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シティポップも彩った'80sカシオのデジタルシンセ「CZ」シリーズ

2026年9月29日


9月29日より、カシオのオリジナルサウンド提供プラットフォーム「Waves Place」で、80年代に発売されたカシオのデジタルシンセサイザー「CZ-5000」と「CZ-3000」の音源のダウンロード販売をはじめました。同一の音源チップを持つ両機種のプリセットバンクに搭載された32音色のプリセット音を、61鍵すべての音域でサンプリングした音源を収録。さらに、CZシリーズ独自の豊かな空間表現を可能にするステレオコーラスエフェクトをかけた音も全て収録しています。音源は、CASIOの楽器倉庫に保管している実機からファクトリープリセット音を実際に録音したもので、個々の楽器が奏でる音の特性を忠実に表現した仕上がりです。また、Waves Placeで購入後、スマホアプリ「CASIO Sampler App」経由でポータブルスタンドアロンサンプラー「SXC-1」に簡単に転送して演奏が楽しめます。

CZ-5000製品画像

CZ-5000

CZ-3000製品画像

CZ-3000

CZシリーズとは

CZシリーズとは、カシオが80年代に送り出したデジタルシンセサイザーです。
カシオ計算機の創業者の一人で発明家の樫尾俊雄が、電子音楽家の冨田勲さんの協力をいただき開発した「コスモシンセサイザー」で培った技術を応用して開発・販売しました。1984年の1号機「CZ-101」から、1986年の「CZ-2000S」まで、合計7モデルが発売されました。80年代に登場したデジタルシンセサイザーの中でも個性豊かな音で知られ、プロミュージシャンによってシティ・ポップやテクノなどの幅広い音楽に使われています。

三角関数を計算技術で変形して音を生み出した「PD音源」

CZシリーズ最大の特徴が、音を生み出すコアエンジンと呼べる「PD音源」です。
PDとは「Phase Distortion」の略で「位相を歪ませる」ことを意味しています。

アナログシンセサイザーでは、音の原型ともいえる「波形」が音色を決定します。
正弦波、矩形波、ノコギリ波といった、形の異なるさまざまな波形を持っています。最初に選ぶ波形が、音のキャラクターに大きく影響するといわれています。

PD音源は、1つのコサイン波を計算で変形することにより複数の波形を生み、さらにそれらを組み合わせて数多くの音色を編み出すというユニークな考え方の音源でした。三角関数のひとつであるコサイン波を計算で変形して音を生み出す、まさに計算技術です。

波形イメージ

コサイン波

基本8波形イメージ

CZの基本8波形

単純なコサイン波から、このような多彩な波形を生み出す変形方法は「波形の読み出し速度を変える」ことでした。分かりやすくするために、紙テープとボールペンにたとえてみます。

横にした紙テープにボールペンを当てて、ボールペンを上下に振りながら紙テープを流すと、波線が描けます。地震計や心電図のグラフと似ていますね。

説明イメージ画像

紙テープのスピードを遅くすると、しわが寄ったような波の形になります。

説明イメージ画像

紙テープのスピードを急速に早めたり緩めたりすると、元とはかなり違う波線が描けます。

説明イメージ画像

これに近い原理で、PD音源はさまざまな形の波形を生み出していました。

複雑に変化する音づくりができた8つのエンベロープポイント

CZシリーズのもうひとつの特徴が、複雑に変化する音をつくれるエンベロープ設定です。
樫尾俊雄は音について独自に重ねた研究から「音の特徴を決定するのは時間的な変化だ」と理解していました。この考え方を反映させ、CZシリーズでは、音の高さ、音の大きさ、音質(周波数スペクトル)について、それぞれ時間軸に沿った8つのポイントが設定でき、折れ線グラフを描くようにして、複雑な変化をする音をつくりだすことができました。

エンベロープのイメージ

音の時間的変化を設定したエンベロープ(イメージ)

ボタンとフェーダーだけですべてを操作するUI

CZシリーズのデザイン上の特徴は、ボタンとフェーダーだけで構成されていることでした。
丸いツマミやダイヤルはありません。

インターフェイスの画像

このスクエアな操作体系は、当時のデジタルシンセサイザーの特徴でもありました。小さなディスプレイの「RATE=71 LEVEL=99」といった数字を見ながら、ひたすらボタンを長押しするか連打するかして数値を調整し、音をつくっていました。

CZの音づくりは数字の組み合わせです。専用の音づくりの本も出版されていました。パラメーターの数値が一覧表のように記録されていて、数字を正確に打ち込めば、出したい音が100%再現されました。これはデジタルシンセサイザーならではのメリットです。

シティ・ポップを彩り、今も愛用されるスペイシーな音色

CZシリーズは、プリセット音にも個性的な音が揃っていました。
ブラスやストリングスの音色にはアナログに近い温かみがあり、エレクトリックピアノや「Fairy Tale」という名前の音色では、メロウなトーンが楽しめました。独特のふわりと広がるスペイシーな質感を持つ音色が特に人気を博し、当時のシティ・ポップにも使われています。複雑なエンベロープ設定により、ティンパニやトランペットのような金属系の音を作ることも得意でした。
これらの音色を好んで、今も愛用しているプロミュージシャンの方もおられます。

CZシリーズ 全モデル紹介

あらためて、CZシリーズの全モデルを紹介します。

CZ-101

CZ-101製品画像

49鍵 ミニ鍵盤/1984年11月発売/89,000円
コンパクトで乾電池駆動にも対応。ショルダーストラップ用のピンも装備していました。

CZ-1000

CZ-1000製品画像

49鍵 標準鍵盤/1985年1月発売/110,000円
CZ-101の標準鍵版モデルです。

CZ-5000

CZ-5000製品画像

61鍵 標準鍵盤/1985年4月発売/198,000円
8トラックのシーケンサーを内蔵。最大6800音符の演奏が可能でした。
ステレオコーラスエフェクトも搭載しています。

CZ-3000

CZ-3000製品画像

61鍵 標準鍵盤/1985年10月発売/138,000円
ステレオコーラスエフェクトを内蔵し、広がりのある音が楽しめました。

CZ-230S

CZ-230S製品画像

49鍵 ミニ鍵盤/1986年3月発売/69,800円
本体にスピーカーを内蔵。リズムパターンを鳴らす機能も備えていました。

CZ-1

CZ-1製品画像

61鍵 標準鍵盤/1986年5月発売/198,000円
CZシリーズで唯一、弾く強さで音が変わるタッチセンスを搭載した最高峰モデルです。

CZ-2000S

CZ-2000S製品画像

61鍵標準鍵/1986年8月発売/128,000円
ステレオスピーカーを内蔵。広がりのある音での演奏が手軽に楽しめました。

手軽に使えるモデルからプロ向けモデルまで、幅広いラインアップが揃っていました。
1号機がミニ鍵盤で乾電池駆動もできる小型モデルだったというのがカシオらしいですね。

40年の時を経て、Waves Placeで蘇ったCZシリーズ。SXC-1にその音色を詰めこんで、透明感と広がりのある音を操り、自作の曲に彩りを加えてお楽しみください。

<関連リンク>
Waves Place
Portable Standalone Sampler(サンプラー)
SXC-1製品ページ
冨田勲とコスモシンセサイザーから始まったカシオ・シンセの歴史
PD音源 デジタルシンセ戦国時代、革新的な技術により『CZ-101』が誕生した背景

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カシオ公式note(9月29日掲載)
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カシオ公式note(4月21日掲載)

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