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当社は1月、世界的に有名な江戸時代の浮世絵師である葛飾北斎の代表作をデザインモチーフにしたG-SHOCKとスタイリッシュ電卓を、相次いで発売しました。
これらの製品は、電卓と時計の特性に合わせて個別に企画が進められました。同じ北斎作品でも、デザインへの取り込み方や仕上げ方が異なっています。双方の企画担当者に対談形式で、こだわりポイントや開発の経緯を話していただきました。
左から:教育事業部 アドバンス企画部 商品企画室 甲斐 理恵(かい りえ)、国内営業統轄部 時計推進部 販売管理室 室長 片山 文章(かたやま ぶんしょう)、国内営業統轄部 ブランドマーケティング部 第一ブランド戦略室 リーダー 鄭 尹皓(じょん ゆの)
ちょっとお互い気になっていた
―北斎モデルがほぼ同時期に発売されましたが、お互いにご存じだったんでしょうか?
甲斐:去年出た時計の第1弾は知っていましたが、第2弾がこの時期に出るのは知らなかったんです。今日、実物を見るのを楽しみにして来ました。
片山:営業にいるので、北斎電卓を出すという話は聞こえていました。ちょっと気になっていました(笑)。
小さな時計に絵を載せる工夫
甲斐:北斎のG-SHOCKをつくった経緯を教えてください。
鄭:インバウンド需要を意識して、2019年から日本文化をシリーズ化した「Made in Japan」シリーズを発売しています。日本の文化の中でも、特にG-SHOCKとの親和性が高いテーマを選び、桜・紅葉・招き猫・だるま・忍者・マンガ・柴犬・折り紙などをモチーフにしたモデルを10種類発売しました。そして昨年、北斎の代表作「富嶽三十六景」から「凱風快晴」と「神奈川沖浪裏」をデザインモチーフにした2モデルを出しました。それが好評だったので、今年新たに「山下白雨」と「深川万年橋下」を入れた2モデルを発売しました。
甲斐:絵がきれいに入っていますね!小さな腕時計で北斎を表現するために、デザインにどんな工夫をされたんでしょうか?
片山:時計は小さい上に、液晶表示の部分は、絵がくりぬかれてしまいます。その制約の中で北斎の作品を忠実に表現することを心がけてアレンジしました。
絵のディテールが表現できるよう、ガラスに多色印刷を施しています。普通の時計では一色ごとに一つの版をつくり、3~4回に分けて印刷していますが、北斎モデルでは普段の倍ぐらいの回数に分けて印刷を施しています。絵を全面に出すため、電源も一次電池にしました。ソーラーパネルを使うとデザインに制限がかかって表現力が落ちてしまうからです。
鄭:北斎の浮世絵は250年以上前の作品です。G-SHOCKは時計の長い歴史の中でも現代に属する時計です。北斎の作品をそのままG-SHOCKに入れると、ぶつかってしまうと思いました。和紙の木版画として制作されていた元の作品を、100%再現することはできません。そこでG-SHOCKの5600シリーズに合うように、デザインのバランスを考えてガラス印刷にしました。
色も時計向けにアレンジしています。たとえば元の絵では白だったところに少しシルバーを混ぜて、ノートパソコンの表面のような質感にしています。その結果、現代アートとまではいきませんが、元の作品のままではない独自の雰囲気になりました。デザイナー、そして印刷をしてくれたメーカーの方もがんばってくださいました。
甲斐:時計らしい絵の表現のために、細部まで工夫を凝らしているんですね!
鄭:Made in Japanシリーズの一つなので「日本」という漢字も入っています。昨年の第1弾ではバックライトで「日本」を表示しましたが、今回の第2弾では、裏ぶたに「日本」と刻印しました。
甲斐:今回のバックライトはどうなったんですか?
鄭:バックライトをつけると、ガラスに印刷している絵とつながる絵が表示されます。
バックライト消灯時
バックライト点灯時
甲斐:シルエットがとても鮮やかですね!
