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カシオ計算機の最初の製品「14-A」は、世界初の小型純電気式計算機でした。
「14-A」を動かすと、「カシャカシャカシャ!」という軽やかな音が出ます。この音のもとは、計算機のキーデバイスである「リレー素子」の動作なのです。
14-A
運動会のリレーのように「電気のバトン」を渡すリレー素子
「14-A」には341個の「リレー素子」が使われています。
「14-A」のリレー素子
「14-A」の背面に並ぶ341個のリレー素子
リレー素子は電磁石の働きでスイッチをオン・オフする働きをします。
電気を流すとコイルから磁力が発生して、金属の接点を引きつけます。接点同士がくっつくと、別の電気回路のスイッチが入り、電気が流れます。この動きの連続で「リレー競走」のように、回路から回路へ電気のバトンを渡して計算をしているのです。電気の流れをつないでいく働きから「リレー」は「継電器」とも呼ばれます。「カシャカシャ」という音は、341個のリレー素子の接点がついたり離れたりしている音なのです。
昔は電話をつなぐのに使われていた
リレー素子は、昔は全国の電話どうしをつなぐ「交換機」に使われていました。全国の電話機の中から、相手を瞬時に選び出すための高速切り替えに向いていたのです。
「14-A」を発明した樫尾俊雄は電話局で回線メンテナンスの仕事をしていたため、リレー素子についての知識がありました。これを使って計算ができることに気づいた俊雄は、リレー素子を使ったデジタル回路を考え出しました。計算間違いをしないよう、正確に動作する計算機用のリレー素子を、兄弟とともに独自開発して「14-A」を完成させました。
今でも身の回りに多く使われている
「14-A」は1957年の製品です。今は計算機の回路は半導体でつくられていますが、リレー素子は今でも、自動車のライト、ビルの照明や空調、洗濯機や掃除機といった家電製品など、身の回りでたくさん使われています。特に人間がスイッチを入れてモーターなどに大きな電流を流すような装置には、安全のために小電力の回路と大電力の回路を切り離せるリレー素子が用いられることが多いようです。
リレー素子にもさまざまなタイプがあります。14-Aに使われているリレーは有接点式(=ハードリレー)というもので、接点が物理的に動くため、音が出ます。動く接点がない無接点式(=ソフトリレー)もあります。「カシャカシャ」という音は、ハードリレーからしか出てきません。
生の音は、樫尾俊雄発明記念館で聞けます
実際に動く「14-A」は、樫尾俊雄発明記念館で見ることができます。「この音が心地よい」という感想も多いようです。興味を持たれた方はぜひ生の音を、記念館でお聞きください。ご来館時にスマホなどで録音されてもOKです。足し算や引き算だとすぐに計算が終わってしまうので、掛け算や割り算をご覧になることをお勧めします。
<関連リンク>
電卓60周年スペシャルサイト(電卓のルーツとして14-Aが紹介されています)
樫尾俊雄発明記念館「発明の部屋」(14-Aの動作音が聞けます)
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