます。

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