生物多様性にかかわる社会課題への本業貢献
プラスチックごみを削減するラベルライター「Lateco(ラテコ)」
近年国際的な注目が高まっている地球環境問題として、海洋プラスチックごみ問題があります。「Lateco」は従来のラベルライターをリデザインし、テープの無駄な余白を最小化するとともに、テープカートリッジの使い捨てを回避できる設計とすることにより、従来の自社製品と比較してプラスチックごみを大幅に削減しました。この取り組みは環境問題の合言葉である「もったいない」の意識を有するユーザーをはじめ、長年にわたり川ごみ問題に取り組んでいるNPOなどの市民団体、また、環境ISO14001審査機関など、さまざまなステークホルダーから高い評価を受けており、環境省のプラスチック・スマートキャンペーンにも登録しています。




※テープ単体の梱包状態にて、ネームランドテープ18㎜幅、Latecoテープ18㎜幅で比較
社員有志によるごみ拾いイベントへの参加
「Lateco」による「リデザイン」の取り組みについては、電機電子4団体主催の海洋プラスチックごみ問題をテーマとしたセミナーでも紹介しました。
また、社会課題としての海洋プラスチックごみ問題について、現場活動を通じてより理解を深めるため、社内関連部門の社員有志にて、2019年12月に荒川で開催された「ふるさと清掃運動会2019 in荒川」に参加しました。
河川でのごみ拾いは今回が初めてという人員がほとんどであり、海洋ごみの多くが陸域で発生し河川を通じて海に流れ出ている現状を目の当たりにして衝撃を受けました。また、大勢の参加者と力を合わせ集めたごみはかなりの量となり、ごみ拾いの現場活動を継続することの意義を認識するとともに、「Lateco」のように自社製品の「リデザイン」により、プラスチックごみ削減に本業から取り組むことの意義を改めて認識しました。

環境保護団体とのコラボレーションによる生物多様性保全
カシオはウオッチ製品において、G-SHOCK/BABY-G/PROTREKなどのブランドを展開しています。
これらのブランドではユーザーによるさまざまな活動の場を想定し、そこで役立つ機能・性能やデザインを有する製品を提供しています。想定している活動の場は、陸上、海洋などさまざまな地域の豊かな、そして時に過酷な自然環境下にあります。
ブランドとしての特徴を大切にするためには、自然環境の保全に寄与することがメーカーとしての責務であると考え、豊かで過酷な自然環境の基盤となっている生物多様性にかかわる社会課題について、自社の本業を活かして貢献すべく、コラボレーションモデルの商品化を進め、環境保護団体等の活動を活性化するためのサポートを行っています。
G-SHOCK、BABY-G 「Love The Sea And The Earth」
G-SHOCKとBABY-Gは「Love The Sea And The Earth」というテーマのもと、「アイサーチ・ジャパン」(国際イルカ・クジラ教育リサーチセンター)、「アクアプラネット」、「アースウォッチ・ジャパン」、「ワイルドライフプロミシング」などの環境保護団体とのコラボレーションモデルの開発を進め、商品の提供や情報発信等により、活動をサポートしています。
「アクアプラネット」との協働では環境省が推進した国際サンゴ礁年のオフィシャルサポーターとして活動しています。
また、1994年のイルカ・クジラモデルから開始したアイサーチ・ジャパンへのサポートは2020年に26年目を迎え、継続的なサポートと商品化を実現しています。



2020年コラボレーションモデル

2020年コラボレーションモデル

2020年コラボレーションモデル

2020年コラボレーションモデル
国際サンゴ礁年2018オフィシャルサポーター
サンゴ礁生態系保全の国際協力の枠組みである国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)が、 2018年を3回目の「国際サンゴ礁年」(IYOR: International Year of the Reef)に指定したことを受けて、 日本国内では環境省が中心となり多様な主体と連携し、国際サンゴ礁年2018の活動が展開されました。そのキャッチフレーズは 「つながる、広がる、支えあう」です。
カシオではBABY-Gの「アクアプラネット」とのコラボレーションモデルを通じてサンゴ礁の保全をサポートしているほか、山形カシオの水中トランシーバー「ロゴシーズ」でサンゴ礁の保全活動に貢献しており、キャッチフレーズが意味するところのマルチステークホルダー・パートナーシップでの貢献を念頭に置き、オフィシャルサポーターとして活動しました。

カシオのサンゴ畑
カシオでは、女優の田中律子氏が理事長を務め珊瑚の保全や再生を行うNPO法人「アクアプラネット」のサポートを2018年に開始し、サンゴ礁の保全再生活動を支援しています。同年1月には沖縄県石垣の海にカシオのサンゴ畑を設け、3年後の産卵を目指して200本の苗を植えつけました。
このカシオのサンゴ畑は沖縄県の石垣島の南部、水深は満潮時で約4m程度の浅い海にあります(地図の赤い丸印)。
植え付けられているのは、褐虫藻とよばれる植物プランクトンと共生しているサンゴで、ミドリイシ科ミドリイシ属のスギノキミドリイシなど丈夫な種類の7種類以上のサンゴの苗が植え付けられています。
これらのサンゴの苗は、許可を受けて新規に採取したものや、他のサンゴ畑で養殖されたものを株分けしたものです。
植え付けから2年以上経った現在では、成長したサンゴに小魚の姿も見られるようになりました。



