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樫尾 幸雄 | CASIO

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樫尾 幸雄

カシオ計算機のものづくりを支えたエンジニアカシオ計算機のものづくりを支えたエンジニア

Profile 樫尾 幸雄

樫尾幸雄は樫尾四兄弟の四男として、カシオ計算機のものづくりの屋台骨を支えたエンジニアです。俊雄の発明を製品化して品質を高める設計と、量産のための生産技術を創造してきました。
大学や会社で設計を学んだ幸雄は、3人の兄がいる樫尾製作所に加わり、計算機の開発に取り組みます。俊雄が書いた手書きの図面を見ながら計算機の仕組みを理解し、実際の製品に仕上げていきました。また、当時は手書きだったボウリングのスコアをヒントに、世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」を考案。大ヒット商品を生み出す立役者となりました。
幸雄は、使いやすく、安く、高品質の製品を追求し、長年にわたってカシオ計算機の生産技術を支えてきました。電卓の全自動生産ラインをはじめ、幸雄が作り上げた数々の仕組みは、今日のカシオ計算機の生産ネットワークの基礎となっています。

1930年11月29日、東京都生まれ。日本大学機械科を卒業後、日本製鋼所を経て、52年樫尾製作所入社。カシオ計算機株式会社の常務、専務を経て、91年副社長に就任。科学技術庁長官賞「科学技術功労者」受賞(2000年)。旭日小綬章受章(2005年)。2014年から特別顧問となり、社内講演やメディア取材を通じてものづくりの精神を伝える。

樫尾 幸雄

電卓戦争の最中、個人向け電卓をいかに薄く、安くするかがメーカーの課題でした。そのポイントは、大規模集積回路(LSI)とキーボード。そのキーボードの改良に取り組んだのが幸雄です。当時、電卓のボタンの裏には一つ一つスプリングが入っていました。このスプリングがあるため、電卓を薄くすることができなかったのです。幸雄はここに着目し、一枚の金属板に渦巻きの切れ目を入れてスプリングのような形状にする「板バネ式」を考案。この結果、薄くかつ安いキーボードを実現することができ、「カシオミニ」が誕生するのです。「エンジニアは、目的を実現するための最もシンプルな形を考えなければなりません。シンプル・イズ・ザ・ベストです」と幸雄。余計なものを削ぎ落とすことで、小型・低価格・高品質の製品をつくれるという信条を持っています。

メーカーのオリジナリティをつくるのはコア技術技術は生鮮食品

初期のリレー計算機には、接点の接触不良という問題がありました。計算機の命である計算の正確さを守るために、幸雄はリレー素子の設計を見直しました。そして、1枚のU字型の板に2つの接点があり、どちらかの接点が必ずくっつく構造の「ダブル接点」を編みだし、接触不良をシャットアウトしました。
正確に計算できる小型計算機というオリジナリティを保つためにこの技術を開発した幸雄は、後に強烈な個性を持つ製品を実現させるための技術開発を先導します。独創的な製品をつくるには、自社の得意とするコア技術が必要だという考えにより「軽薄短小ローパワー」の技術を究め、パーソナル電卓や、多機能腕時計、クレジットカードサイズの電卓、超薄型デジタルカメラなどを実現させました。

技術は生鮮食品技術は生鮮食品

リレー計算機の成功に安堵し、トランジスタを使った計算機の電子化に後塵を拝してしまった樫尾四兄弟。すぐに電子式に切り替え、事なきを得ますが、幸雄はこの経験から「技術は生鮮食品のようなものだ」と語っています。「たとえ、最新の技術を持っていたとしても、放っておけばすぐに腐って使い物にならなくなってしまう。メーカーは常に世界の技術革新の流れを読まなくてはなりません」。成功体験に固執するのではなく、新しいものを生み出し続ける姿勢がメーカーにとって重要だと説いています。

幸雄は、カシオ計算機の黎明期から多種多様な製品の設計と製造に携わってきました。俊雄の発明を具現化する役割を担ってきましたが、優れた技術は一朝一夕に生み出せるものではないと語っています。「新技術を生み出すのは、日々のしつこさとこだわり、何事も限界まで追求する『エンジニア魂』です」。幸雄は1983年、クレジットカードサイズの電卓「SL-800」を開発。これは、電卓の小型薄型化の技術的な終着点として、ニューヨーク近代美術館にも収蔵されています。「技術力とは、エンジニアの長年の努力の蓄積です。この技術力があるからこそ、今までなかったものを生み出すことができるのです」。エンジニアである幸雄は、自らを研鑽し、オリジナル技術を開発し続けていくことで、カシオ計算機を発展させてきました。

生産技術はメーカーの屋台骨生産技術はメーカーの屋台骨

1965年、生産本部長に就任した幸雄。電卓の全自動生産ラインや数々の生産工場を立ち上げ、量産化のための生産技術を生み出してきました。生産技術の革新によって、カシオ計算機のものづくりを支えてきた幸雄は、製造現場を自分の目で見ることの重要性を説きます。「製造工程をみれば、製造しやすさにつながる新しいアイデアが浮かびます。生産効率と品質をさらに高めることができるのです」。より多くの人々に、より高品質な製品を届けるというメーカーの使命をカシオで支えてきたのは、幸雄の生産技術でした。

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