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1月22日に羽村技術センター、26日に初台本社で、聴覚に障がいを持つ人と健聴者のコミュニケーション方法を学ぶ「デフコミュニケーション」のワークショップをおこないました。
このワークショップを企画したのは社員のアニタ・マルホトラさん。幼少時に聴覚を失い、いくつかの職を経て当社に入社しました。「健常者と障がい者が別々に働いてる会社はあまり好きではなくて、健常者と障がい者が同じ職場で働けるところに魅力を感じた」という動機でした。図解・資料のデザインや上司の仕事のサポートを担当しています。

アニタさん
アニタさんは職場に配属された後、挨拶されなかったことや会議に呼ばれなかったことに驚きました。しかし、それは避けられているからではなく「聴覚に障がいを持つ人とのコミュニケーションの取り方が分からない」からだということにようやく気がついたのです。もとより人との交流が好きなアニタさんは、日常生活の中での聴覚障がい者とのコミュニケーションの取り方を誰でも学べるワークショップを社内で開こうと考えました。
しかし一人でできる準備には限界があり、困ったアニタさんは社内の「EGGs(エッグス)」の事務局に相談を持ちかけます。EGGsは、多様な人々が対話を通して「こんなモノを開発したい」「あんなコトを実現したい」といったアイディアを形にするきっかけとなる場と機会をつくる活動です。職務内容に関係なく色々な部署の社員が集まり、新技術の用途を考えるワークショップ、異業種や学生との交流ワークショップ、組織のビジョンを作るワークショップなどを開催しています。
アニタさんの相談に乗ったEGGsの事務局メンバーが及川 宗飛(しゅうと)さんでした。及川さんは大学時代に聴覚障がいを持つ方を支援するというボランティア経験があり、障がいを持つ方の苦労を聞いていて、いつか会社の中でもそういう活動がしたいと思っていたからです。

及川さん
さっそく二人はワークショップの企画を始めます。講話を聞くセミナー形式ではなく、身につきやすいよう「自分の両手や体全体を動かしながら楽しめる」ワークショップ形式にこだわりました。
社内サイトで参加者を募集したところ、親戚に障がい者がいる人や、障がいを持つ方と積極的にコミュニケーションをとりたいという人たちが集まり、満員になりました。
デフコミュニケーション・ワークショップの内容
ジェスチャー自己紹介
趣味を口(くち)パクとジェスチャーだけで表現。「DIY」のような趣味を持っている人は、表現に四苦八苦!

ジェスチャー伝言ゲーム
出題者はことわざなどの書かれたカードを引いて、内容をジェスチャーで表現。回答者は答えをフリップに書いて当てます。

シーン別会話
大会議室の中に仮想のコンビニ、焼き鳥屋、カフェ、案内所を設置。ヘッドフォンで大音量の音楽を再生し、会話を聞こえなくした難聴者役と、何も付けていない健聴者役に分かれて、施設側とお客様側に分かれてコミュニケーションするゲームをしました。焼き鳥屋では「塩」と「たれ」をジェスチャーで一生懸命表現したりして笑いながら試行錯誤。気付いたことをメモして集め、まとめて発表し合いました。

模擬焼き鳥屋での注文のやりとり
動画でジェスチャーを実演!
「あたたかい」と「冷たい」
「塩」と「たれ」

ミニ手話講座も
1回2時間半にわたるワークショップを終えた参加者からは「この体験学習のおかげで、聴覚障がいを持つ人と突然接することになっても、コミュニケーションができる自信がついた」「聴覚障がい者の方とも積極的に話そうと考えが変わった。もし自分が聴覚障がいを持ったら、と考えるきっかけにもなった」といった感想が寄せられました。
アニタさんにききました

筆談か手話でなければコミュニケーションできないと思っている方が多いですが、実は私も手話はあまり使いません。ジェスチャーして口を大きく動かすだけで、かなり伝わります。ジェスチャー、口の動き、そして豊かな表情。これがあればコミュニケーションはOK。何より今はスマホがあります。「YY文字起こし」や「UDトーク」といった、会話をリアルタイムで文字起こししてくれるアプリを使えば、普通に話すだけでコミュニケーションできます。こんなアプリをさっと出してくれる人は「スマート!SO COOL!」って思います。
聞こえない人に対する誤解がまだまだ存在しているので、その誤解を少しでも減らすためにも、この聴覚障がい体験ワークショップの活動を続けていきたいと思っています。「文化が違っていても、手話を知らなくても、お互いを思いやる気持ちがあれば絶対に大丈夫ですよ!NO PROBLEM!」と伝え続けたいです。聞こえない人たちも対等で自由に発言しやすいような環境にしていきたいし、聞こえる人と聞こえない人のコミュニケーションをもっともっと豊かにしていけるようにがんばります!
ワークショップは好評で、再開催が決定。難聴者のための商品を考えるワークショップも開催されることになりました。
アニタさんと及川さん、そしてEGGsの仲間たちの活動は続きます。

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