鄭:パッケージにもこだわっています。
片山:鄭さんから出たアイディアを、営業の方でいろいろ意見を出しながら、デザインに落とし込んでいきました。
電卓60周年の祭りムードから生まれた「日本コラボ」
鄭:こんどは、北斎電卓が生まれた経緯を教えてください。
甲斐:去年、1965年の電卓1号機発売から60周年を迎えたので、電卓60周年チームを結成して、いろんなことに挑戦しました。60周年記念モデルを出すことになって、日頃は商品企画に参加していない人たちも集まって、いろいろアイディアを練ったんです。そこで「日本の良さに立ち返る」というコンセプトが出て、海外の方の意見を入れながら和柄の電卓や北斎電卓を出すことになったわけです。
このチームのおかげで、日頃は出ない発想が出たと思います。デザイン部門に「北斎モデル、とりあえず作ってみよう」と言ってくれた方もいて、コンセプトが受け入れられやすかったのか、社内での共感は得やすく、シャワー効果で他の電卓にも注目が集まるからやってみようよ、という感じで、お祭り状態になって話が進んでいきました。
鄭:全面に絵が印刷された思い切ったデザインになっていますね!インクジェット印刷がきれいに仕上がっていると思います。
甲斐:横長の絵を、縦長の電卓に配置するので、かっこよく見せるためにデザイナーさんが工夫してデザインをしてくれました。
キーとパネルで材質が異なるため、普通に吹き付けるだけだとパネルと色味が若干変わってキーが浮いているように見えてしまい、デザイン部門が調整に苦労していました。
キーとパネルがきれいにつながって見えるデザイン
数字や記号のフォントも、和の意匠に合うフォントにしています。ソーラーパネルも北斎の絵のじゃまをしないよう、液晶の下に配置してあります。パッケージにはインバウンドを意識して、ローマ字で大きく「HOKUSAI」と入れました。
富士山とG-SHOCKの共通点は「揺るぎない存在感」と「さまざまに変わる姿」
―「富嶽三十六景」のメインモチーフの富士山について、商品企画を通じて感じたことはありますか。
鄭:私は大学から15年間、日本に住んでいます。カシオに入社して11年です。日本に来る前も富士山のことはもちろん知っていました。東京タワーからも見えるし、羽田空港からも見える。海外から来る観光客も、富士山はみんながいちどは自分の目で確かめる存在ですよね。「神奈川沖浪裏」は、1000円札の裏側にも入っていますしね。
―あっ、本当だ!気づいていませんでした。(笑)
片山:僕らより詳しいんですよ。「凱風快晴」や「山下白雨」の赤富士のことも、鄭さんから教えてもらいました。
鄭:このモデルを企画するにあたって、赤富士はなぜ赤いんだろうと疑問を持って調べたら、朝日や夕日に照らされて赤く染まる富士山を表した作品だと分かった。雪が積もってないから、季節は夏。天気が良い時にしか赤富士は見えないそうです。他にもダイヤモンド富士とか、周囲の環境によって姿が変わるところが富士山の魅力です。「富嶽三十六景」全ての作品に富士山の良さがある。北斎電卓が出た時も、富士山をどこに配置したかにいちばん注目していました。
甲斐:そこがポイントだったんですね!
鄭:G-SHOCKになった4枚の絵は、それぞれがG-SHOCKっぽい部分を持っていると思います。第1弾の「神奈川沖浪裏」は、大きな波が荒れる海でも使えるタフネスを表現しているし「凱風快晴」の良い天気は、着けていていい気分になれることに通じている。第2弾の「山下白雨」は雷が落ちる過酷な環境。「深川万年橋下」は街の中で人々が移動や運搬の相棒に使っているみたいなイメージで、ぴったりだと思っています。
富士山は、時間が経ってもいつもそこにあるものです。長い時間の中で、さまざまな試練があるにもかかわらず揺るぎない存在として常にある。それでいて、見る角度や天気に影響されて姿を変える。本質がタフネスで、カラーリングやデザインでいろいろな形を出しているG-SHOCKに通じていると思っています。
海外と日本の両方から反響があった
―北斎電卓と北斎G-SHOCKを、どんな方に使っていただきたいですか?
