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開発期間10年!G-SHOCKの「タフシリコーンバンド」の開発ストーリー

2025年1月9日


カシオ計算機は、新開発の「タフシリコーンバンド」を採用した“G-SHOCK”「FINE METALLICSERIES」の4モデルを1月に発売します。今回は開発に10年以上かかったという「タフシリコーンバンド」の開発秘話を商品企画の齊藤慎司、設計者の安田巧、デザイナーの池津早人に聞きました。

左から:安田巧、池津早人、齊藤慎司

「FINE METALLIC SERIES」メタルベゼルに金属調の蒸着処理を施した樹脂バンド採用の「(左から)GM-2100YMG、GM-2100YM、GM-5600YMG、GM-5600YM」の4モデル

15年以上前から構想していた新しいバンドの開発

齊藤:実は、樹脂バンドにメタルの蒸着をするという発想は、15年以上前からありました。ただ、G-SHOCKの厳しい規格に耐えられる品質はなかなか実現できなかったんです。ファッション時計としては耐えられるレベルだったかもしれないですが、やはりタフネスをうたうG-SHOCKとしては物足りなさがありました。

樹脂バンドに蒸着を行っただけの試作品。表面にはゆがみも見られる。

齊藤:また、表面に蒸着を施すというデザイン面とは異なる別軸の話として、樹脂素材の中でも柔らかく腕なじみのよいシリコーン素材を使いたいという構想もありました。ただ、シリコーン素材は摩耗に弱いという特性があり、G-SHOCKに使用するには課題が残っていました。

このバンド開発は、「メタルの質感のような樹脂バンドを作りたい」また「シリコーン素材をG-SHOCKでも使いたい」という2つの目標を別テーマとして並行して検討していった結果、2つが合わさって実現しました。

ブレイクスルーとなったのは「異素材を重ねる」という発想

安田:過去にも、樹脂バンドの表面に蒸着をしたり塗装をしたり、いろいろな印刷方法を試しながら繰り返し試作を行いましたが、どれもメタルの高い質感や耐久性は出せませんでした。

そんな中で、今回のバンドが実現できたのは、シリコーン素材にウレタン樹脂を重ねるという新しい発想でした。裏面に装着性の優れたシリコーン素材、表面に耐久性の高いウレタン樹脂を使うことで耐摩耗性を向上させています。こういった新しい発想に対して、前向きにチャレンジするG-SHOCKだからこそ実現できたと思っています。

さらに、表面に透明の薄いシートが覆っていて、その裏側に蒸着処理をかけることでメッキのようにボロボロと剝がれてしまうのを防いでいます。シリコーン素材の加工に強みを持つサンアロー株式会社さんの協力をいただけたのも、新構造の実現には大きな助けとなりました。

表面はメタリックな質感、裏側はブラックとなっている。

本物のステンレスと遜色ないメタリックな質感にこだわり抜く

池津:デザイン面では、今回のようなメタルのミラーのような質感はゆがみが目立ちやすくごまかしがきかないので、何度何度もサンプルを作ってみて、極限まで質感にこだわりました。

今回のモデルは各シリーズの樹脂モデル「DW-5600」や「GA-2100」とは異なり、バンド表面の段差や穴を減らし、シンプルでミラーの質感をより楽しめるデザインにしています。ただ、ベゼルからつづくバンドの凹凸やディンプル(円形にくぼんでいる部分)などG-SHOCKらしい要素は残しました。

生産スケジュールのギリギリまでブラッシュアップを重ねる

安田:バンドの新しい構造が商品企画やデザインからOKが出た後も、量産化するギリギリのタイミングまで改良を重ねました。メタルベゼルと一体となった時に、遜色ないレベルの質感にするため試作を重ね、企画側から、まだ本物のステンレスを使ったベゼルとバンドに質感の違いが出ていてダメだと言われながらこのレベルまでブラッシュアップしていきました。

特にシルバーは難しかったですね。ベゼルはステンレスそのものの質感なので、それに合わせようとすると、バンドの蒸着の色味が青みや黄色など微妙に異なっていたり、表面のゆがみが出たり、改良にかなり苦労しました。何回試作をしたのかは、思い出したくないレベルです(笑)

齊藤:どうしてもステンレス素材と見間違うレベルのバンドにしたかったので、この部分は厳しくチェックしましたね。

池津:デザインとしてもメタルの質感は一番こだわったので、ここまでのクオリティまで上げられて満足しています。

さらなるデザイン表現の広がり

齊藤:タフシリコーンバンドは、今回のモデルのためだけに作ったものではありません。シリコーン素材の装着性とウレタン樹脂の耐摩耗性を両立させることが第一の目的で、副産物的にメタリックな質感という新しいデザイン表現も可能にしています。なので、一番のユーザーメリットである「装着性と耐摩耗性を向上させたバンド」というG-SHOCKらしいポイントが伝わるように、”タフ”という名称はゆずれませんでした。

池津:フィルムの裏面に加飾ができるので、メタリックな質感だけでなくもっと幅広いデザインに展開できます。もっと色々なデザインにチャレンジしていきたいと考えているので、今後のモデルにぜひご期待いただきたいです!

<ニュースリリース>
装着性と耐摩耗性を両立したタフシリコーンバンドの“G-SHOCK”

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