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まず講師から説明したのは、炭素循環の話。大気中のCO2(目に見えない気体)を光合成により植物がカラダに取り込んで成長し(目に見える形となり)、その植物を動物や昆虫などが食べ、排せつ物や死骸を微生物が分解し、CO2(気体)として大気に戻る循環が自然界では無理なく形成されていること。この自然の炭素循環では、大気中のCO2濃度は吸収と排出のバランスが保たれており、大気中では増加しないこと。
その一方で、人間がエネルギーなどに使用する化石燃料は、太古の昔の植物が地中で途方もない年月をかけて変化したものであることから、人間による化石燃料の利用は大気中のCO2を増加させてしまうこと。
ここで、豪雨災害や干ばつなど気候変動を回避するため、大気中のCO2濃度を一定にするには、排出量と吸収量を同じにする(カーンボンニュートラル)が重要ですが、我々が身近でできることとして「炭素固定」の説明に続きます。
「自然物である植物などは、命が終わればいずれ微生物に分解されてCO2(気体)の状態で大気中にもどりますが、炭化させてカーボン(固体)にすれば皆さんがおじいさん・おばあさんになってもそのままの状態で残り、(あらためて燃やさない限りは)CO2として大気中に戻ることはありません。」
それが今日実際に体験する花炭の意味であることなどが説明されました。 概要の説明に続き、児童の皆さんは一旦校舎を出て、隣接する「三楽の森」に材料集めに出かけます。児童の皆さんは森の中で、講師の藤原さんのアドバイスを受けながらそれぞれ思い思いに自然の材料を集めました。
児童の皆さんが材料集めに出かけている間、当社スタッフは急いで「花炭づくり」の準備。10台の焚火台を用意して、それぞれに炭を着火して児童の皆さんが戻るのを待ちました。
材料集めから戻った児童の皆さんは、講師が用意したいろいろな材料から好きな材料を選び、一緒に金属缶に入れ蓋をします。金属缶は焚火台の上で加熱する過程でどの缶が誰のモノか特定しにくくなるため、東西南北でそれぞれの缶の位置を区別。スタッフがこれを炭に乗せて炭化するのを待ちます。
炭化を待つ間、講師の指導により各グループで役割を分担して「火起こし」を体験しました。今回実際に児童の皆さんに挑戦いただいた火起こしの方法は「紐ぎり式」。これは棒(スピンドル)に巻き付けた紐を左右交互に引っ張ることで棒を回転させ、その摩擦熱で火種を作る方法です。
講師による実演を見守る児童のみなさん
講師によるお手本のあと、実際に2人組で挑戦しますが、難しいのは棒を押さえる力加減。軽すぎれば棒が外れてしまうし、強すぎれば紐を引っ張っても棒をスムーズに回すことができません。しかし、早々にコツをつかんだグループは摩擦熱で煙が出始め、講師特製の器具(茶こしに麻紐を解して入れたもの)に火種を移し、熱が育つのを感じたあとは、器具の柄を持ち大きく腕を回転させて酸素を供給。無事着火に至ると児童の皆さんから歓声が上がりました。この、一連の手順を通じて、火をつけるには「熱」「酸素」「燃料」の3つの条件が整うことが大切であることを児童の皆さんは学びました。
「紐ぎり式」による火起こしは、大人でも普段はなかなかできない体験であり、児童の皆さんはとても興味深そうに取り組んでいました。火を扱うのはいろいろな心配が伴いますが、きちんと管理された状態を提供することで「生きる力を取り戻す」うえでの貴重な経験となりますね。
そうこうしている間に、焚火台の上では炭に熱せられた金属缶の穴から、中にいれた自然物が過熱されたことにより発生する可燃性ガスが見え始め、実際に火が付くことをスタッフにてデモ。ここで内部にどんなものをどれだけ投入したか、それと、炭火の強さにより炭化の進み具合が微妙に異なってきます。
ほどよい頃合いを講師が判断し、児童のみなさんに東西南北の自分の位置を示してもらいながら、熱々の金属缶をスタッフが焚火台からおろし、霧吹きで水道水を掛けて冷ましてから内部を確認しました。
今回の環境授業では、通常は無色透明の気体で目には見えないCO2について、これを吸収した樹木等を炭化させることにより、「C(カーボン)」として見える状態にする方法を学びました。また、この状態は安定しており半永久的にCO2を固定できることを学びました。 児童の皆さんは、自身で作った花炭を用いて、後日図工の授業にて個性豊かなアート作品作りに挑戦しました。
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