海の環境を考えるトークショーを開催
2020年に26年目となる、アイサーチ・ジャパンへのサポートにおいては25周年を迎えた2019年6月に記念イベントを東京にて開催。アイサーチ・ジャパン代表の相良菜央氏と、同じく海の分野でサポートを行う「アクアプラネット」理事長の田中律子氏、水中写真家・峯水亮氏とともにトークショーを行い、来場者に廃プラスチック問題やサンゴの死滅による海洋生物多様性への影響など、現在の海の中で起こっている問題や消費者としてできることなどについて話し合い、海洋環境保護の大切さなどを伝えました。

ロゴシーズによるサンゴ礁保全活動への貢献
2018年10月14日に鹿児島県の喜界島でWWFジャパンのサンゴ礁保護研究センターが主催する「第一回喜界島リーフチェック」が開催され、 環境省から任命された国際サンゴ礁年オフィシャルサポーターの活動の一環として、山形カシオがロゴシーズの機材提供で協力しました。
リーフチェックとは、世界規模でサンゴ礁の「健全度」を調査するための、世界統一手法によるボラン ティアベースのサンゴ礁モニタリング調査です。 サンゴ礁に生息している魚類その他の生物の種類や海底の状態を記録し、サンゴ礁の健康状態を評価しサンゴ礁の保護などについて啓発を行い、人為的な影響を低減することを目的としています。

「ロゴシーズ」

リーフチェックポイントは、塊状サンゴ特にハマサンゴ が多く見られ、サンゴ被度は平均で51.25%です。 中でも荒木ハマサンゴと名付けられているものは、10年程前に東京大学がコアを抜き出し調べた結果432年生息していることがわかっており、今回の調査でも生息が確認され、440年超えの日本一のハマサンゴとのことです。
リーフチェックの写真をご提供いただいたヨネモリダイビングサービスさんからは「ロゴシーズ、最初は話づらく聞き取りにくいですが、使用しているうちに慣れて聞き取りやすく話しやすくなりました。特に今回のように、リーフチェックや講習、作業する際には本当に役立ち尚且つ船ともコンタクトが取れるという素晴らしい商品だと思います。」というコメントをいただきました。




2019年3月には国際サンゴ礁年の最終報告会が東京で実施されました。ここでは、オフィシャル・サポーターとして活動した多くの企業や団体に加え、高校生や大学生の若者グループも1年間のサンゴ礁の保全活動の内容を報告し、環境大臣からの感謝状を受領しました。国際サンゴ礁年としての活動は2018年の1年限りで終了となりましたが、サンゴ礁保護活動の支援は今後も継続します。




PROTREK×日本自然保護協会(NACS-J)
カシオでは、2018年より当社のアウトドア・ウオッチブランドである PRO TREKにより、日本自然保護協会(NACS-J)へのサポートを開始しました。
日本自然保護協会とのコラボレーションモデルの商品化により、それぞれの生物の保護活動の活性化を支援しています。
2018年には第1弾としてイヌワシ(環境省レッドリスト2019・絶滅危惧ⅠB類)、2019年に、絶滅危惧種に指定されているオオルリシジミ(環境省レッドリスト2019・絶滅危惧ⅠA類)、2020年に、アカウミガメ(環境省レッドリスト2020・絶滅危惧ⅠB類)をそれぞれモチーフにしたコラボレーションモデルをリリースしました。



NACS-J 調査活動参加
日本自然保護協会の保護活動への社員参加も開始しました。2018年5月にNACS-Jが長野県で企画したオオルリシジミの調査保護活動では、食草であるクララの株のシュート(蕾の付いている茎)の数と、それぞれのシュートに何個の卵が産み付けられているかを記録しました。作業としては単純で地味なものですが、この調査によって得られたデータは、どのくらいの距離でクララを植樹すれば良いかなどの科学的な根拠となります。この調査活動に参加したことで今後のオオルリシジミの保護のために社員にどのような協力が可能かについて感触をつかむことができました。
また、2019年3月にNACS-Jが都内で開催した「オオルリシジミ・サミット」にも協力しました。このサミットでは、日本国内に残された2箇所の生息地である長野県と熊本県より、それぞれの地元で保護活動をされている方々が初めて交流したしたほか、阿蘇における畜産業としてのアカウシの放牧を盛んにすることでオオルリシジミの生息環境が守られることなどが説明されました。このイベントに参加することで、一見関係なさそうに思える食材としてのアカウシの消費が、オオルリシジミの保護に貢献できることを学ぶことができました。



