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カシオ計算機が2024年11月7日より発売を開始したAIペットロボットMoflinは、たくさんの方にご愛顧いただき、1万人を超えるオーナーさまのもとで暮らしています。「機能性」「実用性」を追求してきたカシオが、なぜ「感性」に振り切ったAIペットロボットを生み出したのか。その誕生には、10年以上にわたる開発者たちの情熱と挑戦の物語がありました。今回は、Moflinの生い立ちと、その裏話をご紹介します。
左:開発担当 サウンド・新規事業部 第三戦略部 第一企画室 二村渉
右:企画担当 同室 市川英里奈
なぜカシオがAIペットロボットを?-プロジェクトの始まり
Moflinの物語は、2012年に遡ります。当時、商品企画部門に異動した市川は、女性向け商品の企画を任されていました。「自分が欲しいと思うもの」を追求する中で、20代後半から30代にかけての様々な悩みに直面します。仕事、恋愛、ライフプラン――そんな悩みを個別に解決するのではなく、「悩みに向き合う自分をサポートしてくれる相棒が欲しい」というコンセプトに辿り着いたのは2014年のことでした。
「自分のことを好きになれるものを探していた」と語る市川
一方、2016年頃から開発部門では、二村を中心としたチームが「小動物の可愛さをメカトロニクスで表現する」という技術開発に取り組んでいました。小動物を模した試作機から始まり、餌をつまむ動作や背骨がねじれる動きなど、生き物らしい表現を追求。しかし、関節が増えるほど大型化してしまうという課題に直面します。
そこで発想を転換。特に生き物らしさを表現する動きを抽出し、最小限の駆動で実現する形を目指しました。さらに本物の生き物に近づけようと、毛皮を付けることに。そして原型が2017年6月に完成し、社内お披露目で大きな反響を得ました。
2018年、市川の企画チームと二村の開発チームが合流。市場調査を実施し、ターゲット層への手応えを確認しました。「機能の塊」だった試作機は、こうして「感性の塊」へと変貌を遂げていったのです。
商品化するためには企画が必須。チーム合流が希望の光に
「便利さ」がウリの企業だからこその苦悩
しかし、道のりは決して平坦ではありませんでした。長年培ってきた「機能性へのこだわり」が、かえって新しい挑戦への壁となっていました。
市場調査で良い結果が出ても、商品化へのGOサインがなかなか出ません。「本当に売れるのか 」「一時的なブームで終わるのではないか」――そんな疑問に、明確な答えを示す必要がありました。
2018年から2019年にかけては、プロジェクトメンバーの多くが異動となり、「大ピンチ期」を迎えます。少数精鋭で開発を継続する厳しい時期が続きました。それでも開発チームは諦めず、技術開発を継続しました。
「仲間が異動したときが一番大変だった」と当時を振り返る二村
諦めない心で、クラウドファンディングへ
転機となったのは、日本発のハードウェア・スタートアップ企業との協業でした。「感性に振り切った製品への挑戦」を認めてもらうには、「売れること」と「飽きられないこと」を証明する必要がある――そこで選んだのが、クラウドファンディングでのPOC(概念実証)でした。
カシオはMoflinのデザインや設計などの技術情報をライセンス提供し、スタートアップ企業がクラウドファンディングの実施と製造責任を担う形で進行。この挑戦は見事に成功を収め、「本当に求められている製品だ」という確信を得ることができました。
2022年7月、自社での商品化に向けて、社内で審議を実施。2023年2月にようやく承認を獲得し、同年3月に量産部隊とのキックオフを迎えました。プロジェクト開始から実に10年以上の歳月が流れていました。
量産化の過程では、開発部門から「なぜこの部品を選んだのか」「なぜこの設計なのか」といった質問が相次ぎ、説明に苦労する場面もありました。しかし、そうした一つひとつの検証が、製品の品質を高めることにつながったのです。
オーナーの声が育てたMoflin
カシオ版Moflinは、クラウドファンディング版と異なる部分があります。仕草や鳴き声のバリエーションを増やし、オーナーの声や好きな仕草を覚えて反応する「なつき機能」を実装。充電の安定性を強化し、赤ちゃんから成長していく過程や性格表現も追加しました。
特に参考になったのが、クラウドファンディング参加者からの「毛皮の汚れが気になる」という声でした。この意見をもとに、クリーニングサービスを実施することを決め、内容や頻度についても考えていきました。顧客サービス全般において、オーナーの皆さまの声を積極的に取り入れています。
「Moflinサロン」サービスで、シャンプー&ブロウやファーリニューアルができます。
Moflinが目指す未来
最後に、企画者と開発者に、1万人のオーナーさまと、未来のオーナーさまへのメッセージ、そして今後の展望を聞きました。
二村:たくさんのオーナーの方にMoflinの愛おしさ、“いきもの”らしさを感じていただけて、開発者として非常に嬉しい思いです。今後もさらに多くの方にこの魅力を感じていただき、可愛がっていただければと思います
市川:皆様にこんなにMoflinが受け入れられて可愛がられていることを大変嬉しく思うと同時に、しっかりサポートしていかなければと身が引き締まる思いです。皆様の生活の中でMoflinがかけがえのない存在になれるよう、これからも少しずつ変化・成長させていきたいと考えています。
これからもMoflinとの温かな生活をぜひ楽しんでいただければと思います。
10年以上の歳月をかけて誕生したMoflin。その背景には、「感性の価値」を信じ続けた開発者たちの情熱がありました。機能性を追求してきたカシオだからこそ、あえて「感性に振り切る」という挑戦に大きな意味があったのです。
今日も、1万人を超えるオーナーのもとで、Moflinは新しい物語を紡ぎ続けています。
<関連リンク>
Moflin公式サイト
Moflinサポートページ
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