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デザイナーへインタビュー:60周年を迎えるカシオの電卓からこれまでのノウハウを結集させた新製品が登場

2025年1月16日


カシオ計算機は、電卓の初号機「001」を発売してから2025年で60周年を迎えるにあたり、様々な取り組みを今年実施していきます。今回、その皮切りとなる新製品として『Comfy(コンフィ)JT-200T』を1月30日に発売します。

『Comfy 』は通常のモデルとは異なり、デザイン部門が主体となって商品化が実現しました。担当デザイナーの岡 駿佑と新井 大地に話を聞きました。

左から:岡 駿佑、新井 大地

『Comfy』の開発背景について教えてください。

岡:現在の電卓市場には、当社をはじめとした電卓メーカーだけでなく、日用雑貨を取り扱うメーカーなども参入しています。そんな市場環境を把握している営業担当者から「美容院やカフェ、洋服屋など洗練されたお店に置いてもらえるような“おしゃれでかっこいい電卓”を開発してほしい」と要望を受けました。
通常の商品開発では、企画者の提案をもとにデザインを進めますが、『Comfy』では私たちデザイナーが主導して商品化に向けたプロジェクトを進めました。単にデザイン性の高い商品を提供するだけでは現代の多様なニーズに応えられないため、「長く愛用される電卓」とは何かを模索することから始めました。

“長く愛用される電卓”を模索するためにどんなことを行ったのでしょうか?

岡:電卓は、長い歴史の中で形や機能などがある程度決まっていて差別化しづらい商品ですが、電卓に対する当たり前を見直すために、ヒアリング調査や仮説検証を繰り返し行いました。
電卓事業部のベテラン社員から電卓に携わっていない部署の社員、さらに一般の方までにモックアップを見てもらい話を聞くなどして、うまく伝統と革新のバランスを取れるデザインを考えました。
例えば、ベテラン社員から教えてもらったカシオ電卓の特徴であるキーのピッチやストローク、天面の形状といったこだわりは、『Comfy』にも受け継いでいます。長年カシオの電卓を愛用しているお客様の中には、これらの仕様が少しでも変わるとタッチタイピングができなくなる方もいらっしゃるそうです。未来の電卓を考え、若い世代を中心に一般の方へ行ったヒアリング調査では、丸みを帯びた優しい形状と角張ったクールな形状の2種類の試作品を用意しました。形状だけでなくカラーや表面の質感なども併せて調査して、それらの結果は『Comfy』のデザインに反映されています。

『Comfy』のデザインのポイントを教えてください。

新井:従来モデルと比べて一番変えた部分は、ソーラーパネルの配置です。計算に不要な要素を視覚的に取り除くために、従来モデルでは操作面だったソーラーパネルの配置を本体上部の側面に変えました。これにより、操作時に余計なソーラーパネルが目に留まらないシンプルなミニマルデザインを実現しています。
側面では受光率が低下するため、大きなパネルを採用し形状と設置角度を工夫することで発電能力を担保しています。加えて、この大きなパネルを保護するために、周りに補強パーツを組み合わせたり、複雑な形状かつ耐久性の高い外装ケースを採用したりしました。

また、当社の電卓では初採用となるマイカ(雲母)と、再生樹脂を練り合わせたエコ素材を外装に使用しています。表面にはシボ加工を施しているので、傷が付いても目立ちにくい見た目と落ち着いた質感の両方を実現しました。ちなみに、持ちやすさや傷の目立ちにくさを考慮して側面と裏面のシボを粗めに仕上げた一方、美しく印字されるよう操作面のシボは細かめにするなど、面ごとに仕上げ方を工夫しています。ベースカラーが異なると粒感の目立ちやすさが変わるため、各モデルで白粒とグレー粒の割合を微調整するのには苦労しました。

さらに、当社の電卓としては珍しい開閉式スタンドを裏面に設置しました。テレワークなど現代の働き方を考慮し様々な場所での使用を想定した結果、持ち運び時にはフラットに収納でき、使用時には打ちやすい8度に傾斜がつけられるスタンドを採用しました。

フォント表記での変更点はありますか?

新井:一部の従来モデルでは漢字表記だった税抜・税込などの印字や液晶表示を、英語表記にすることで洗練された印象にしています。また、デリートキーの表記は従来の三角形の矢印「▶」ではなく、パソコンで使用される×印を採用し、現代的で直感的な使いやすさを追求しました。
また、当社の電卓の原点に立ち返り、1972年に発売した世界発のパーソナル電卓「カシオミニ」の視認性が高く柔らかい印象のフォントを『Comfy』にも採用しています。

『Comfy』のカラーラインナップを教えてください。

新井:自然体で優しい雰囲気を醸し出す5色のくすみカラーを採用しているので、様々な生活空間に調和すると思います。ヒアリング調査では、私のような20代男性から特に票が多かった「グレイッシュグリーン」は、電卓ではあまり見かけない珍しい色味なのでぜひチェックしてみてください。

最後にお客さまへ向けて一言お願いします。

岡:『Comfy』はデザイン性だけでなく、あらゆる面にこだわり抜いて作り上げた商品です。ぜひ実際に触れてみて、使うことで初めて感じられる『Comfy』ならではの心地よさを体感していただけたら嬉しいです。
新井:カシオは、昨年11月に「驚きを身近にする力で、ひとりひとりに今日を超える歓びを。」というパーパスを定めました。当社初の電卓「001」が、1960年代の経済成長に伴って企業からの需要を創造したように、『Comfy』も多くのお客さまに持つ歓びや使う歓びを提供し、長く愛されることを願っています。

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