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本日、耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の最上位シリーズ “MR-G(エムアールジー)”の新モデル『MRG-B5000HT』を発表しました。トップベゼルとバンドに日本の伝統技法である鎚起(ついき)※を施すことで力強さと優美さを表現したモデルです。鎚起を取り入れたモデルとしては初めて初号機から引き継ぐ角形フォルムを採用し、G-SHOCKのタフネスと日本の伝統技法の美しさを融合させました。その開発ストーリーを商品企画部の石坂真吾に聞きました。
※薄い金属板を鎚(つち)で打ち起こす、金属工芸の技術の一つ。

時計事業部 商品企画部 第二企画室 石坂真吾
3回目の鎚起モデル一筋縄ではいかなかった、新素材への挑戦
―今回のモデルは、鎚起の本場である新潟県燕市で活動されている鎚起職人・渡邉和也氏とのコラボレーションですね。
渡邉さんには、トップベゼル(八角形部分)とバンドを制作していただきました。今回のモデルのベースとなっているMRG-B5000シリーズは、美しい研磨仕上げの質感を長く保てるよう、硬くて傷付きにくい素材を使用しています。本モデルも基本的には同じ素材構成ですが、トップベゼルのみ、「コバリオン」から「DAT55G」に変更しました。「コバリオン」は純チタンの約4倍の硬度を誇り、硬すぎて鎚起加工ができないためです。一方、「DAT55G」は、「コバリオン」に次ぐ硬さを持ちながら、硬化処理を施す前は比較的柔らかいという性質を利用して、鎚起加工を可能にしました。とは言っても「DAT55G」は純チタンよりも約3倍の硬度のため、加工が難しいことに変わりありません。この加工を引き受けてくれる職人を探し歩いて、ようやく渡邉さんに辿り着きました。
※DATは、大同特殊鋼株式会社の登録商標です。


立体的な鎚目模様
―開発する中で、苦労したことは何でしょうか。
色々と予想外のことが起こり、納得できる鎚目模様を出すまでの開発過程が大変でした。例えば部品の変形の問題。過去の純チタンでの鎚起加工と違い、かなり強く叩かないと鎚目ができません。ところが強く叩き過ぎると、ベゼルが変形してしまうという問題が起きました。どの程度の力で叩くか、どうやって部品を固定するかなど、さまざまな試行錯誤を繰り返しました。また、数を作る中で鎚目の表情が変わってしまう問題もありました。硬い素材を数多く叩くことによって、鎚目をつける「たがね」の先端形状が徐々に変形してしまったためです。最初の頃は品質基準に満たないものが多発しましたが、何とか外観を安定させる方法を見つけました。それでも非常に手間がかかってしまったため、最終的に500本を作り上げるのが精いっぱいでした。

鎚起職人 渡邉和也氏
伝統工芸とともに「新しいMADE IN JAPAN」に挑戦するMR-G
―MR-Gにとって、日本の伝統工芸は今や大きな核となっていますよね。
その通りです。「MR-G」は山形カシオで生産しており、「MADE IN JAPAN」にこだわったブランドです。日本で作るからこそ、日本ならではのさまざまな技術を取り入れて、その魅力を発信したいと考えています。一方、伝統工芸に携わる方は、技術の継承に対する危機感を感じる中で、今までとは違う世界に広げるために時代に合わせた新しい表現や挑戦を続けています。この姿勢は、G-SHOCKの「変革を続ける」という考え方と共通しています。双方が変化を恐れず、新たな挑戦をすることで新しいMR-Gを生み出して来ました。
今回、渡邉さんにお願いをしたのも、伝統にとらわれずに様々な挑戦をされている姿勢に共鳴したのも理由の一つです。MADE IN JAPANを根幹としながら、その先に新しい価値観を生み出したいという思いのもと、共に本モデルを完成させました。
―改めて、鎚起の魅力とは何でしょうか。
やはり、ひとつひとつ職人の手で打ち起こすことで生まれる唯一無二の表情です。その魅力を最大限引き出すポイントは、「並ばず、乱れず」です。これは機械では再現できない自然な風合いで、豊かな味わいを見せます。それこそが職人の腕の見せ所ですし、本モデルの大きな魅力とすることができたと思います。
魅力がたっぷり詰まった本モデル。ぜひ店頭でお手に取ってみてください。
<ニュースリリース>
日本の伝統技法「鎚起」を施した角型フォルムの“MR-G”
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