東京都小金井市では2021年に「第2次小金井市地球温暖化対策地域推進計画」を策定しており、2022年1月には小金井市長と小金井市教育委員長の連名による「小金井市気候非常事態宣言」を発出しました。同年、小金井市では「森林環境譲与税活用事業」として、小金井市立小金井第四小学校にて「環境教育事業」を開始しています。今回は2023年度の事業として、東京学芸大学・カシオ計算機（株）の連携による環境授業が採用されたものです。

【1日目：9月28日（木）】
「木育ガール・キキちゃん」の環境授業では、対象となる5年生の1～3クラス98名の児童の皆さんが体育館に集まり、スライドによる気候変動問題の基礎的な内容の講義を受けました。日頃から学校の授業でも勉強しているのか、キキちゃんの質問に対して積極的に手を挙げて大人顔負けのしっかりした答えを述べる児童もいました。

「キキちゃん」の環境授業を聞いた児童の皆さんは、CO₂を吸収してくれる樹木を木材として、いろいろな用途に、しかも長期間使い続けることで、CO₂の固定につながることを学び、身近なものを木材に置き換えるための様々なアイディアをグループで話し合い、ClassPad.netを用いて発表しました。

最後に藤原さんから次回予告として「花炭づくり」についての説明があり、児童の皆さんは期待に胸を膨らませていました。

【2日目：10月13日（金）】
藤原さんによる「火起こし＆花炭づくり」の環境授業は、まず小学校の最寄の公園に材料集めに出かけるところからスタート。児童の皆さんは講師の藤原さんのアドバイスを受けながらそれぞれ思い思いに自然の材料を集めました。

児童の皆さんが材料集めに出かけている間、当社の10名のスタッフは急いで「花炭づくり」の準備。今回は1日で98人の児童の皆さん全員に交代で「花炭づくり」を体験してもらうため、10台の焚火台を用意して、それぞれに炭を着火して児童の皆さんが戻るのを待ちました。

材料集めから戻った児童の皆さんは、それぞれの材料を金属缶に入れ蓋をします。スタッフがこれを炭に乗せて加熱し炭化するのを待ちます。

炭化を待つ間、藤原さんの指導で各グループ毎に役割を分担して「火起こし」を体験しました。メタルマッチとチャークロスを用いて麻紐をほぐしたものに着火する一連の手順を通じて、火をつけて維持するための条件として「熱」「酸素」「燃料」の3つの条件が整うことが大切であることを児童の皆さんは学びました。

メタルマッチによる「火起こし」は普段はなかなかできない経験であり、児童の皆さんはとても興味深そうに取り組んでいました。火を扱うのはいろいろな心配が伴いますが、きちんと管理された状態を提供することで「生きる力を取り戻す」うえでの貴重な経験となりますね。

今回の1日目の環境授業では、木材としての利用を増やしつつ新たに樹木を植え育てることで、CO₂の吸収と固定を促進させる考え方を児童の皆さんは学びました。
そして、2日目の環境授業では、CO₂を吸収した樹木等を炭化させることにより、通常は無色透明の気体で目には見えないCO₂を「C（カーボン）」として見える化したこと、また、この状態は半永久的に安定した状態になることで家具などへの木材利用よりもさらに確実にCO₂を固定する方法となることを学びました。

今回の環境授業は教育現場のClassPad.netの利用による児童の気付きの可視化や授業の効率化の提案と、WILD MIND GO! GO!の火を扱う体験により「生きる力を取り戻す」という側面を融合させ、地球環境課題としての「気候変動」と「生物多様性」が重なる部分の学びを提供できたのではないかと思います。