片山:日本文化をコンセプトにしたG-SHOCKは、量販店や免税店のような、訪日される外国人の方が買い物をする場所には置いていただくようにしています。でも実は、日本人のG-SHOCKファンの方にもけっこう刺さっているんです。コレクションされている方は、限定モデルも漏らさず買っておられるようです。特に「MANGA」モデルは人気で、あっという間に売り切れました。
甲斐:電卓も、やはりまずは日本に来られる外国人の方に手にしていただきたいです。北斎時計をお持ちの方は、電卓もぜひセットで買ってほしいです(笑)。
イギリスに行った時に大英博物館に行きましたが、北斎の作品は目玉のひとつでした。記念品売り場にも北斎のグッズがたくさんありました。ヨーロッパではそれぐらい北斎の認知度が高いんですね。
北斎電卓が出た時に、SNSに「大英博物館に置いてありそうな電卓だ」って書き込みがあったのを見つけました。日本で発売したばかりですが、いずれ、本当に置いてくれたらうれしいですね!あとは「富嶽三十六計算機」とか(笑)、韓国語で「いいね」と書き込みをしてくださってる方もいました。日本だけじゃなく国際的にも広がりがあるんだって、思ったよりも反応が大きくて安心したのとびっくりしたのが半々ですね。
―日本人が日本らしさをかっこいいと思い始めたのかもしれないですね。オフィスの応接室に置いてあって、外国のお客さまがいらした時にも「これはHOKUSAIですね!」と言われたりとか、会話のタネになるかもしれません。
甲斐:お部屋に飾っておいて、たまに使う、そういう感じのアートとして使っていただいてもいいかなと思います。かっこよく見える、机の上に置いてあって周りと雰囲気がなじむようなものにしたいと考えて作りました。
「すべては円と角でできている」北斎にみる数学の美
―個人的に好きな北斎作品はありますか?
鄭:北斎の価値観がわかる「北斎漫画」が好きですね。絵の練習みたいに、さまざまな年齢の男性、女性をたくさん描いて、庶民の顔とか表情を表現しています。ストーリーはないんですが、なくても気持ちが伝わってきます。
甲斐:私はあまり詳しくないのですが、今回の企画のために見た中では、やはり「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」でした。北斎は「円と角ですべてのものはできている」と言っていて、コンパスを使って絵を描いたりもしているそうです。グラフ関数電卓とも通じる数学的な美を感じて興味を持ちました。今度美術館にも行ってみようと思います。
アートから新しい領域を拓いていきたい
―これからの展開についてどう考えていますか?
甲斐:よく計算をする人向けには既にいろいろな電卓を出しているんですが、遊び感覚を持たせた電卓はまだだったので、もっと広げていければいいなと思っています。
鄭:G-SHOCKはFAMS(Fashion/Art/Music/Sports)の四つの領域を訴求しています。北斎はアートの領域ですね。これからも、G-SHOCKにする意義がある作品を製品化してお届けしていきたいです。
甲斐:来年は今年の時計を追いかける形になるかもしれないですね。G-SHOCKからついてきたタフネスのイメージが、CASIOブランドにはあると思います。電卓もリライアブル(reliable=信頼性)、デュラブル(Durable=耐久性)を軸に、さらに「持つ喜び」を追求できればと思っているところです。
―アートを媒介に、時計と電卓の文化が融合した、新しい製品が生まれるといいですね!今日はどうもありがとうございました。
(対談室提供:樫尾俊雄発明記念館)
<ニュースリリース>
葛飾北斎の名作を全面にデザインしたスタイリッシュ電卓
<関連リンク>
葛飾北斎の名作を電卓に!~絵画とプロダクトの融合で毎日にちょっとした特別感を~
カシオ公式note(1月22日掲載)
スタイリッシュ電卓HOKUSAIスペシャルサイト
“G-SHOCK” DW-5600KHSH25-1JR(「山下白雨」モデル)
“G-SHOCK” DW-5600KHFM25-1JR(「深川万年橋下」モデル)
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