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2024年に、50周年を迎えたカシオ計算機の時計事業。その50周年を記念したブランド横断モデル第2弾「Zero to One(6モデル)」が、10月29日に発売されます。
その中の“OCEANUS(オシアナス)”『OCW-SG1000ZE』は、発電を高効率化した「ガリウムタフソーラー」を同ブランドで初めて採用しました。今回そのこだわりについて、商品企画部の黒羽 晃洋に話を聞きました。
<プロフィール>
黒羽 晃洋(くろは あきひろ)
2014年 入社。時計ソフト開発部門を経て、現在はOCEANUS、MR-Gなどのアナログ時計モジュール開発に携わる。
【ガリウムタフソーラーとは?】
ガリウムタフソーラーは、ガリウム化合物を基盤材料とし、2024年に日本初となる月面着陸を成功したJAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型月着陸実証機「SLIM」に搭載されているシャープ株式会社の太陽電池技術を腕時計向けに応用し開発した発電システムです。
宇宙環境に適した信頼性に加え、従来のソーラーと比べ発電効率が飛躍的に向上しています。そのため、日付表示のわずかな隙間に差し込む光で発電し、電波受信などの各種機能を安定駆動します。
晴天時の屋外の太陽光(約50,000Lx)での発電効率は従来品の約5倍、蛍光灯(約500Lx)でも約2倍の充電効率を実現しました※。発電量の高効率化により、ソーラーセルのサイズを大幅に小型化できるため、今回の“OCEANUS”『OCW-SG1000ZE』では肉抜きされた日車の隙間から差し込む光のみでソーラー駆動します。
※従来シリコン系ソーラーと同一面積で比較した場合。当社調べ。
ガリウムタフソーラー
(左から)モジュール、ソーラー、日車
開発のきっかけは?
黒羽:OCEANUSでは、一貫してソーラー時計にこだわり、これまでもタフソーラーや遮光分散型ソーラー、インダイヤルソーラーなど、カシオの独自技術を搭載しながら、ソーラーの効率化を目指してきました。
そのような動きがシャープさんの目に留まり、ガリウム系太陽電池についてご提案をいただいたのが開発のきっかけです。
最初は、周年の少数生産の特別な“G-SHOCK”にしか採用をしてきませんでしたが、今回量産化に向けて開発をし、OCEANUSでの採用に至りました。
ガリウムタフソーラーで出来るようになることは?
「機能進化」と「デザイン進化」の2点が挙げられます。
機能面では、発電効率の向上により、充電時間が短縮されました。
従来のシリコン系ソーラーと比較すると、同じ面積で約2~5倍も充電が効率化されます。また、シリコン系ソーラーは、晴れの日の屋外など、高照度下では発電効率が下がってしまう特性があるのですが、ガリウムは高照度でも発電効率が落ちず、速く充電ができます。
従来モジュールとの比較写真
デザイン面では、ソーラー小型化により時計のフェイスデザインの幅が広がります。
従来のシリコン系ソーラーは、発電量を確保するためにある程度の面積を必要とするため、文字板の直下に同等サイズで配置されるのもあり、文字板を光を透過する素材で構成しなければならないというデザイン上の制約がありました。
今回の『OCW-SG1000ZE』では、ガリウムタフソーラーの高効率な特性を活かし、ソーラー部分を大幅に小型化しています。日付表示の日車の下に配置し、そのわずかな隙間から差し込む光のみで十分な発電が可能なため、質感の高い不透過の金属文字板や、立体的なフェイスデザインを採用するなど、独創的な構造を実現しました。
一目見ただけで、これまでのソーラー時計とは違うな、と感じていただけるデザインになりました。
腕時計に応用するにあたって苦労した点はありましたか?
ガリウム系太陽電池は、元々は人工衛星などに採用されており、その技術を腕時計に応用するのに苦労しました。人工衛星は太陽光に特化していますが、腕時計の使い勝手を考慮し、太陽光だけでなく室内光にも対応できるようにガリウム化合物の組み合わせを選定するなど、工夫しました。
また、この技術をどういう形で時計に落とし込むかという部分も悩みました。ソーラーを従来通り全面に使用して、より高速な充電に対応させるなど色々な活用方法を検討しましたが、結果的には小型化し日車の下に配置することで、他のソーラー時計にはない独創的なデザインが実現できて良かったと思います。
最後に
今後もカシオが目指すアナログソーラー時計の姿として、ローパワー化や効率化、独自設計によりフェイスの制約をなくしていきたいです。時計自体の消費電力を抑えることができれば、発電も少なく済み、デザイン的な自由度も増します。
もっと自由な構造、デザインを実現できるようなカシオらしい独創的なアナログソーラー時計を今後も目指していきます。
<製品サイト>
OCW-SG1000ZE
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