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AIの普及にともなって、計算量が爆発的に増加してデータセンターの消費電力が膨れ上がり、冷却するための水の確保などの社会課題も出てきました。計算機と電力について、過去の技術の進化を振り返ってみます。
元は電気食いだった大型電気式計算機
実は計算機も、もとは大変な電気食いでした。
壁一面を占めるほどの大きさだった大型の電気式計算機の消費電力は、数kW(数千W)もありました。
しかし1957年に樫尾俊雄が発明した世界初の小型純電気式計算機「14-A」は、消費電力が300Wに抑えられていました。これはリレーの数をわずか341個しか使わなかった独自のコンパクトな回路設計によります。それでも計算機が300Wも電気を食うなんて!と驚かれたかもしれません。それはリレー素子のスイッチをカシャカシャと物理的に動かし、表示も電球を使っていたためです。
14-A
トランジスタで大きく省電力化、しかし表示は高電圧
ここから技術の革新とともに、急激な消費電力の低下が始まります。
1965年のカシオ電卓第1号「001」では40Wになりました。普通の家電製品のレベルです。これは、トランジスタを使って、スイッチを動かさず電気の流れだけで計算をする電子式に切り替わったためです。しかし表示には150ボルト以上の電圧が必要な放電管(ニキシー管)を使っていたので、そのぶん電力消費はかさみました。
001
1968年発売の「152」では、微小なトランジスタを小さなパッケージに1,000素子程度詰め込んだICを使うことで、消費電力を10Wにまで下げることができました。
152
ワンチップLSIで1ワットを切り乾電池駆動に
1972年の「カシオミニ」では、ICよりもさらに集積度の高いワンチップLSIを使ったことで部品点数が大きく減りました。表示も駆動電圧が30ボルト程度の蛍光表示管を使い、さらに桁数を6桁に減らし、ゼロの数字の背の高さを半分にするなどの工夫もして、消費電力は0.85Wに。ついに1ワットを切り、単3での乾電池駆動が実現しました。
カシオミニ
液晶表示でさらにローパワーでの駆動が可能に
1978年の「LC-78」では、LSIがそれまでのP-MOSからさらに消費電力の小さいC-MOSタイプに変わり、表示素子も3Vで駆動できる液晶ディスプレイとなり、消費電力が0.006W(6mW)に。ボタン電池で駆動できるようになりました。1980年の「LC-781」では、さらに0.00025W(0.25mW)にまで下がります。
LC-78
1983年のフィルム回路で構成された「SL-800」ではフィルム上にLSIを載せたCOF(Chip On Film)技術によって0.00002W(0.02mW)にまで低減され、ついに電源もソーラー駆動になりました。
SL-800
結果、SL-800の消費電力は14-Aに比べて、1500万分の1になりました。
指数関数的なカーブで消費電力が減少
消費電力の推移をグラフに描くと、このようになります。
変化が激しすぎて、グラフの目盛りを10倍ごとにしなければ表現できませんでした。まさしく指数関数的な減り方です。当時の技術の進化のスピードがうかがえます。計算機の消費電力を劇的に下げていったのは、半導体と表示技術の進化でした。
省エネルギーもひとつの性能です。AIもいずれ画期的な技術の登場で、再び消費電力を小さくしていけるといいですね。
ちなみに人間の脳は、電力に換算するとわずか20Wくらいのエネルギーしか使わないのだそうです。AIは能力では人間を急速に追い上げていますが、省エネではまだまだ人間の方が先を行っているようですね。(ちょっと働くとすぐに何か食べ始める人もいますが・・・)
<関連リンク>
計算機(けいさんき)の歴史
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