環境側面のマテリアリティ

自然との共生イメージ写真です。

自然との共生

課題認識

企業の事業活動における生物多様性との関係性は業種・業態により様々です。一方で、どんな企業であれそこで働く従業員や企業の提供する製品やサービスを利用するお客様(ユーザー)は、生きるために酸素や水や食料など生態系からの恵みを利用することが不可欠です。地球上の各所にある生態系が崩壊し地球全体としての生物多様性が低下すれば、お客様(ユーザー)の生活環境が悪化し、ひいては企業の事業活動にも重大な影響が生じます。つまり、我々人間によって企業の事業活動が営まれている以上、生物多様性と全く無関係な企業はありません。したがって、生物多様性にかかわる社会課題の最も重要な側面は、我々の多くが当たり前のように享受している生態系からの恵みについて、その価値やリスクを十分に認識できていないことにあります。このため、生物多様性の「主流化」が国際的に重要な課題となっています。

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カシオグループとの関わり

カシオ製品の製造は最終製品の組立てがメインであり、製品に使用する原材料やデバイス系の事業をグループ内に有していません。このため、生産工場等の操業における生物多様性への直接影響の要素は今のところグループ内にはほとんどありません。一方で原材料やデバイスの調達先であるサプライチェーンにおいては、生物多様性への直接影響が想定可能です。これらのサプライチェーンにおいて生物多様性にかかわる問題が発生すれば、デバイスや原材料の調達が困難となり、カシオの事業に支障をきたすリスクとなります。

また、近年注目されている海洋プラスチック汚染の解決の目途が立たずさらに悪化した場合や、有害物質の生物濃縮等が科学的に立証された場合には、商品の本体や梱包材などに用いているプラスチックについての法規制が強化される可能性が高くなります。そうなるとこれまで通りにプラスチック材料を利用することが困難になり、当社も対応を迫られるリスクがあります。

一方、カシオでは過酷な自然環境での使用に耐えるウオッチブランド「G-SHOCK/Baby-G」、ならびに、アウトドア活動で役立つセンサー機能を搭載したウオッチブランド「PROTREK」を展開しています。「G-SHOCK/Baby-G」では自然保護の観点から1994年からI・C・E・R・C Japan(アイサーチ・ジャパン)とコラボしたイルカクジラモデルを製品化しており、同団体との協働が2019年で25周年を迎えました。また、「PROTREK」では2018年よりNACS-J(日本自然保護協会)との協働によるイヌワシモデル、オオルリシジミモデル、ウミガメモデルを製品化し、これらの希少生物の保護活動へのサポートを開始しました。これらは、生物多様性の社会課題の主流化に向けて本業である社会への製品供給を通じて貢献するものであり、生物多様性保全への社会的機運を高めることで、カシオの事業において好循環を形成できる可能性があります。

目標と行動計画

カシオでは2011年3月に「生物多様性ガイドライン」を策定し、これに基づいて活動を推進してきました。また、カシオでは事業特性として生物多様性への直接影響が小さいことから、サプライチェーンにおける間接影響に着目し、2015年6月に「紙の調達方針」を定めました。

また、カシオにおける生物多様性保全についてのこれからの取り組みは、自社の事業特性を踏まえ「機会」の側面に着目し、CSVの実現を目指して「アウトサイド・イン」「マルチステークホルダー・パートナーシップ」を念頭においた活動を推進していきたいと考えています。なお、2020年は「国連生物多様性の10年」の最終年であることから、国際的にこの10年の総括が行われており、カシオでも生物多様性条約(CBD)・第15回締約国会議(COP15)での議論を確実に把握し、現行の「愛知目標」に代わる「Post 2020」の内容を目指すべき未来として見定めたうえで、「生物多様性ガイドライン」を改訂する予定です。

カシオグループ生物多様性ガイドライン

基本方針

カシオグループは、「事業活動が生物多様性からの恵みを受けて成立し、また、生物多様性に影響を与えている」との認識にたち、生物多様性の保全活動を地球温暖化防止への取り組みと並ぶ重要な環境活動として位置づけ、環境経営に取り込み、推進体制を構築したうえで、持続可能な社会の実現のため、グループをあげて取り組みます。

具体的な取り組み

1.(事業活動)
自然の摂理や伝統に学び、その知恵をいかした技術開発を行い、ユーザーの自然愛護の精神を喚起する製品やサービスを創造し提供することにより、持続可能な社会の実現に貢献します。

  • ペーパーレス社会の構築を促進します。
  • 独自の技術開発により省資源化へ貢献します。
  • 自然を慈しむ商品開発を行います。

2.(影響評価)
研究/開発、設計、資材調達、製造、物流、販売、製品使用、廃棄、リサイクル等の事業活動、及び事業所や工場立地において、生物多様性に与える影響の調査・分析を行い、改善する施策を定め、影響の大きいもの、効果の高いものから実施していきます。

  • 生態系サービスを利用/使用している部材(皮革、木材、紙等)、素材(鉱物資源等)の適正な調達に積極的に取り組みます。
  • 製品を構成する部材/素材レベルでの生態系への配慮を確認するため、サプライチェーンを通じたアンケート調査を実施します。
  • カシオグループとしての影響評価手法(チェックシート、指標導入)を確立します。

3.(情報開示)
環境活動の成果を積極的に開示し、社会の生物多様性への意識向上に努めます。

4.(社会連携)
NPO/NGO、行政機関、地域住民等による生物多様性保全に貢献する活動を積極的に支援します。

5.(全員参加)
全従業員に対して、生物多様性の保全に対する理解を高め、自主的な活動を実践していくための教育を行い、全員参加の活動をめざします。

カシオグループ 紙の調達方針

目的:紙の原料となる森林資源の保護と持続可能な利用を通じた生物多様性の保全を目的として、紙の調達方針を定める。

適用範囲:カシオグループが国内外で調達する紙製品全般

方針:以下の基準に沿って事業活動で使用する紙を調達する。

  1. 紙の原料木は、伐採地の法律・規則を守って生産されたものであること
  2. 保護価値の高い森林を破壊しておらず、重大な環境・社会問題にかかわる企業の製品ではないこと
  3. 信頼できる認証紙や再生紙を優先的に利用する

体制

2015年に環境テーマの3つのマテリアリティを設定しました。このうち「自然との共生(生物多様性保全)」をマテリアリティの第3番目と位置づけ、ISO14001環境マネジメントシステムを構成要素としての「M3委員会」を2017年に立ち上げました。この「M3委員会」では、国内向け製品カタログの森林認証紙化を進めるとともに、国内の主要な事業拠点の生物多様性調査を進め、環境省レッドリストに掲載されている希少植物等が事業所敷地内に自生していることを発見しました。これらの希少植物等の保全活動をはじめとして、自社内から生物多様性の主流化を進めるべく、M3委員会では従業員の自発性を重視した施策(見守り隊、CASIOの森)を推進しています。
また、社会の要求として、本業を通じた社会課題への貢献がますます求められていることから、上記の主流化施策と事業部門の本業施策との連携を進め、従業員有志による自発性をさらに重視した施策に取組みます。

中長期目標と実績

評価 ◎:すべての目標達成、○:目標をおおむね達成、△:成果より課題が残る、×:進捗なし

活動テーマ 中長期目標 2019年度目標 2019年度実績 評価 2020年度目標
自然との共生 「持続可能な紙」の利用比率を2030年度までに100%とする。 国内向け製品カタログの森林認証紙比率を80%以上とする 集計中 - 国内向け製品カタログの森林認証紙比率を80%以上とする
「持続可能な紙」の定義の検討 「持続可能な紙」の定義に必要な基礎情報の取得が困難であることから、定義の確定には至らず × 「持続可能な紙」の定義も含め中長期目標を再度検討する